スーパーボウル出場チームを決めるカンファレンス決勝は、AFCはブロンコスがペイトリオッツを20―18で破り、NFCはパンサーズがカージナルスを49―15と一蹴した。スーパーボウルはともにプレーオフの第1シード同士が対戦することになった。


 AFC決勝は最後まで勝敗の行方が分からない手に汗握る展開となった。8点差を追うペイトリオッツは残り17秒でQBトム・ブレイディからTEロブ・グロンカウスキーへのTDパスが決まり、2点差。
 しかし、同点を狙った2点コンバージョンはエンドゾーンでインターセプトされ、最後の望みを託したオンサイドキックもブロンコスに押さえられて2年連続のスーパーボウル出場はならなかった。
 終始パスラッシュでブレイディにプレッシャーを与え続けたブロンコスディフェンスの勝利と言えるが、両チームの試合運びのうまさを評価したい。


 お互いに手の内を知り尽くしたチームの戦いだ。長所も弱点も分かっているだけに得点機はそう多くは訪れない。その中でブロンコスはコンスタントにボールをコントロールしてリードを保ち、ペイトリオッツは最後のチャンスを辛抱強く待った。
 ブロンコスはペイトリオッツの攻撃を封じるゲームプランを立て、ディフェンスとボールコントロールオフェンスでそれを実現した。
 普段ならグロンカウスキーやWRジュリアン・エデルマンに面白いようにパスを通すブレイディが、パスラッシュに急がされてドライブが継続できない。このあたりのプランの正確さはブロンコスを評価したい。


 しかし、ペイトリオッツも敗れたとはいえ、したたかさを存分に見せた。序盤からブロンコスがリードする展開だったが、点差を開かせずに僅差のまま終盤まで持っていくところはさすが試合巧者だ。
 ペイトリオッツにはブレイディの率いるオフェンスに絶対の自信がある。残りわずかな時間でもTDを取れるという信仰にも似た信頼だ。そして、それは現実となった。


 この試合でも残り1分52秒からタイムアウトが一つしかない状況でハーフウェーからオフェンスを開始した。途中第4ダウン10ヤードを克服し、グロンカウスキーへのTDも第4ダウン4ヤードという極めて難しい場面だった。ここでTDを挙げてしまうところにペイトリオッツのすごさがある。


 ただし、たった一つだけペイトリオッツには誤算があった。これも絶対の信頼を置いているKスティーブン・ゴスタウスキーが第1QにTD後のエキストラポイントのキックを外すという失敗を犯したのだ。
 それまで524回連続で成功させていたゴスタウスキーのまさかのミスだった。今季からゴール前15ヤードにボールが置かれるようになったエキストラポイントのキックだが、そのルール変更がこの大舞台で大きな影響を及ぼした。
 結局この失敗が響いてペイトリオッツはオーバータイムに持ち込むことができなかった。


 NFCは普段通りのびのびプレーをしたパンサーズに対して、カージナルスは緊張に縛られたかのように縮こまったパフォーマンスに終始した印象だ。
 QBカーソン・パーマーはパンサーズの複雑なディフェンス隊形に最後までアジャストできず、持ち味であるロングパスを生かすチャンスがなかった。
 序盤でのCBパトリック・ピーターソンのパントのマフ(ファンブル)は、カージナルスがつかみかけたモメンタムを失うきっかけとなり、ベテランWRラリー・フィッツジェラルドのまさかの落球もリズムを崩す一因となった。


 パンサーズは序盤からQBキャム・ニュートンが好調で、レギュラーシーズン同様に高い身体能力を存分に発揮した。リーグ最多の39ターンオーバーを記録したディフェンスもインターセプトを量産し、カージナルスのオフェンスを寸断した。


 この4チームの戦いぶりを見ると、プレーオフでの経験がいかに大事かをあらためて感じさせる。4チームはいずれも昨季のプレーオフを戦っている。しかし、4人の先発QBの中でただ一人パーマーだけが昨年のポストシーズンの舞台に立っていない。この差は大きかった。


 パーマーはNFL13年目にして、ディビジョナルラウンドで自身初のプレーオフ勝利を獲得した。これでプレーオフの雰囲気に慣れると予想していたのだが、序盤からパンサーズにリードされる展開に焦りが出てしまい、次々とインターセプトを喫してしまった。
 劣勢に立たされても、辛抱しながら終盤まで僅差を維持したペイトリオッツとはここが大きく異なる。最後までチャンスを信じて戦ったペイトリオッツと焦って自らチャンスを逃してしまったカージナルスの差はこれまでのプレーオフの経験値の違いによるものだった。


 これはポストシーズン全体にも言える。テキサンズやレッドスキンズ、バイキングズなど数年ぶりにプレーオフの舞台に戻ってきたチームは、ペイトリオッツ、ブロンコス、パッカーズ、シーホークスなど連続出場組との対戦で勝つことが難しい。
 昨年のプレーオフで1勝1敗だったパンサーズは、その経験を今年につないでシーホークス、カージナルスといった強敵を倒すことができた。


 NFLは戦力均衡のリーグと言われる。負け越しのチームがそれまで全勝だったチームに土をつける展開は今季もいくつもあり、その意味では各チームの戦力は拮抗している。しかし、長いシーズンでコンスタントに勝つ力やプレーオフで勝ち進むノウハウには大きな格差がある。
 それを熟知しているペイトリオッツとブロンコスの試合が劇的な接戦となり、経験に差のあるパンサーズとカージナルスの試合で大差がついたのは必然の結果だ。


 次のスーパーボウルもやはり経験値が大きくものを言う。とすれば、シーホークスに敗れたとはいえ2年前に出場しているブロンコスが有利だ。パンサーズが対抗するには、ニュートンやLBルーク・キークリーら若い主力選手の持つ勢いか。この2チームの対戦する第50回大会の見どころは、次回詳しく紹介したい。

【写真】抜群の運動能力で攻撃を牽引するパンサーズのQBニュートン(AP=共同)