NFLは、2月5日(日本時間6日早朝)にテキサス州ヒューストンで行われるスーパーボウルに向けて4強が出そろった。
 今週末のカンファレンスチャンピオンシップは、AFCがスティーラーズ@ペイトリオッツ、NFCはパッカーズ@ファルコンズで雌雄を決する。


 どのチームが勝ち上がっても興味深い組み合わせとなりそうだ。いずれのチームもオフェンスが強く、得点力が高い。
 それだけに相手のオフェンスをいかに攻略するかが重大なテーマとなる。今回はそれぞれのオフェンスのキープレーヤーとその対策方法を予想してみたい。


 ▽スティーラーズ@ペイトリオッツ
 スティーラーズオフェンスのキーマンはRBレベオン・ベルだ。プレーオフのドルフィンズ戦で167ヤード、チーフス戦でも170ヤードを走る驚異的なパフォーマンスを見せた。
 ベルのランニングスタイルは独特だ。ハンドオフでボールを受けてからスクリメージラインの手前でスローダウンし、OLのブロックを読んで走路を見つけて突入する。対戦するペイトリオッツのRBルギャレット・ブラントの突進型とは対照的だ。


 実はこうしたスタイルを嫌うコーチは多い。ブロックを読んでいる間にタックルされるとロスになるからだ。コーチは「スクリメージライン前でダンスをするな」と叱る。
 しかし、ベルの読みは的確で、また往年の名選手マイク・ムンチャックに指導されたOLのランブロッキングも強い。ディフェンスから見ればOLのブロックにつかまった瞬間に横をベルがすり抜けるので後手に回ってしまう。


 ランを止めるにはDLとLBにSを加えて「8マンボックス」で守るのが有効だ。しかし、セカンダリーを3人にしてしまうとQBベン・ロスリスバーガーからWRアントニオ・ブラウンへのロングパスを許してしまいかねない。ここがペイトリオッツにとっては悩ましいところだ。


 やはりスクリメージラインで勝負するしかないだろう。重要なのはアラン・ブランチ、マルコム・ブラウン、トレイ・フラワーズの3人のDLがOLのブロックをしっかりと受け止め、LB陣をOLから「守る」ことだ。
 MLBロブ・ニンコビッチがOLにブロックされずに自由に動くことができれば、スクリメージラインを抜けてきたベルを早い段階でタックルすることができる。


 ベルに対しては2、3ヤードのゲインは仕方ない。1回のゲインを最小にとどめつつ、どこかでランブリッツもしくはDLのペネトレーションでロスさせればそのオフェンスドライブはTDを阻止することができるだろう。


 ペイトリオッツオフェンスの鍵を握るのはやはりQBトム・ブレイディだ。常に冷静沈着にフィールドの動きを読み、空いているレシーバーを見つけると、クイックモーションから繰り出す速球でパスを成功させる。
 特にディフェンスのゾーンの切れ目(シーム)を見つけるのが得意で、その意味ではゾーン主体のスティーラーズディフェンスが最も苦手とするパサーだ。


 完全無比に見えるブレイディにも弱点はある。それは予想外の動きをするパスラッシュだ。ペイトリオッツのパスオフェンスはブレイディとレシーバーたちがフィールドの動きを同じように読み取ることから成り立つ。
 ところが、スカウティングで得たデータと違うアライメントやラッシュがあると、ブレイディの判断とレシーバーたちの動きが一致しない事態が起きる。こういう場合にQBサックやインターセプトが生まれる。


 スティーラーズはLBバド・デュプリーとジェームズ・ハリソンがコンスタントにパスラッシュをかけ、加えてDB陣がブリッツに加わる。
 ブリッツに入る選手を予測させないことでブレイディとレシーバーの頭脳を混乱させればペイトリオッツのオフェンスは抑えられる。
筆者予想:ペイトリオッツ30、スティーラーズ23 


