(前編からつづく)


 初めて選ばれた日本代表。刺激、手応え、課題…。たくさんのものを得たと話す東松選手。


 「いま、自分に圧倒的に足りないものはフィジカルです。フィジカルを強化し、自分の長所であるスピードとカットバックに磨きをかけます。」


 そんな話のやりとりのなかで、何気なく東松選手から出てきた言葉。
「僕にとってのライバルは父なんで」


 尊敬する選手でも、目標とする選手でもなく「ライバル」?
 「はい、ライバルです」
 東松選手は爽やかにそう即答しました。


 なるほど。
 尊敬する選手、目標とする選手というのは、そこに追いつきたいという対象。でもライバルというのは、勝つべき対象です。


 つまり東松選手にとっての最大の目標はフットボール選手として「父を越えること」なのです。


 東松選手のお父様はシルバースターで活躍され、名RBとしてアメフトファンのなかの記憶に残る選手です。日本一も経験されました。


 お父様をよく知る方からは「お父さんはすごかった」「お父さんの方がすごいな」と言われることもよくあるのだとか。
 そんなお父様を越えるというのは、現役選手ではないわけですから、東松選手にとってどういうことなのでしょうか? それは


 「ノジマ相模原ライズで日本一になること、そして日本代表として実績を残すこと」だと話します。
 お父様とは直接競えない。だからまずはお父様と同じ日本一になる。では越えるとなると…それが日本代表として活躍すること。ですがお父様の時代は日本代表というのがありません。それでは比較することができないのでは?


 わたしなりに考えてみました。
 もしかすると、「あの東松の息子」は、日本代表として世界と戦い活躍することで
 「東松っていうあのすごいRBのお父さんは、かつてシルバースターで活躍された方で、その方もRBだったんだよ」となるのではないかと。


 もちろん東松選手のことを今でもそう認識されている方は少なくないはずです。
 でも偉大な父を持つからこそ、父は偉大だと思うからこそ、その二つの結果を残すことで、東松選手は初めて自分で自分を認められるのかもしれません。


 そしてもし、お父様の現役時代に日本代表があったならば、きっとお父様は日本代表を目指したことでしょう。


 お父様を越えることは、同時にお父様の夢をかなえること。
 楕円形でつながる親子の絆。楕円形でつながる親子の夢。


 東松選手にとって、今シーズンは本当に大切なシーズンとなりそうです。

【写真】進化を続けるノジマ相模原のエースRB東松瑛介=撮影:Yosei Kozano