第51回スーパーボウル(現地時間2月5日=日本時間6日・テキサス州ヒューストン)に出場するのは、NFL最多9度目となるニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC第1シード)と、18シーズンぶり2度目のアトランタ・ファルコンズ(NFC第2シード)となった。


 ともにカンファレンス決勝で相手を大差で破り、王座決定戦に進出した。ラスベガスのオッズは早くもペイトリオッツを3点差で有利と予想しているが、これは過去のスーパーボウルでの実績が考慮されてのことだろう。
 ペイトリオッツもファルコンズもレギュラーシーズン中の好調を維持しており、好ゲームが期待される。


 試合の見所は次週に紹介するとして、今季のプレーオフを振り返ってみたい。ここまでの10試合を通じて感じるのは、勝ち進むチームと敗退するチームに間には厳然とした格差があるということだ。
 NFLは全32チームの戦力均衡(パリティー)を是とし、完全ウェーバー制のドラフトや総年俸を制限するサラリーキャップ制度などでそれを実現しようとしている。


 確かにレギュラーシーズン中は低迷しているチームが勝率の高いチームを倒す試合も少なくなく、球団間の実力差は紙一重と感じさせることもある。
 しかし、プレーオフに進出するチームが毎年ほぼ同じ顔ぶれであり、さらに「新顔」が登場してもスーパーボウルまでにはなかなか届かない事実を考えるとそこに格差があることを否定できない。


 今年のプレーオフ進出12チームの中でレイダーズ(14年ぶり)、ドルフィンズ(8年ぶり)、ジャイアンツ(5年ぶり)がいわゆる「新顔」であったが、いずれも1回戦を突破できなかった。
 QBデレク・カー(レイダーズ)とQBライアン・タネヒル(ドルフィンズ)の故障欠場により本来の力が出せなかった事情はあるが、これもチームが受け入れなければいけない現実だ。


 結局1回戦で勝った4チーム(テキサンズ、スティーラーズ、シーホークス、パッカーズ)はいずれも昨季のプレーオフを経験しているチームだ。
 さらに言えば、カンファレンス決勝に進んだ4チームもファルコンズ以外は近年に複数回のプレーオフ出場がある常連組である。


 では、その格差はなぜ生じるのか。過去のポストシーズン経験や首脳陣の采配などもあるが、今年のプレーオフで印象的だったのはクオリティーの高いプレーを大事な場面で決める能力である。
 その顕著な例はパッカーズがNFC第1シードのカウボーイズを破ったディビジョナルプレーオフに見ることができる。


 場面は第4Q終盤、カウボーイズがFGで31―31の同点に追いついた直後のパッカーズのドライブだ。
 残り時間は35秒。パッカーズには時間を使い切ってオーバータイムに持ち込んで仕切り直しという選択肢もあった。しかし、最大18点差がついた展開から追いついたカウボーイズにはモメンタムがある。パッカーズは試合を決めにかかった。


 パッカーズが苦境に立たされたのは3プレー目だ。QBアーロン・ロジャーズがサックされて大きく後退。タイムアウトで時間を止めた後、1回のパス失敗を挟んで自陣32ヤードからの第3ダウン20ヤードとなった。
 ゲームクロックの表示は0:12。オーバータイムに持ち込むという選択肢が再び頭をよぎる場面だが、パッカーズは勝負に出た。


 ロジャーズはインターセプトを恐れず一気にファーストダウンを更新するパスを投げる。それをTEジャレッド・クックがサイドライン際で膝をたたみながらタイミングをとり、つま先だった両足をぎりぎりインバウンドに残して劇的なキャッチを成功させた。
 このプレーによってパッカーズは敵陣33ヤードでファーストダウンを獲得し、メーソン・クロスビーの51ヤードFGによって勝利を勝ち取ったのである。


 たった一つのプレーで勝敗が決まるわけはない。ただ、このロジャーズからクックへの起死回生の35ヤードパスによってパッカーズが勝利を引き寄せたことは間違いない。
 この大事な場面でこれほど難しいプレーを決めてしまうところに、パッカーズのプレーの質の高さを感じるのだ。


 こうしたプレーを必要な時に成功させられるか否かの差は歴然として存在する。裏を返せば、こうしたプレーを生み出すことができなければチャンピオンシップレベルに達していないということだ。


 敗退したチームの試合には「このパスが捕れていれば」とか「ここでファンブルがなければ」といったプレーがあるものだ。
 プレーオフでそれを経験したチームは一段高いレベルを目指して翌年に臨む。それがプレーオフでの戦いを知っているということであり、常連が常連たる理由なのだ。


 目を見張るようなプレーでカウボーイズを倒したパッカーズも、NFC決勝ではファルコンズにねじ伏せられた。
 ファルコンズもまたクオリティーの高いプレーを随所に見せた。CBジェイレン・コリンズのファンブルフォースとリカバー、WRフリオ・ジョーンズの二つのTDパスキャッチなどはぜひハイライト映像で楽しんでもらいたい。


 NFLの王者を決めるスーパーボウルでも、質の高いスーパープレーを見てみたいものだ。現在のペイトリオッツとファルコンズにはその力が十分にある。
 決戦まであと10日余り。ゲームデーが待ち遠しい。

【写真】QBマット・ライアン(2)を中心に、自慢のオフェンスが機能してスーパーボウルに進出したファルコンズ(AP=共同)