NFLの第50回スーパーボウル進出をかけた戦いはブロンコス、ペイトリオッツ、パンサーズ、カージナルスの4強に絞られた。それぞれカンファレンスのトップ2シードで、順当な結果だ。


 プレーオフ準決勝であるディビジョナルラウンドはこれらのトップ2シードがワイルドカードチームを迎え撃ったが、それぞれがチームカラーを前面に出し切っての「らしい」勝ち方を見せた。


 ペイトリオッツはこの試合で2カ月ぶりに復帰したWRジュリアン・エデルマンが活躍し、パスオフェンス復活に大きく貢献した。
 最初のドライブでQBトム・ブレイディからTEロブ・グロンカウスキーへのパスでTDを取ると、そこから試合の主導権を手放さなかった。オフェンスがTDを量産する一方でディフェンスがエンドゾーンを堅持して相手オフェンスをFGに抑えるという、ペイトリオッツが「シチュエーションフットボール」と呼ぶ得意の手法で11連勝中だったチーフスを破った。


 ブロンコスはQBペイトン・マニングが11月以来となる先発復帰を果たしたが、彼の象徴的なスタイルであるパス多用のオフェンスは鳴りをひそめFGでの得点ばかりで、スティーラーズにリードを許す苦しい展開が続いた。
 今季のブロンコスはこういう場面でディフェンスがゲームを組み立てる。第4QにFSブラッドリー・ロビーがスティーラーズのRBフィッツジェラルド・トゥーサントのファンブルを誘発し、ターンオーバー。そのチャンスをTDに結び付けて逆転して勝利した。
 このTDドライブは6分52秒を費やし、ブロンコスがモメンタムを握るとともにスティーラーズの攻撃時間を奪うことに成功した。


 チャンスに畳み掛ける展開を見せたのはパンサーズだ。前半に31―0とリードを奪い、逃げ切った。
 後半は加点できなかったが、キャッチアップを強いることでシーホークスのオフェンスの選択肢を狭めたことに意味があった。LBルーク・キークリーのインターセプトリターンTDが象徴するように、ディフェンスでも点が取れるのが今年のパンサーズの強さだ。


 カージナルスとパッカーズの試合はプレーオフ史に残る劇的な試合となった。残り55秒で7点差を追うパッカーズは、第4ダウン20ヤードというピンチに立たされた。
 ここからQBアーロン・ロジャースが本領を発揮する。自慢の脚力を生かしてパスッラシュをかわす一方でレシーバーがダウンフィールドに出る時間を稼ぎ、WRジェフ・ジャニスに起死回生の60ヤードパスを成功させて敵陣36ヤードに進む。
 反則で5ヤード下げられたが、最後のプレーで41ヤードのヘイルメリーパスをジャニスがエンドゾーンでキャッチ。トライフォーポイントも成功して試合はオーバータイム(OT)へもつれ込んだ。


 第13週のライオンズ戦に続く、今季2度目のヘイルメリーパス成功で流れは完全にパッカーズにあった。
 OTのコイントスでパッカーズが攻撃権を獲得していればそのまま勝利していたかもしれない。しかし、結果はカージナルスのレシーブ。このチャンスをカージナルスは逃さなかった。


 自陣20ヤードからの最初の攻撃でQBカーソン・パーマーはパスラッシュを必死にかわして、ワイドオープンになっていたWRラリー・フィッツジェラルドにパスを通した。
 フィッツジェラルドは持ち前のパワフルなスタイルを発揮してディフェンダーをなぎ倒しながらランアフターキャッチでゴール前5ヤードまでボールを運ぶ。このプレーでパッカーズはすべてのレシーバーをマンツーマンでカバーしていたが、アクロスパターンを走ったフィッツジェラルドをマークするはずだった新人CBダマリアス・ランドールが勘違いからかゾーンディフェンスをするという痛恨のミス。これがビッグプレーを許すとともに流れをカージナルスに与えてしまった。


