日本社会人アメリカンフットボールのXリーグは開幕から3週間、第2節を終えた。ウエストでは前年地区4位のエレコム神戸ファイニーズが、開幕戦でパナソニック・インパルス、第2戦でアサヒ飲料チャレンジャーズと、2強を撃破し話題を呼んでいる。


 関東でも、開幕戦でセントラルのオール三菱ライオンズ(前年地区4位)がLIXILディアーズを苦しめたが、それ以外の対戦はいつものように大量点差のワンサイドゲームが続いている。
 そんな中、注目のカードとなったのが、15日、東京ドームで行われた、セントラルのLIXIL対アサヒビール・シルバースターの一戦だった。


 LIXILは鹿島からの移行を期に、チームを支えたベテラン選手が引退する中で、新人の補強も限定的となった。鹿島時代は、Xリーグの企業チームの中でも特にしっかりとした支援を受けていただけに、クラブ化して不慣れの部分も多いようだ。
 他方、シルバースターは佐々木康元ヘッドコーチ(HC)が就任2年目。オフェンスでQB安藤和馬、WRに林雄太、松原弘樹、秋山翔、光の兄弟らスピードのある選手がそろい、復活の兆しが見える。ここ数年水があいていた両者だが、過渡期でチーム力の低下が否めないLIXILを、シルバースターが倒す可能性が大いにあると思われた。


 開始早々、LIXILのウエポン、WR前田直輝が66ヤードのビッグリターン。好ポジションを得たLIXILオフェンスは、QB加藤翔平がノーハドルからリズムよくパスを決めて、3プレー目、1分9秒で先制タッチダウン(TD)を挙げた。
 LIXILは次のドライブでもノーハドルから小気味よく前進。このドライブはインターセプトで終わり、得点にはならなかったが、オフェンスがしっかり機能していることを印象付けた。
 その好調さは、4回目のドライブでも裏付けられた。1プレー目にQB加藤からアンダーニースに走り込んだWR宮本康弘にクイックヒットのパス。宮本は快足を飛ばしてシルバースターDB陣を振り切り50ヤードのTDを決めた。
 次の攻撃では自陣10ヤードから14プレーかけて85ヤードを進み、TDはならなかったがフィールドゴール(FG)で着実に17点差とした。


 対するシルバースターはQBに安藤、ベテラン東野稔、オフェンスコーディネーター兼任の有馬隼人の3人を、同じドライブの中でも入れ替えるオフェンス。有馬がロスタックルを浴びる場面もあり、結果的にうまく機能せず、4回連続でパントに追い込まれた。
 前半残り3分19秒から得たドライブでも、27ヤードを進みながら結局は51ヤードのFGトライを失敗し、0―17で後半へ折り返した。


 前半もたついたシルバースターのオフェンスだが、ハーフタイムのアジャストは的確だったようだ。後半最初のドライブ、QBを安藤で固定するとリズムが出始め、8プレーで55ヤードを進むと、最後はWR松原にTDパスを決めて追撃態勢に入った。
 第4クオーター開始早々にはLIXILからファンブルでボールを奪うとFGを決めて1TD差とした。


 対照的に、後半に入って攻撃が進まなくなったLIXILは、第4クオーター残り4分で第3ダウン20ヤード。ファーストダウンを奪えなければパントとなる。守備のラッシュをかわしながらQB加藤が投じたロングパスは、シルバースターDB岡本哲平のほとんどインターセプトという好守で弾かれた。
 しかし、フィールドにはイエローフラッグ。同じプレーでLIXILのWR前田に対する「アンネセサリー・ラフネス=不必要な乱暴な行為」があったのだ。自動的にファーストダウンを得たLIXILは、その後2本のパスをつなぎ前進すると、FGを決めた。


 シルバースターは残り2分55秒からの攻撃となった。10点差と状況は厳しくなったが、このドライブでやることには変わりはない。それは早い段階でTDを奪うこと。
 残り1分を切ったところでレッドゾーンに入ったが、パスをキャッチしたレシーバーがインバウンズで倒されるなどちぐはぐな部分が露呈する。最後は残り24秒、第4ダウンのギャンブルで安藤のパスが失敗して、勝敗は決まった。LIXIL20点、シルバースター10点。


 得点差を考えれば、レッドゾーンに入った第1ダウンでFGを蹴って、時間とタイムアウトを残しながら次のキックオフでオンサイドキックにかける手もあるとは思ったが、それは机上の戦術というものだろう。


 表面上は第4クオーターの反則が勝敗を分けた試合だ。しかし私の考えは違う。シルバースターは前後半ともに最後の約3分をずっと攻撃しながら、そこで無得点だった。
 結局それがこの試合を決めた。QB安藤はパス24/31、成功率は77%で257ヤードを獲得。強豪相手に大学時代以来のさえを見せたといってもいい。
 ただ、QBの真価は2ミニッツオフェンスで決まる。好パフォーマンスだったからこそ、クロックマネジメントも含めた宿題が残ったと思う。


 LIXILの森清之HCは、「今はとにかく試合に勝つ」ことを主眼としている。前節のオール三菱戦から3週間という時間をきっちり生かし、練習で作り込んだフットボールを展開、前半の貯金につなげた。


 OLでは負傷の笠井公平に代わって荒井航平が社会人となってからは「試合ではおそらく初めて」(森HC)というCをプレーした。荒井はショットガンのスナップをそつなくこなしただけでなく、日本代表のDTとしても活躍してきた強力ランストッパーの米田隆之と当たり続け、力負けしなかった。
 さらにルーキーの服部真明がパワフルなブロックで穴を埋めた。オール三菱戦ではラン7回12ヤードと精彩を欠いたRB丸田泰裕のランが、10回70ヤードと復調の兆しを見せたのも、攻撃ラインをやりくり算段しながらの奮闘がベースにある。


 苦しみながらの連勝スタートとなったLIXILは今後、ブルズ、太陽ビルマネジメントと2戦し、1カ月余り後に王者オービックにぶつかる。
 この日程は恵みの雨かもしれない。率直に言って、力量差が明確にあるチームとの2試合、勝負をかけてガツガツ当たらなければならない相手ではない。トップ選手の力は、オービック、富士通にも匹敵するLIXILだが、この2、3年で層が薄くなった。
 Xリーグ最強と自他ともに認めていたOLも今は7人しかいない。傷を癒し、鍛え直し、作り込むには良い期間なのではないだろうか。


 Xリーグのみならず、日本のアメフットのトップランナーとして疾走するオービックと、クラブチーム1年目のLIXIL。昨年までトップを争ったライバルは、今あらゆる意味で差が開いたように見える。この1カ月余でLIXILがどんな取り組みをするのか、期待したい。

【写真】2Q、加藤からのパスを受けファーストダウンを奪うLIXILのWR岩井=撮影:Yosei Kozano、15日、東京ドーム