NFLはトレーニングキャンプまっただ中で、現地時間7日(日本時間8日)には早くもプレシーズンゲームの第1戦「ホール・オブ・フェイムゲーム」が行われる。
 この試合は殿堂入りした選手の式典に花を添えるもので、今年はパッカーズとコルツが対戦する。開幕まであと1カ月。各チームの準備が急ピッチで進む。


 このオフはNFLを代表する選手の引退が相次いだ。試合の流れを左右する、いわゆる「ゲームチェンジャー」と呼ばれるほど影響力のある選手の穴は大きい。それをどのように埋めていくのか。


 スーパーボウルを制したブロンコスはQBペイトン・マニングが18年の現役生活に終止符を打った。常にリーグのトップパサーの一人として活躍し、コルツとブロンコスの黄金期を築いてきた。
 先発QBとして二つ以上のチームでスーパーボウル優勝を経験したのはマニングだけだ。


 その後継の座を争うのはイーグルスとのトレードで入団したマーク・サンチェス、昨年の3番手で2年目のトレバー・シーミアン、1巡指名新人のパックストン・リンチの3人だ。
 昨季マニングがケガで欠場した間に先発を務めたブロック・オスワイラーはフリーエージェントとなってテキサンズに移籍した。そのため、上記3人が横並びの競争を繰り広げる。


 NFLでの経験値ではサンチェスに分があるが、春のミニキャンプではシーミアンが安定したパスで評価をあげた。リンチはゲイリー・キュービアックHCが好む機動力に富んだ選手で、期待が寄せられている。
 誰が開幕先発の座を射止めたとしてもマニングとは比べられるはずもなく、QBのレベルダウンは必至だ。それを強力なディフェンスとランオフェンスで補いたい。


 「ビースト」の愛称でファンから愛され、相手チームからは恐れられたRBマーション・リンチもユニフォームを脱いだ。シーホークスの近年の躍進はディフェンスとリンチのパワフルなランのコンビネーションを抜きにしては起こりえなかった。
 昨年はトーマス・ロウルズが新人ながら台頭してリンチの故障欠場の穴を埋めたが、ロウルズ自身も12月に足首を骨折して離脱した。その故障がどこまで癒えているかは気になるところだ。


 今年もアレックス・コリンズ、C・Jプロシースといった新人が入団し、こうした選手がランプレーを支えることになるが、OLも大きな入れ替えがあった今季は実戦を経るまで実力は測れない。
 同地区のカージナルスが充実しているだけに、シーホークスとしては補強が急がれるポジションだ。


 そして、代役を見つけるのが最も難しいと考えられるのがライオンズから引退したWRカルビン・ジョンソンだ。
 196センチの長身に加えて抜群のジャンプ力で難しいパスをキャッチした。強肩のQBマシュー・スタッフォードとのコンビはライオンズオフェンスの柱だった。


 ジョンソンはほぼすべてのプレーで相手ディフェンスのダブルチームカバーを引き出した。その分だけ、他のレシーバーへのマークが薄くなるわけで、ゴールデン・テイトなどはその恩恵を受けた一人だ。


 ジョンソンの代わりなどそう簡単には見つからない。それはチームも承知の上で、方針転換を余儀なくされる。すなわち、ジョンソンの高さをスピードで補おうというものだ。
 ジョンソンに代わって第1レシーバーとなるテイトは身長こそ及ばないがスピードが命。新加入のマービン・ジョーンズもジェレミー・カーリーも高さではなく機動力やクイックネスを武器とする。


 昨季からライオンズはスタッフォードのタイミングパスを多用するようになった。ポケットの中でオープンレシーバーを探すのではなく、プレーごとにデザインされたエリアに決められたタイミングでボールを投げるのだ。この場合は高さよりも敏捷性が求められる。


 対策の方向性としては間違っていない。ただ、ディフェンスのマークを一手に引き受けてきたというジョンソンの存在感は再現しにくい。ここが課題となるだろう。


 一時代を築いた選手がフィールドを去るのはさみしいが、新たなヒーローが誕生する瞬間はまたエキサイティングだ。今年も多くの新星の誕生を楽しみに待ちたい。

【写真】昨シーズン限りで引退したライオンズのWRカルビン・ジョンソン(AP=共同)