今年のジャパンエックスボウルで、富士通フロンティアーズが悲願の社会人チャンピオンに輝きました。6度目の決勝進出でようやくつかんだ初優勝です。


 富士通には昨年から在籍しているRBジーノ・ゴードン選手、CBアルリワン・アディアミ選手に加えて、今年はQBコービー・キャメロン選手、DEオースティン・フリン選手が新たに加入しました。


 過去5度も社会人日本一挑戦し、いずれも敗退。「今度こそは、今度こそは」という昨年と今年で4名の外国人が加入。私にとって、富士通の外国人選手がチームのどんな存在になっていくのか、とても興味があったシーズンでした。


 ルーキーCB石井悠貴選手から聞いた話です。
 石井選手はファーストステージのIBM戦で、相手のQBクラフト選手から、試合を決定づける貴重なインターセプトを演出します。


 そんな値千金のインターセプトに「日頃からコービー(キャメロン)のボールで練習しているので、気づけば速いボールには目が慣れていました」と、キャメロン選手との練習の成果を強調しました。


 実はこの試合、石井選手がアディアミ選手と交代で登場したのは終盤になってからのこと。交代の少し前から「体を動かしておけよ」と声をかけ、サイドラインで練習につきあってくれたのはアディアミ選手だったそうです。


 石井選手には毎試合約束があります。富士通は試合前、背番号順に整列するので、背番号28番の石井選手の隣にいるのは29番のゴードン選手です。


 「今日の目標は?」ゴードン選手から聞かれ、お互いに試合の目標を誓い合うのが二人の恒例行事。ゴードン選手の目標はいつでも「2タッチダウン」。石井選手は試合に出られる時間が限られていることもあり、目標が低いと「一つはインターセプトしてこい!」と言われるのだとか。そんな二人の約束は今も毎試合続いています。


 つづいてOL小林祐太郎選手から聞いた話を。
 「外国人選手は、初めの一歩の大きさ、パワーが違う。今までは試合で外国人DEと当たるとき、前半で感覚をつかんで、後半やっと戦えるという感じだったけれど、今は日頃から“対オースティン(フリン)”で練習しているので、はじめからしっかりとしたイメージを持って戦える。その分余裕も出てきた。」


 小林選手といえば日本を代表するオフェンスタックルの選手。それでも、今まで対外国人となるとなかなか戦えなかったのです。ですがファイナルステージのオービック戦、小林選手はこの言葉通り、試合開始から目の前のケビン・ジャクソン選手をぐいぐいと押していくのです。


 加えてこの試合、フリン選手のいない前半を3失点で抑えたというのは、DL陣の成長があってのものといえるのではないでしょうか。


 外国人QBの加入によりWRが成長し、さらにはDBが成長する。DEの加入によりDL全体が、そして対面するOLが成長する…。こうして富士通は2年をかけて各ポジションが成長してきたようです。


 そしてやってきた決勝の舞台。6度の決勝を経験している選手もいれば、初めての決勝という外国人選手もいる。それぞれの選手が、それぞれの思いを背負っての決勝の舞台です。


 確かにまだ言葉は完全に通じないかもしれません。それでも「このチームで、この仲間と日本一になりたい」という思いは皆同じなのです。社会人日本一を達成した瞬間、チームメートと抱き合って喜ぶ4選手それぞれの姿をみて、だからこそつかめた栄冠なのだと思いました。

【写真】パスをインターセプトする富士通DBアディヤミ=撮影:Yosei Kozano、15日、東京ドーム