9月1日、社会人フットボールXリーグの今季第1節、鹿島ディアーズ対東京ガスクリエイターズが、仙台市のユアテックススタジアム仙台で開催された。この試合はXリーグ初の東北での公式戦となった。日本社会人協会、日本協会、東北学生連盟の三者による共同の東北復興支援事業だ。深堀理一郎・日本社会人協会理事長によれば、東北での公式戦開催は、東日本大震災以降、プランとしてはずっと協会内にあったという。それがようやく実現した。


 今シーズン限りで鹿島本社からの支援が終了となる鹿島は、オープニングの選手入場では丸田泰裕主将と並んで、東北大出身のRB佐藤昭一郎が先頭を切った。コイントスには、岩手県宮古市、宮城県石巻市、仙台市、福島市など被災地の子どもたちが深堀理事長と手をつないで参加した。


 約2100人の観衆が詰めかけた試合は、鹿島の今季にかける決意が伝わる内容で東京ガスを圧倒した。鹿島は昨シーズン最終盤に膝を負傷したQB加藤翔平が9カ月ぶりにカムバック、ロングパスで2本のタッチダウンを決め、復活をアピール。地元出身の佐藤はTDを挙げられなかったが、岩倉慶成、伊藤義隆の若手RBコンビが3TDをマークし伝統のラン攻撃健在を印象づけた。試合後、佐藤が「今は日本一を目指せる環境にいるが、自分の後に続いてほしい」と、東北の学生プレーヤーたちにエールを送った。


 試合の協賛企業、ボディプラスインターナショナルの佐藤佳代子さんは「観戦に来ていた学生プレーヤーへの影響はかなり大きかったと思います」。試合後に開催された両チームによるアメフット体験クリニックの内容がとてもよかったと言い「ゲーム感覚で、楽しくアメフットを体験できました。チームからのプレゼントもあり参加者の笑顔がとても印象的でした」と話した。今後の課題としては、観客が鹿島側にかたよってしまったことをあげ「両チーム同じくらいの応援者が欲しかったと思います」と話してくれた。


 「杜の都」にふさわしい、青々とした豊かな芝のフィールド上のゲームを撮影しながら脳裏をよぎった言葉は「情けは人の為ならず」。被災者の苦しみや困難とはまったく比較にはならないが、Xリーグ自体がこの数年苦境からなかなか抜け出せない。2006年以降の8シーズンで、5チームがメーンスポンサーの撤退や支援停止を決めた。そのうち4チームが活動を停止し、新規参入できたのはノジマ相模原ライズだけ。さらにブルズフットボールクラブ(旧日本ユニシスブルズ)も、新スポンサー探しに奔走していると聞く。


 そんな中での復興支援事業。協会は今後5年間東北での公式戦開催を約束している。東北の子どもたちが、アメフットやフラッグフットボールを体験する機会を提供したり、東北におけるアメフットチーム作りを支援していくこともうたっている。


 今回、東京ガスは約50人の選手、スタッフが試合の翌日に復興支援ボランティアをしてきたそうだ。仙台市若林区の畑で農作業再開のために、土中のがれきを撤去、作業終了後は、津波被害が大きかった同区荒浜を見学したという。チームのブログには「実際に被災地を見て、その場にいた方々のお話を伺い、テレビで見た時には想像もできなかったことを垣間見ることができました」「たいへん貴重な経験をさせていただきました」と記されている。今後も、選手やチーム関係者が被災地を訪れる機会は続くだろう。未曾有の災害に遭った方々が、それでも生きていこうとする強い姿を見て、逆に勇気づけられたり、なにかを得たりするのではないか。それが社会人アメフット復興の力にもなればいい。そう思っている。

【写真】力強いランで2TDを奪った鹿島のRB岩倉=撮影:Yosei Kozano、9月1日、ユアテックススタジアム仙台