縁があって、3月22日にグアム島であった女子アメフットのゲームを撮影した。「東京ブレイズ」と「大阪ワイルドキャッツ」による合同チーム「ブレイズキャッツ」と、地元グアムの女子リーグ、グアム・ウィメンズ・タックルフットボール・リーグ(GWTFL)所属の「チーム・レガシー」の対戦だ。


 レガシーは2012年から始まったGWTFLの2年連続王者。昨年は9戦全勝で、47―0で勝った優勝戦を含め大半の試合を圧勝した、名実ともにグアムのナンバーワンチームである。
 試合前の練習を見ただけで、その実力は推測できた。体が大きくアスリート体型で、アイランダーにありがちな肥満体型の選手が少ない。短い指示にきびきびと動き、無駄がない。選手の人数は30人以上。一方、ブレイズキャッツは11人。特別ルールの8人制で行われるとはいえ、厳しい展開が予想できた。


 乾期にあたる3月、炎天下での試合。ブレイズキャッツは、オプションからRB荻田都季江の外のランでゲインを目指したが、レガシーのLBダナ・ビーナベンテの上がりが速くゲインできず。
 逆に、レガシーは長身のエースRBジアンナ・サルサルがスイーププレーから外をまくって先制タッチダウン(TD)、さらに次のドライブでもリバースからのランでTDを決めた。


 金高恵美、後藤美穂らブレイズキャッツの攻守ラインは、一回り大きいレガシーの選手たちに当たり負けしていなかった。
 日本人としても小柄なFB牛山春佳のダイブが何度もボールを前に運び、現地の場内アナウンスで、彼女の名が連呼された。しかしQB高崎敦子のパスをインターセプトし、そのままエンドゾーンに走り込んだのは、またしてもLBダナだった。


 パス守備の要、中尾慈子が指の脱臼で退き、大半の選手が交代もなく出ずっぱり。敗色濃厚なブレイズキャッツだったが、あきらめることなく身体を張ったプレーで愚直に前進、試合終了間際にはRB荻田がエンドゾーンに走り込んでTDを奪い、一矢を報いた。
 最終スコアは7―18。敗れはしたが、力を出し尽くした選手たちの顔は、充実感にあふれていた。


 興味があったのは、米本土からも遠く離れた太平洋の小島グアムでどうして女子フットボールリーグが可能なのかだった。
 グアムの人口は約16万とも18万とも言われ、日本で言えば、鎌倉市(神奈川)、今治市(愛媛)、釧路市(北海道)に近い。そこに女子リーグがあり、5チームで200人近くの選手がいる。更に別の女子リーグ(4チーム)も起ち上げられるという。


 試合後にエースQBでキャプテンのモーガン・レイエスに話を聞いた。本職は警察官というモーガンは32歳で昨シーズンの攻撃MVP。アメフットは10歳の時から始めて20年以上になるという。
 試合でこそパスを決められなかったが、練習では35ヤード程度を投げるなど女性としては強肩の部類に入るだろう。


 レガシーの選手は大まかに言って17~23歳までの若手と、結婚・出産を経て復帰したベテラン層に分かれるという。比較的経験が浅い一方で、身体能力に優れた若い選手を、フットボール経験の豊富なベテランが指導する形だ。
 島内の高校や、グアム大学には女子フットボールチームはないので、GWTFLのチームがフットボール志望のティーンの受け皿となっている。また他のスポーツとの掛け持ちや転身も多い。
 先制TDのジアンナは高校ではバスケットボールの選手として活躍、同時にボクサーとしてリングに上がっていただけでなく、サイパンで行われた総合格闘技(MMA)の大会にも出場したことがあるという。
 逆にモーガンから「日本に女子のチームはいくつあるの」と質問され、言葉に窮した私は、日本におけるアメフット認知度の低さと競技人口の少なさを説明せざるを得なかった。結局のところ、女子も男子もなく、日本のアメフット人気と認知度を上げていくしかない。


 グアムはフットボール以外にも、野球、ソフトボール、ラグビー、サッカー、バレーボールなどのリーグがある。さらに近年はMMAも盛んに行われている。3泊、4泊の旅行でショッピングと観光だけで帰国する日本人が知らない側面を持つ島だ。
 日本の女子アメフットもしばらくの間は定期的な交流を持って、練習や試合だけでなく、チームやリーグの組織作りなどをグアムに学べばいいのかもしれない。

【写真】相手タックルを引きずり突進するFB牛山春佳=撮影:Yosei Kozano、3月22日、グアム島