NFLの2017年シーズン開幕を目前に、カウボーイズに衝撃が走った。昨年ルーキーでありながら1631ヤードを走ってリーディングラッシャーとなったRBエジキール・エリオットが、NFLから6試合の出場停止処分を受けたのだ。


 同期入団のQBダック・プレスコットとともに、昨季13勝3敗の好成績を収めたカウボーイズを支えたスター選手の不祥事は、開幕直前のお祭りムードに水を差した。


 処分を不服としたエリオットは異議申し立てをし、ロジャー・グッデル・コミッショナーのヒアリングを経たあとに再び処分を言い渡されるものとみられる。
 ここでも納得しない場合、訴訟に持ち込まれる可能性も否定できない。


 処分の理由は昨夏、エリオットが当時の交際相手の女性に数回にわたって暴行し、顔や首などにけがを負わせたという嫌疑だ。
 NFLは1年にも及ぶ独自調査を行い、処分を決定した。


 今回の事案が過去と異なるのは、エリオットの件は不起訴処分となっていることだ。事件発覚後、オハイオ州コロンバスの検察は証拠不十分として不起訴の決断を下した。
 NFLは司法判断を待って選手の処分を決めるのがこれまでのやり方だった。裁判が結審するまで処分はペンディングとなり、選手は試合出場も可能だった。


 ところが今回は司法が「シロ」とした判断を覆す処分を決定したのだ。NFLは検察とは異なる独自の証拠の入手に成功したとも伝えられ、調査を命じたグッデル・コミッショナーの本気度がうかがえる。


 NFLがより厳しい判断に傾いたのは、2014年に立て続けに起こった処分問題が背景にある。
 この年は元レーベンズのRBレイ・ライスが、当時婚約者だった現夫人に対する暴行でチームから解雇され、前バイキングズで現セインツのRBエイドリアン・ピーターソンは、息子に対する虐待が発覚して1試合の出停止処分を受けた。


 しかし、ライスの場合はのちに婚約者を殴って気絶させた映像が公開され、ピーターソンは幼児虐待を非難する世論が強くなったこともあって処分が無期限に修正されるという事態につながった。
 この反省からNFLは行動規約を改正し、より厳しくリーグ関係者の行動を律するようになったのだ。


 エリオットの件は自身の申し立てとNFLの調査内容、さらに被害者の訴えにそれぞれ隔たりがあり、再調査は難航しそうだ。
 その上でグッデルがどのような判断を下すのかは注目に値する。


 ところで、カウボーイズではこれが4人目の出場停止処分だ。すでにDEランディ・グレゴリー(1年)、DTデービッド・アービン(4試合)、DEダモントレー・ムーア(2試合)の出場停止が決まっている。
 さらにLBデイミアン・ウィルソン、CBノーラン・キャロルにも今後処分が下される可能性がある。


 カウボーイズのオーナー兼GMであるジェリー・ジョーンズ氏は、今年プロフットボールの殿堂入りを果たすなど、NFLへの貢献度が高く、また影響力の大きい人物だ。
 彼は、不祥事を起こした選手にも更生を願ってセカンドチャンスを与えるというポリシーを公言している。


 その志は素晴らしいが、同時にこれだけの選手がリーグから処分される風紀の乱れはただされなければならない。
 「アメリカズチーム」と呼ばれ全米で人気のあるカウボーイズだけに、清廉潔白とはいかないまでも責任ある行動が求められる。

【写真】ラムズとのプレシーズンゲームでサイドラインから戦況を見つめる、カウボーイズのRBエリオット(中央)(AP=共同)