NFLでは、チームが長い低迷期に入ってしまうとそこから抜け出すのはなかなか難しい。2002年を最後にプレーオフから遠ざかっているブラウンズや過去4年で14勝しかしていないジャガーズなどがそうだ。


 その一方で、ようやく状況が上向きに転じたチームもある。レイダーズだ。今季はAFC西地区で優勝を争う存在になるかもしれない。
 レイダーズは02年シーズンにAFC優勝を果たし、スーパーボウルに出場するもののバッカニアーズに敗れた。その直後から低迷期に入る。


 昨季まで勝ち越したシーズンは一度もなく、10、11年の8勝8敗が最高成績。もちろん、プレーオフ出場もない。
 しかし、最近はQBデレク・カー、LBカリル・マック、WRアマリ・クーパーら生え抜きの若手が成長しており、期待を持たせる。昨年は就任1年目のジャック・デルリオHCのもとで7勝9敗だったが、試合内容は悪くなかった。


 レイダーズはかつて補強の下手なチームとの印象があった。チームの創設者であり、オーナーとGMを兼任した故アル・デービス氏はアクの強い魅力的な人物ではあったが、オフェンスのスキルポジションに偏った人材発掘を繰り返したために計画性に乏しかった。
 タレントのそろうオフェンスと並の選手で固められたディフェンス。チームのスキームに合致するか否かを十分に検証しないまま、ビッグネームの選手をFAで獲得しては失敗に終わる時期もあった。


 こうした傾向が変わったのはデービス氏が死去し、チーム体制が一新した12年からだ。GMに就任したレジー・マッケンジーは、自身もLBとしてNFLで活躍した経験を生かし、計画性のあるドラフトによるチーム再建に着手した。


 最初はうまくいかなかった。過去に大枚をはたいてFAで選手を獲得したツケで、資金が十分ではなかったからだ。
 サラリーキャップ制度ではすでに解雇した選手でも契約金の一部が経理上の支払額に含まれる。その「デッドマネー」に悩まされてきた。ドラフト指名権との交換で乱発したトレードの影響で、上位指名権を持たないシーズンもあった。


 そこでマッケンジーは思い切った世代交代に踏み切る。年齢の高くなった選手を次々と放出する一方で、若い選手をドラフトで下位指名であろうと積極的に起用した。
 最初の3年こそ4勝、4勝、3勝で結果が出なかった。ディフェンスのテコ入れのために招聘したデニス・アレンHCの起用も失敗に終わり、マッケンジーも失職の危機にあった。
 しかし、現オーナーのマーク・デービスはカーやマックがチームの中心選手になりつつある現実を評価し、マッケンジーを慰留した。


 このオフはFA戦略で攻勢に転じている。出場停止処分中だったLBアルドン・スミスと2年契約を結び、成長著しいOTドナルド・ペンとの再契約にも成功した。
 さらにベテランOGカレッチ・オセメリ、LBブルース・アービンらを獲得して着々と補強を進めている。
 これは過去4年でドラフト指名した選手が成長してきたので、FAと併用することで一気にチーム力を整えようとするマッケンジーの狙いだ。


 折しもスーパーボウルチャンピオンのブロンコスがQBペイトン・マニングの引退、QBブロック・オスワイラー、LBダニー・トレベイサンの退団などで戦力低下が予想されている。
 現時点でのAFC西地区の勢力図はチーフスを中心としたものに変わりつつあると考えられるが、そこにレイダーズも名乗りを上げてくるだろう。


 NFLの決断により、今季のロサンゼルス移転は断念せざるを得なかったレイダーズだが、戦力は着実に整ってきている。ドラフトでの人選いかんではプレーオフ出場の現実味を帯びてくる。

【写真】昨シーズンのチーフス戦でパスを投げるレイダーズのQBカー(AP=共同)