 結果から先に言うとこのままカージナルスはTDを奪って試合を決めてしまう。ここで強調したいのはその勝ち方だった。
 ビッグプレーのあとタイムアウトで呼吸を整えたカージナルスはまずフィッツジェラルドへのパスでTDを取りにいく。これは失敗したが、次のプレーではフィッツジェラルドをHBの位置に置き、ショベルパス。キャッチしたフィッツジェラルドはRBを思わせるような中央突破でエンドゾーンへ駆け込んだのだった。


 フィッツジェラルドは2004年のNFL入り以来、カージナルス一筋にプレーしてきた。トレードやFA移籍の噂もあったが、低迷期にも一人でチームを支えてきた最大の功労者でありリーダーだ。
 そのフィッツジェラルドでTDを決めてカンファレンス決勝へ臨むというプレーコールは、カージナルスの気概を感じさせるに十分だった。ただ勝つのではなく、勝ち方にこだわる姿勢はブルース・エリアンズHCのスタイルでもある。


 さて、いよいよスーパーボウルへの切符をかけた最終決戦、カンファレンスチャンピオンシップが始まる。実力は拮抗しており、勝敗の予想は極めて難しい。それだけに好ゲームの期待は高まる。


 ▽ペイトリオッツ(12勝4敗)@ブロンコス(12勝4敗)
 2年前のAFC決勝と同じ顔合わせだ。この時はブロンコスが勝利している。ペイトリオッツは5年連続のカンファレンスチャンピオンシップ進出。史上9例目となる連覇に向けて大きな関門となる。
 ペイトリオッツはWRエデルマンの復帰でパスオフェンスに必要な駒がすべてそろった。RBに不安が残るが、オフェンスはいい状態だ。
 対するブロンコスはOLBボン・ミラーとデマーカス・ウェアのパスラッシュに加え、セカンダリー陣のパス守備も堅い。


 一方、ブロンコスのオフェンスはランの組み立てが中心で、昨年までのスタイルとは違う。ディビジョナルプレーオフでは、ペイトリオッツはチーフスのランにてこずった場面もあり、ブロンコスとしては攻めどころだ。


 試合は接戦が予想される。ペイトリオッツがシチュエーションフットボールで得点を積み上げていく状況を想定するが、ブロンコスもランで時間とボールをコントロールする。
 こうした試合では一つのドライブに時間がかかってTDが入りにくい。そして、ターンオーバーによって大きく流れが変わるものだ。


 ペイトリオッツは相手のミスに乗じて試合を有利に展開するチームで、ブロンコスはターンオーバーを誘発するディフェンスを持つ。堅実さではペイトリオッツ、積極性ではブロンコスに分がある。
 そして、これがペイトン・マニングとトム・ブレイディがスーパーボウルをかけて戦う最後のプレーオフゲームになるかもしれない。二人が演じてきた数々の名勝負の集大成となる好ゲームを期待したい。


 ▽カージナルス(13勝3敗)@パンサーズ(15勝1敗)
 スタイルの違う二人のQBに注目したい。典型的なポケットパサーであるカージナルスのカーソン・パーマーは、ディフェンスを正確に読んでパスを投げる。多様なパスコースを走るレシーバーの位置を確実に把握することで安定したパスオフェンスを生み出すことができる。
 一方、パンサーズのキャム・ニュートンは破天荒型で、あらゆるチャンスを生かそうとする。レシーバーがあいていないと判断するや、自らのスクランブルランで局面を打開する。ここぞという時には強肩を生かしたロングパスを成功させる能力もある。抜群の運動能力があるからこその離れ業で、予想が難しいディフェンスには厄介な存在である。


 パーマーは2002年、ニュートンはその8年後にハイズマントロフィーを受賞した。意外にもハイズマントロフィー受賞QBがプレーオフで対戦するのはこれが初めてだ。
 二人の間にある8年の時間はフットボールの性質を変えるに十分だった。パーマーはプロトタイプのパサーでニュートンは新世代を代表するモバイル型だ。どちらのタイプが発足から半世紀を迎えるスーパーボウルに招かれるのか、楽しみだ。

【写真】ペイトリオッツオフェンスの鍵を握るQBブレイディ(AP=共同)