「オレンジクラッシュ」は今年も健在だった。
 現地時間9月8日夜(日本時間9日午前)にコロラド州デンバーで開幕したNFLの2016年シーズンは、前年王者のブロンコスがパンサーズを21―20の僅差で破り、連覇に向けて白星スタートを切った。


 昨季のスーパーボウルと同じカードの開幕戦だったが、リベンジを胸に試合に臨んだQBキャム・ニュートンとパンサーズは返り討ちに遭った形だ。


 意外な大差(24―10)で決着したスーパーボウルとは異なり、リマッチは最終10秒まで勝敗の分からないスリリングな展開となった。
 しかし、試合時間残り9秒でパンサーズKグラハム・ガノーが挑んだ50ヤードのFGトライは大きく左に外れ、逆転はならなかった。


 試合前の不安材料はむしろブロンコスに多かった。先発QBは2年目で、公式戦ではまだ一度もパスを投げたことのないトレバー・シーミアン。開幕セレモニーのために姿を現した昨年までのエースQBペイトン・マニングの目の前でその後継という大きな責務を担っての開幕スターターだ。


 シーミアンは落ち着いたプレーぶりを見せる一方で、10点差をつけられた第3Q半ばにはブリッツが目前まで来ているにもかかわらず、二人のディフェンダーにカバーされているレシーバーに無理にパスを通そうとしてインターセプトを喫するなど、経験不足も露呈した。
 最終的に計2回の被インターセプトでレイティングは69.1とほろ苦いデビューとなった。


 しかし、そのピンチをしのいだのはやはり堅固なディフェンスだった。1970年代に「オレンジクラッシュ」の異名で恐れられた強力な守備の再来と称されるディフェンスは、要所でパンサーズオフェンスを3&アウトに追い込み、主導権を握らせなかった。
 3度のターンオーバーによるピンチもディフェンスの踏ん張りで1TDに抑えた。これは大きい。ディフェンスがターンオーバーでボールを奪い、オフェンスがそのチャンスを生かして得点を重ねるというのがパンサーズの勝ちパターンだからだ。


 連勝街道を突っ走った昨季、笑顔でプレーし続けたニュートンから再び表情が消えた。まさに7カ月前のスーパーボウルの悪夢の再現である。
 ニュートンも彼らしい運動能力を発揮する場面はあった。オプションプレーではしばしば自らボールを持って走り、第2QにはランによるTDも挙げた。ただ、ゲームマネジメントという部分では昨年からの成長は見られなかった。


 プレー開始が遅れ、ディレーオブゲームの反則を避けるためにタイムアウトを取る場面が何度かあった。
 1点差を追う最後のツーミニッツオフェンスでも同様のことが起こり、これでタイムアウトを使い果たしたパンサーズはインフィールドのプレーが使いにくくなり、結果的にエンドゾーンに近づくことができなかった。


 その点、シーミアンのミスをカバーして余りあるディフェンスを有するブロンコスは、昨年と同様の戦い方を実践したと言える。
 シーミアンもディフェンスがインターセプトで作ってくれたチャンスを決勝のTDに結びつけるなどサポートに応えた。
 攻守がかみ合ったブロンコスが、タレントでは優りつつも試合運びでミスをしたパンサーズを上回った試合だった。

【写真】試合後健闘をたたえ合うブロンコスのQBシーミアン(右)とパンサーズのQBニュートン(AP=共同)