少々古い話で恐縮だが、昨年12月に東京・アミノバイタルフィールドで初めて開催された「東京ボウル」。関西学生リーグ2位の立命館大学パンサーズが、関東学生リーグトップ8で2位の法政大学トマホークスに大勝して強さを見せつけた。


 久しぶりに生で見た立命大のフットボールは、パワー、スピード、戦術のすべてに卓越しており、これだけのチームでも勝てない関西学院大学ファイターズの強さを痛感した。同時に関学大という宿敵がいるからこその立命大フットボールなのだということをあらためて感じた。


 関西学生アメリカンフットボールの人気が、関東のそれよりも大きく上回るのは半ば常識化している。その理由はライバル関係の差ではないか。常勝の王者、関学大に対して、1980年代は京都大学ギャングスターズ、90年代には立命大がライバルとして台頭し激しい戦いを繰り広げてきた。
 近年は古豪・関西大学カイザーズが割って入り、新たなライバル関係を築こうとしている。関西学生アメフットの「中核」は一にも二にも、このライバル関係だ。


 現在の関東学生リーグの両雄、日本大学フェニックスと法大、さらに早稲田大学ビッグベアーズや慶応大学ユニコーンズ、中央大学ラクーンズ、明治大学グリフィンズに、80~90年代の関学大、京大、近年の関学大、立命大のような濃く激しいライバル関係があるとはいえないだろう。


 もちろん選手やコーチは、強い意識と感情を持って対峙しているのだろうが、在校生やOB、さらに一般のファンやそれを伝えるメディアまで巻き込むようなライバリーが成立しているとはいい難い。
 2013年までの1部2ブロック制の中では、リーグ戦で対戦するチームが毎年入れ替わったため、そのような関係が成立しにくかったのだ。


 14年シーズンから始まったトップ8という枠組みは、一方的なスコアのゲームを排して接戦をもたらすという視点から語られることが多いが、私見を申し上げれば、毎年必ずリーグ戦で対戦する白熱のライバル関係を作り出すことこそが最大の意義だと思う。


 米国のカレッジフットボールも数が増え、名前が変わり、さらに王座決定システムに取り込まれて変容したボウルゲームよりも、レギュラーシーズンにおけるライバル校対決のほうが、はるかに濃密で重厚な戦いとなっているように思う。
 ビッグテンのミシガン大とオハイオ州立大、ビッグ12のテキサス大とオクラホマ大、SECのアラバマ大とオーバーン大に代表されるような伝統のライバル対決が無数に積み重なってでき上がったのが、米カレッジフットボールだと言ってしまってもいい。


 強豪校ヘッドコーチ(HC)の進退は、全米レベルの最終ランキングだけでなく、こうした「伝統の一戦」で勝つことと関係している。
 名門ミシガン大の近年の低迷の始まりは、2007年まで13シーズンで122勝40敗だった名将ロイド・カーHCを退任させたことにあると思っているが、この人事には、在任中最初の6年間で5勝1敗だったオハイオ州立大との対戦成績が、後半の7シーズンでは1勝6敗、最後は4連敗だったことが大きく影響したと思う。


 話を日本に戻すと、16年シーズンから導入される日本社会人Xリーグの新リーグ戦方式は、難しい部分も持っている。
 形の上では3ディビジョン(地区)、18チーム制を維持しているが、地区内の総当たり戦を廃止し、実力的に同レベルか、それほど差のないチーム同士の対戦を意図的に作り出すのが肝だ。各チームは前シーズン順位に基づいて対戦相手が決まる。


 地区が異なっても、同レベルとのチームの対戦が組まれるので、ライバル対決が生じやすい反面、前シーズンの成績に基づいて対戦カードが決まる以上、毎年決まった対戦となるわけではない。せめて早い段階で試合日程や会場を含めたアナウンスができればいいと思うのだが、各チームの「ホーム開催」を進める方向性もあるので、簡単ではない。


 現在のXリーグは、富士通フロンティアーズ、オービック・シーガルズ、IBMビッグブルー、LIXILディアーズ、ノジマ相模原ライズ、パナソニック・インパルスの6強がリードしている図式だろう。日本一経験を持つ名門アサヒビール・シルバースターや、アサヒ飲料チャレンジャーズが再び台頭してここに加われば、学生アメフット以上の白熱したライバル関係、好カードが続出するはずだ。


 分かりにくいと言われる新方式だが、例えば日本の大相撲の取り組みが、どうやって決まるか知らないファンの方が多いだろう。リーグ戦段階で東西の強豪対決が実現するなど、画期的な部分も多い。


 ファンには面白い対戦が増えることが伝わればそれで十分だ。その面白い対戦を「濃く激しいライバル関係」にまで高めることができるか。大げさに言えば、Xリーグの未来もそこにあると思う。

【写真】現在のXリーグで最もホットなライバル、オービックと富士通=撮影:Yosei Kozano