アメリカ東部時間3月9日午後4時(日本時間10日午前6時)にNFLの年度(リーグイヤー)が替わり、正式に2016年度がスタートした。
 NFLでは新しいリーグイヤーの始まりは、フリーエージェント(FA)選手との契約やトレードの解禁を意味する。


 旧年度中は支配下選手の契約延長だけが許されていたが、この期日を境に外部選手の獲得競争がし烈化する。


 さっそく驚くべきFA移籍があった。ブロンコスのQBブロック・オスワイラーだ。オスワイラーは昨季、故障で戦列を離脱したペイトン・マニングに代わって先発出場し、「ポストマニング時代」を担う選手と予想されていた。


 しかし、ブロンコスは2015年度いっぱいでオスワイラーとの契約が終了し、マニングも引退が確実視されたにもかかわらず再契約を断念。オスワイラーは総額7200万ドルの4年契約でテキサンズに移籍したのだ。


 ブロンコスを捨てて馴染みのないテキサンズに新天地を求めたオスワイラーの決断もそうだが、NFLキャリア4年でわずか7試合しか先発経験のないQBに提示された破格の契約内容にも驚いた。
 1800万ドルの年俸はNFLのQBのなかでもトップ15に入る。彼より上位に位置するQBで先発出場経験が一桁なのは皆無である。


 一方で、トニー・ロモ(カウボーイズ)、マシュー・スタッフォード(ライオンズ)、アンディ・ドルトン(ベンガルズ)、アンドルー・ラック(コルツ)といったNFLを代表するパサーは年俸でオスワイラーに及ばない。 


 テキサンズは過去3シーズン、安定した先発QBに恵まれなかったのは事実だ。それにしてもオスワイラーに思い切った投資をしたものだ。吉と出ればいいが、期待が外れればそのダメージは数年にわたって影響を与えるほどの金額だ。


 スーパーボウル優勝のブロンコスは新たなQBで来たるシーズンを戦うことになるが、それが誰なのかはまだわからない。
 49ersのコリン・キャパニックか元レッドスキンズのロバート・グリフィンⅢ世を獲得するとの情報がある。それに先立ち、マーク・サンチェスをイーグルスとのトレードで獲得したが、彼が先発QBとなる可能性は現時点では低いとみる。


 ブロンコスはさらにDEマリック・ジャクソン(ジャガーズ)、LBダニー・トレベーサン(ベアーズ)をFAで失い、昨季とは大きく顔ぶれが変わりそうだ。


 このオフはRBの移籍も目立つ。元ベアーズのマット・フォーテはジェッツに、前ドルフィンズのラマー・ミラーはテキサンズにそれぞれFAで移籍し、イーグルスのデマルコ・マレーはタイタンズにトレードされた。


 補強にアクティブな動きを見せているのがジャガーズだ。上記のジャクソンをはじめ、CBプリンス・アムカマラ(ジャイアンツ)、RBクリス・アイボリー(ジェッツ)と次々に獲得している。過去5年間いずれも5勝以下だったチームのてこ入れに躍起だ。


 チーム補強はまだ始まったばかりだが、その一つひとつが1カ月半後のドラフト戦略を左右する。しばらくはオフのチームの動きに注目だ。

【写真】ブロンコスからテキサンズに移籍したQBオスワイラー(AP=共同)