北米の4大プロスポーツリーグの中で、NFLだけが他とは違う王座決定戦の開催方式を採用している。すなわち、7回戦制ではない一発勝負で、開催地が出場チームに関係なくあらかじめ決められていることだ。
 その新たな開催地が恒例のNFLミーティングで決まり、発表された。


 新たに発表されたのは2019年(開催年、以下同じ)に行われる第53回大会がアトランタ、2020年の第54回がサウスフロリダ(マイアミ周辺)。そして、2021年にはついにロサンゼルスが第55回大会の開催地となる。
 ちなみに来年はヒューストンで、2018年のミネアポリスで開催される。


 近い将来のロサンゼルス開催は予想されたことだ。今季はラムズが1946~94年に本拠地を置いたロサンゼルスに再移転し、22年ぶりにNFLのチームが復活した。
 全米第2位の巨大マーケットであるロサンゼルスをNFLが見逃すわけはなく、スーパーボウル招致は時間の問題だった。


 開催予定地に共通するのは、ほとんどが新設もしくは大改修を行ったスタジアムである点だ。今後5年の開催地のうち、ミネアポリス(USバンクスタジアム=バイキングズの本拠地)、アトランタ(メルセデスベンツスタジアム=ファルコンズ)、ロサンゼルス(名称未定=ラムズ)はいずれも新たに誕生する施設である。


 サウスフロリダで昨年までサンライフスタジアムと呼ばれていたドルフィンズのホームスタジアムは、約4億ドルをかけて大改修を行っており、新たなネーミングライツで新名称が決まる予定だ。
 ヒューストンのNRGスタジアム(テキサンズ)が最も古い印象を持つが、それでもまだ完成から15年しか経っていない。


 こうしたスタジアムを持つ都市がスーパーボウル招致に成功したことで、最新の施設を備えた球場の需要をますます高めていくことになるだろう。
 近年では巨大なスクリーンや贅沢な作りのラグジュアリーボックス席(いわゆるVIPルーム)を備えるスタジムが増えている。また、一般席でも360度の映像を見ることのできる小型スクリーンが装備されていたり、モバイルデバイスを活用した映像サービスを行ったりする施設も多い。


 これらはいずれも集客のための工夫であり、全米でトップの人気を誇るNFLですら観客の呼び込みに必死である姿がうかがえる。


 しかし、総工費が数十億ドルにも達するスタジアムをそう簡単には建設できない。チームオーナーにそれだけの財力があればいいが、多くの場合は州や都市の税金をつぎ込んで新しいスタジアムを建設する。
 ここに、最新の施設を望むチームと血税投入を渋る州、都市の間に軋轢が生まれる土壌がある。その場合に起こりうる最悪の結果がチームの移転である。


 ラムズがセントルイスの地を去ったのは、ロサンゼルスにより大きなマーケットを求めたことが理由とされるが、ラムズと同じくレイダーズやチャージャーズが移転を希望した(2月のオーナー会議で条件付きではあるが否決)のは、それぞれオークランドとサンディエゴでのスタジアム建設交渉が不調に終わったためだ。
 ともに施設の老朽化が激しく、設備も古い。地区ライバル同士であるにもかかわらず、同じスタジアムを共有するという計画が進んだくらいだから、この2チームの抱える球場問題は深刻だ。


 かつてはバイキングズやジャガーズでも同様の問題が起きたことがあったが、行政との合意やオーナー交代で新スタジアム建設またはイノベーションが実現し、チーム移転を免れている。


 新しいスタジアムと最新の施設はファンを魅了する。しかし、その一方で球団や州、市の経営を圧迫する要因ともなりかねない。
 チームが集客のために新スタジアムを要望し、それが実現しないからといってほかの都市へ移転するのであれば本末転倒だ。


 今回のスーパーボウル開催地発表は、ロサンゼルスへの回帰を主張するものとして意義があるが、その一方で新スタジアムの建設ラッシュへ拍車をかけるものとの懸念も感じざるを得ない。

【写真】2019~21年のスーパーボウル開催地を発表するグッデルNFLコミッショナー(AP=共同)