NFLのリーグイヤーは3月上旬に替わるため、現在は年度末ということになる。新年度はアメリカ東部時間3月9日午後4時に始まる。
 同時に2015年の契約が終了するため、この時点でチームとの契約が切れている選手がフリーエージェント(FA)となる。


 フィールド上での戦いは終わったが、GMをはじめとするフロント陣は、多くの選手との契約更改を前にサラリー計算に忙しい。


 NFLは年俸総額の上限を定めた「サラリーキャップ制」を採用している。特定の選手に高額の契約を与えると、他の選手の契約を更新できなくなる。
 例えば、王座奪還に成功したブロンコスではスーパーボウルMVPを受賞したLBボン・ミラーが契約満期でFAとなる。是が非でも引き留めたい選手だが、同時にQBブロック・オスワイラーも契約更新を迎える。


 この二人だけでも多額な金が必要となるが、さらにQBペイトン・マニングが現役続行を決断すれば彼だけで1900万ドルもの年俸が発生する。
 これはサラリーキャップで定められた総年俸上限額の約12%だ。ジョン・エルウェーGMは頭が痛いはずだ。


 ほぼすべてのチームが似たような状況を抱えていると言って過言ではない。すると、次に起こる現象がベテラン選手の粛清だ。
 年俸の高い選手がサラリーキャップの名のもとに契約を解除されてしまうのだ。今年もすでにビッグネームがその憂き目を見ている。


 過去8年間ベアーズ一筋にプレーしてきたRBマット・フォーテはチームから契約延長を受けずにFAとなることが決定的だ。パスキャッチのうまいRBだが、ジョン・フォックスHCのスタイルには合致しないということなのだろう。


 セインツがスーパーボウルで優勝した2009年シーズンにエースWRとして活躍したマーケス・コルストンも契約解除が濃厚だ。
 TE並みのサイズとスピードが持ち味だったコルストンだが、今季はパスキャッチが激減した。世代交代の波にのまれたベテランの一人だ。


 こうしたベテラン選手はFA移籍が難しい。年俸が高いうえに、同じチームで長くプレーしていたために、新チームで異なるシステム下で活躍できるかは不透明だからだ。
 ラン、パスキャッチともに高いレベルを維持しているフォーテは需要があるだろうが、コルストンはチーム探しに苦労しそうだ。年俸が激減する覚悟も必要だろう。


 移籍先が見つからないベテラン選手に待ち受けるのは引退だ。かつての活躍を知るファンにとってはさみしい限りだが、NFLがビジネスである以上は避けて通れない道でもある。


 マーション・リンチ(シーホークスRB)やジャレッド・アレン(パンサーズDE)、ヒース・ミラー(スティーラーズTE)のように輝かしい功績やスーパーボウル出場経験とともにユニフォームを脱ぐスター選手のかたわらで、他の選択肢を失って引退に追い込まれるベテランも少なくない。
 オフシーズンはNFLの厳しい現実を実感させられる時期でもある。

【写真】長年スティーラーズで活躍したTEヒース・ミラー(AP=共同)