今年のNFLドラフト会議(4月28~30日イリノイ州シカゴ)に向けて大きな動きがあった。全体1位指名権を持っていたタイタンズがその権利をラムズに譲渡したのだ。
 ドラフトでは指名権のトレードは頻繁に行われるが、全体1位指名権の交換はやはり大きなニュースだ。


 タイタンズは他に今年の4、6巡指名権をラムズに渡し、代わりに今年の1巡(全体15番目)に加えて二つの2巡目指名権および3巡、さらに来年の1、3巡の計6指名権を獲得した。
 これでラムズはQBの指名が確実となった。ラムズは昨年、ニック・フォールズとケース・キーナムを先発起用したがともに結果を残せず、7勝9敗に終わった。11年連続でプレーオフを逃し、負け越しは9年間続いている。


 ラムズは本拠地をセントルイスから古巣のロサンゼルスに移し、新たなスタートを切る。その手始めにフレッシュなQBを獲得して新生ラムズをアピールする考えだ。


 今年のドラフトではカリフォルニア大のジャレッド・ゴフ、ノースダコタ州立大のカーソン・ウェンツが上位指名を受けるQBとして予想されており、どちらかをラムズが獲得することになりそうだ。
 思い切ったトレードアップ(トレードによって指名順位を上げること)を行ったラムズだが、当然リスクも伴う。


 今年の上位3巡指名権と来年の1、3巡を失うことで有能な大学選手の獲得機会が減るからだ。そのリスクを負ってまで指名するQBが期待外れに終わった場合、そのダメージは今後数年にわたってロサンゼルスに重くのしかかることになる。
 もっとも、今後は現有選手をほかのチームにトレードし、交換条件として指名権を獲得する道は残されている。本拠地移転に伴ってチーム再編を行っているラムズでは、ビッグネームの放出も十分に考えられる。


 タイタンズファンの中には大切な1位指名権を失ったことに怒りを覚えている方も多いだろう。幸いにタイタンズは昨年の1巡(全体の2番目)で指名したマーカス・マリオタがおり、QB獲得の必要はない。その余裕がこの大型トレードの背景にある。
 実はこのトレードが将来のタイタンズに大きな影響を与える可能性がある。現在のタイタンズはマリオタを中心としたチームに変貌を遂げつつある。そのためには、できるだけ多くのドラフト指名権が必要だ。


 そして、チーム編成の鍵を握る人物が今年から新GMに就任したジョン・ロビンソン氏だ。GMとしては無名だが、その実績は目を引くものがある。昨年はバッカニアーズでスカウトチームを率いた人材だ。
 バッカニアーズは昨年全体1位でジェーミス・ウィンストンを指名して将来のフランチャイズQBを獲得した。そのほか、同じドラフトで指名された新人のうち3人がスターターに育った。


 ペイトリオッツのスカウトを務めていたこともあり、そのころに指名されたのがWRジュリアス・エデルマン、TEロブ・グロンカウスキーだ。ともにペイトリオッツオフェンスの核となるレシーバーである。


 ロビンソンは大学からの人材発掘に定評がある。こうした人物がフロントで手腕を発揮すれば、タイタンズにタレントが多く集まるのもそう遠くはないだろう。
 このトレード、ラムズの1位指名獲得が注目されるが、本当の勝者はタイタンズだということになりそうだ。

【写真】タイタンズから全体1位指名権を譲り受け、記者会見で質問に答えるラムズのフィッシャー・ヘッドコーチ(AP=共同)