現在、世界の注目は8月5日に開会式を迎えるリオデジャネイロオリンピックに集まっている。南米初の夏の祭典を横目に、NFLはトレーニングキャンプが本格化する。ここからプレシーズンを経て9月8~12日のキックオフウィークに突入する。


 そのキャンプインを前に選手の契約延長や解雇など動きが慌ただしい。そんな中、今季からロサンゼルスに本拠地を移したラムズがQBニック・フォールズを解雇した。
 これによって今年のドラフト全体1位指名のジャレッド・ゴフ(カリフォルニア大)がラムズの開幕QB となることがほぼ確実となった。


 フォールズは、昨季開幕前にイーグルスとのトレードでラムズに入団し、スターターの座を与えられた。しかし、2013年にプロボウルに選出されたほどの活躍をしたフォールズも不慣れなシステムの下では結果を出せず、ケース・キーナムにポジションを奪われた。


 今年のドラフトでは、チームの将来を託すべきQBとしてゴフが入団した。先発出場にこだわるフォールズがラムズでの居場所をなくすことは時間の問題だった。フォールズの解雇が自ら志願したものだということがそれを物語っている。


 ロースター上にはキーナムとショーン・マニオンが登録されており、ゴフを含めた3人で先発争いをするというのがラムズの公式な言い分だ。しかし、実際はゴフを開幕先発に間に合わせるように準備を進めていると考えられる。


 最近のNFLでは、ドラフト1巡で指名したQBは開幕から積極的に起用する傾向にある。かつてのように1、2年の育成期間を経て投入するのはまれだ。ラムズも実戦の中でゴフを育成する方針だろう。
 むしろ、ゴフが多少準備不足であってもスターターに指名するのではないかとさえ思う。それは本拠地移転と無関係ではない。


 ロサンゼルスにNFLのチームが復活するのは22年ぶりだ。このフレッシュなスタートには、やはり将来性あるQBの出場が似つかわしい。キーナムやマニオンではネームバリューとスター性に乏しいからだ。


 チームの移転を機に先発QBを代える例は過去にもあった。スティーブ・マクネアである。マクネアは1995年にヒューストン・オイラーズに入団し、最初の2年は数試合に先発出場しただけだった。
 しかし、97年のテネシー州ナッシュビルへの移転を機にフルタイムの先発QBに昇格し、エースに成長した。オイラーズは99年にタイタンズと名前を変える。


 当時のオイラーズのHCが現在ラムズで指揮を執るジェフ・フィッシャーである。当時と同じ手法でゴフをフランチャイズQBに育て上げようとしても不思議ではない。


 ラムズは残念ながら今季はまだプレーオフを狙うほどの戦力が整っていない状況だ。しかし、ゴフを起用することで観客を呼び、同時に育成もできるのであれば移転初年度としては及第点に値する。
 故障することなくキャンプとプレシーズンを乗り切り、1位指名に値する活躍を見せてもらいたいものだ。

【写真】開幕から先発を任されることが確実なラムズの新人QBジャレッド・ゴフ(AP=共同)