社会人フットボールXリーグでは、ここ数年外国人選手、特に本場・米国出身の選手の活躍が目立っている。Xリーグの内規では外国人選手登録は1チーム4人まで、ただしNFLなどの米国プロリーグで活動した選手は資格がない。そして同時にプレーできるのは2人までとなっている。今週と来週の2回に分けて、リーグを席巻する外国出身選手を紹介したい。今週はまずオフェンス編。(年齢、名前の日本語表記、身長・体重はチーム発表資料に準じた)


 ◇フランク・フェルナンデス(28歳、OL=オービックシーガルズ)
 Xリーグ6年目となったベテラン。米ハーバード大では32試合に出場し、4年次はオールアイビーリーグに選出された。2008年にオンワード(当時)へ入団、2年目からオービックへ移籍した。187センチ134キロの巨体から繰り出されるパワーあふれるブロッキングと抜群のプレー理解を兼ね備え、オービックのライスボウル3連覇に貢献。背番号は大学時代から変わらず「67」。


 ◇ケアラカイ・マイアバ(24歳、OL=オービックシーガルズ)
 今季オービックに入団。太い腕に童顔がミスマッチの「リアル金太郎」。米カレッジの名門UCLAで主にセンターとして活躍、25試合に先発出場した。134キロの巨体ながら、米NFLドラフト前の計測では40ヤード5秒09、垂直跳び27.5インチ(70センチ)という高い身体能力を誇る。オービックではレフトタックルに起用されQBのブラインドサイドを守る。兄カルカはNFLレイダーズの現役LB、父スコットも元NFL選手、祖父ネフ・マイアバはプロレスラー。WWEのスター「ロック様」ことドウェイン・ジョンソンは叔父というフットボール、プロレス一家。


 ◇ケビン・クラフト(28歳、QB=IBMビッグブルー)
 2012年秋から登場し旋風を巻き起こした長身パサーは、米UCLAでエースも務めた本格派。昨季はパス1628ヤード、20タッチダウン(TD)、3インターセプトと、リーグのパス記録を軒並み塗り替える活躍。2年目となる今季は攻撃コーディネーターも兼任し、チーム初となる王座を目指す。第2節のノジマ相模原戦(9月14日)で惜敗し、第3節のオービック戦で巻き返しを狙う。父・トムさんもサンディエゴ州立大などで活躍したQBで、多くの短大・大学チームのヘッドコーチを歴任したフットボール一家。サイドラインで常に大声を出し、チームを牽引するが、競技場の外では極めてもの静か。


 ◇ジョン・スタントン(26歳、TE=IBMビッグブルー)
 QBクラフトと同じ2012年にデビュー。NCAAディビジョン3のセントジョーンズ大ではLBとして3年間プレー。58タックル6インターセプトを記録した。日本ではTEやHBとして、巨体に似合わぬ巧みなルート取りとパスキャッチで488ヤード、7TDはともにリーグ1位。クラフトのメーンターゲットとなっている。


 ◇ジーノ・ゴードン(24歳、RB=富士通フロンティアーズ)
 今季から富士通に加入。ハーバード大では38試合に出場しラン通算2643ヤード、23TD。4年次には1059ヤード10TDでアイビーリーグMVPをはじめ、各賞を総なめにした実力派。Xリーグではここまで2戦で142ヤード3TDだが、本来の力はいまだ発揮されていない感がある。
 母ふじこさんは日本人。長崎・佐世保で生まれ、4歳半まですごした。米カリフォルニア・サンディエゴに移住後も、家の中では靴を脱ぎ、箸を使って食事、外出前にはご先祖様にあいさつを欠かさなかったという。ハーバードでは日本語も学び、好きな食べ物はご飯、ねぎの味噌汁、ラーメン。


 ◇デレク・ファービー(30歳、OL=ノジマ相模原ライズ)
 Xリーグ3年目。米ハワイ大では45試合に出場、ラン&シュートオフェンスによる強力パス攻撃を支えた。来日後は一転してノジマ相模原が誇るパワーラン攻撃の中核となり、1年目の2011年シーズンにはオールXリーグ選出。ハワイ大の後輩アスーンと並ぶ強力なインサイドは他チーム守備陣の脅威。ポジションはセンター。


 ◇キース・アスーン(27歳、OL=ノジマ相模原ライズ)
 ハワイ大では4年間で43試合に出場、2007年の3年次は左タックルとして13試合に先発し、QBコルト・ブレナンのブラインドサイドを守って得点全米1位の攻撃を支えた。チームは12勝1敗でシュガーボウルに出場、米4大ボウルに先発経験を持つ唯1人の現役Xリーガー。Xリーグデビューは同僚ファービーと同じ2011年。1年のブランクを経てカムバックした。左のガードとしてパワフルなブロックでRBの道を切り開く。


 ◇イノケ・フナキ(30歳、QB=エレコム神戸ファイニーズ)
 ハワイ大では3年次先発。同大で2年間アシスタントを務め今季からXリーグデビュー。


 ◇ブライセン・ジンラック(25歳、OL=エレコム神戸ファイニーズ)
 ハワイ大では4年次に13試合先発。昨シーズンノジマ相模原に入団、今季エレコム神戸に移籍。


 ◇ダニエル・ブカロウ(27歳、OL=エレコム神戸ファイニーズ)
 ユタ大学ではウォークオン(一般入部学生)だったが、4年次に奨学生となった努力家。3年間海外で伝道師として活動後フットボールに復帰した。今季からXリーグデビュー。


 攻撃選手の大半がOLであることに気がつく。OLはサイズやフィジカルの差が最も出るポジション。そして、アメリカンフットボールのチーム作りの基本はラインの強化ということもあるだろう。他方でIBMのようにQBを外国人にして、ハドルをすべて英語にするなどの抜本的な攻撃改革をするチームもある。個人的な考えではWRやRBにもう少し米国出身の選手がほしい。そして11年シーズンまで約10年富士通などでプレーし、チームの危機には必ずパスをキャッチした「ミスター・クラッチ」ブラッド・ブレナンのような選手が増えてほしいと願っている。

【写真】2008年から日本でプレーするオービックのOLフェルナンデス=撮影:Yosei Kozano、8月31日、川崎球場