 ▽パッカーズ@ファルコンズ
 パッカーズではやはりQBアーロン・ロジャーズを紹介するべきだろう。ディビジョナルプレーオフのカウボーイズ戦で喫したインターセプトは何と約3カ月ぶり。その間に21ものTDパスを生み出してきた。
 肩の強さもさることながら、絶妙なフットワークでパスラッシュをかわし、時間を稼ぐ脚力も武器だ。パスラッシュで崩れかけたプレーが一転してロングパスに転じることも珍しくなく、ディフェンスは精神的にもダメージを受けてしまう。


 WRジョーディ・ネルソンに加えダバンテ・アダムズも出場が危ぶまれているが、ランドール・クック、ジェロニモ・アリソン、TEジャレッド・クックなどの人材を十分に活用できるだけのパス能力がロジャーズにはある。
 シーズン序盤の不振がなければ対戦相手のQBマット・ライアンを抑えてMVP最有力候補だったに違いない。


 カンファレンス決勝に残っている4人の先発QBの中で、このロジャーズの攻略が一番難しい。それならばあえて攻略しないというのも作戦だ。
 ロジャーズのパスは許しても構わない。ただし、ビッグプレーだけは避けてできるだけ時間をかけてドライブさせることだ。


 本来ならこの作戦は非常に危険だ。試合巧者のパッカーズにタイムコントロールを許すことになるからだ。
 しかも、ファルコンズはレッドゾーンディフェンスがNFL最下位。レッドゾーンに侵入されると高い確率で失点するのだ。


 しかし、ファルコンズにはビッグプレーで時間をかけずにTDを挙げることのできるオフェンスがある。これを頼みにするしかない。
 パスラッシュの名手LBビック・ビーズリーがロジャーズにプレッシャーをかけつつ、2ディープでロングパスを防ぐ。点の取り合いになるが、得点力ではファルコンズオフェンスは負けていない。


 そのファルコンズオフェンスはWRフリオ・ジョーンズ抜きには語れない。今週は足の親指の故障で練習を休むなど万全ではないが、試合では別格の存在感を放つ。


 プレーオフ初戦となったシーホークス戦では6回のパスキャッチで67ヤード獲得、1TDの数字を残した。
 獲得距離ではシーズン平均(1試合100ヤード)をやや下回るが、それはシーホークスから執拗なダブルカバーを受けたことが原因で、それがモハメッド・サヌーやテイラー・ガブリエルへのマークを薄くする効果があった。


 それでもここぞという時にライアンとのホットラインでビッグプレーやTDを生む。そのジョーンズを封じるには、やはりダブルカバーの正攻法しかない。
 浅いゾーンはCB、ディープはSでジョーンズを徹底的にマークするのだ。


 ジョーンズが最も威力を発揮するのは、カバーするディフェンダーとのミスマッチが生じたときだ。ワイドアウトならCBとの体格差、モーションでスロットの位置からスタートすればLBとのスピード差のミスマッチを生む。これはSで補うしかない。


 幸いにパッカーズはハハ・クリントンディックス、モーガン・バーネット、マイカ・ハイド(CBとしてもプレー)らSに人材が揃う。
 そして、3人のSを同時に起用するパーソネルも頻繁に使う。この3人のローテーションでジョーンズをマークしたい。


 ジョーンズを抑えても他のレシーバーのカバーが甘くなる課題は残る。しかもパッカーズはダマリアス・ランドールやクィンテン・ローリンズらCBに故障者が多い。
 先発のラダリアス・ガンターのほか、ジョシュ・ホーキンスら控えの奮起が不可欠だ。完全に抑えることは無理にしても、ジョーンズへのビッグプレーは防ぐことで、ファルコンズオフェンスの威力を削ぎたい。
筆者予想:パッカーズ37、ファルコンズ31

【写真】スティーラーズとのAFCチャンピオンシップを前に、記者会見に臨むペイトリオッツのQBブレイディ(AP=共同)