NFLジャイアンツのエースQBイーライ・マニングが、先発の座を譲ることになった。
 第13週のレイダーズ戦ではジーノ・スミスが司令塔を務める。新人だった2004年シーズン途中から続いていた連続先発出場は210でストップする。


 マニングは一昨年限りで引退したペイトン・マニング(コルツ、ブロンコス)の弟で、1970~80年代半ばまでセインツ、オイラーズ、バイキングズなどでプレーしたアーチー・マニングを父に持つ。
 スーパーボウルでチームを2度の優勝に導き、ともにMVPに輝いた。ペイトリオッツのトム・ブレイディがスーパーボウルで唯一勝てていない相手でもある。


 こうした実績あるフランチャイズQBが、シーズン途中で故障ではなく、チームの成績不振を理由に「降格」させられるのは異例だ。
 通常はシーズン終了を待って戦力外通告をするか、QB自らが引き際を悟って引退、もしくは移籍の決断をする。


 ジャイアンツは現在2勝9敗と低迷している。マニングだけの責任ではないのだが、ベン・マカドゥーHCはQB交代に活路を見出す考えだ。


 マニングは降格の通告に驚いたようだが、「全力でジーノのサポートをする」と大人の対応を見せている。
 とはいえ、本心は忸怩たる思いに違いない。マニングは2019年までジャイアンツとの契約が残っているが、来年以降もチームに在籍するとは思えない。たとえ来年の先発復帰が約束されたとしても、残留するにはプライドが許さないだろう。


 ジャイアンツもマニングがまだ現役を続行できるうちにトレードで放出して、ドラフトの高いラウンドの指名権を獲得するほうが得策だ。
 新しいQBは来年のドラフトで獲ればいい。このペースでいけば、早い指名順位が得られるはずだから。


 もし、マニングが獲得可能となれば欲しがるチームはたくさんある。長年フランチャイズQBに恵まれないブラウンズやカイル・シャナハンHCの複雑なオフェンスを操れるベテランが欲しい49ersはその筆頭だ。


 今季3人のQBを起用していずれも失敗に終わったブロンコスやアンドルー・ラックの復帰時期が見えないコルツなら、かつて兄が在籍したチームでのプレーが実現することになる。


 今季7勝4敗と好調なジャガーズはQBブレイク・ボートルズの調子が今ひとつ。かつてジャイアンツのHCだったトム・コフリンがアドバイザーを務める縁から引き抜きがあれば面白い。
 ペイトリオッツキラーとして、同じAFC東地区のビルズあたりが食指を伸ばすシナリオもありか。


 どのチームが獲得の意思を表すにしても、マニングに長期スターターを任せることはない。
 マニングの現役生活もあと2、3年だろう。だから同世代のQBを持つチャージャーズ(フィリップ・リバース)、セインツ(ドルー・ブリーズ)、スティーラーズ(ベン・ロスリスバーガー)はありえない。


 マニング獲得と同時にドラフトで新人QBを指名して、新たな人材が育つまでのつなぎ兼指導役とするのが現実路線ではないだろうか。
 すると、やはりブラウンズや49ersが有力となる。ただ、ブラウンズでは引退までにプレーオフを目指せる可能性は低く、マニング自身が移籍を拒む可能性はある。


 49ersはジミー・ガロポロをシーズン中のトレードで獲得したばかりだ。シャナハンはレッドスキンズの攻撃コーディネーター時代に指導したカーク・カズンズを熱望しているとの噂もある。
 カズンズは2年連続で1年契約でプレーしており、来年オフのチームとの契約交渉が注目される。交渉が決裂してフリーエージェントとなった場合、これも引く手あまたの人材となることは間違いない。


 スーパーボウル(来年2月4日・ミネソタ州ミネアポリス)までまだ2カ月余りある中でオフの話題は気が早すぎるが、思わずそんな妄想に駆られてしまうほどマニングの突然の降格は衝撃的なニュースだった。
 マカドゥーの決断が吉と出るか凶と出るか、そしてマニングの今後の去就は。プレーオフに向けた戦いとは別に、気になる動きである。

【写真】チームの成績不振の責任を取らされる形で降格となるジャイアンツのQBマニング(AP=共同)