前回のコラムで、NFLのプレーオフ1回戦はワイルドカードチームに勢いがあるので、地区優勝チームがすべて敗れる可能性もあると書いたが、まさにそれが現実となった。ロードチームがすべて勝つのはNFLのプレーオフ史上初めてのことだった。


 テキサンズに30―0と完封勝ちしたチーフスは1994年1月16日以来となるポストシーズンでの勝利だ。
 当時の対戦相手ヒューストン・オイラーズはすでに存在せず(1997年にテネシー州ナッシュビルに移転し、現在はタイタンズ)隔世の感がある。


 面白いのは当時のチーフスのQBはジョー・モンタナ。すなわち、チーフスの直近のプレーオフでの2勝はともに元49ersのQB(今回はアレックス・スミス)によってもたらされたことになる。しかも、相手はともにヒューストンに本拠地を置くチームだ。


 長期の不遇時代を脱したチーフスとは対照的に、ベンガルズはまたもプレーオフ初戦を突破することができなかった。
 現マービン・ルイスHC体制では5年連続7度目のポストシーズン進出だが、すべて1回戦で敗退。しかも、今回は残り1分50秒で逆転に成功し、続くスティーラーズの攻撃をインターセプトで終わらせたにもかかわらず、ファンブルロスト、二つのパーソナルファールで自陣17ヤードまでの進入を許し、FGで敗れた。最後の反則は選手負傷によるタイムアウト中での小競り合いが原因で、後味の悪い試合となった。


 NFCでは、パッカーズとシーホークスに従来の強さが戻ってきた。パッカーズはレッドスキンズ戦の第2Q以降にQBアーロン・ロジャースのパッシングアタックが次々と成功し、11点差をあっという間にひっくり返して逆転した。
 シーホークスはバイキングズのFG失敗に救われた形だが、DEマイケル・ベネット、Sアール・トーマスらディフェンス陣の活躍が目立つなどチームカラーが前面に出た試合だった。


 プレーオフで勝つのは必ずしも年間を通して強いチームではない。この時期に戦力がピークに達したチームが勢いに乗って勝ち進むのだ。その意味ではパッカーズとシーホークスは絶好のタイミングで戦力を整えてきた。


 カンファレンスの準決勝でもあるディビジョナルプレーオフではトップ2シードが登場する。シーズンを通して最も成績の良かった4チームが満を持して参戦するのがこのラウンドだが、過去には波乱も多かった。


 現行の12チームが参加するプレーオフ制度が導入された1990年以降、AFCの第1シードのディビジョナルプレーオフの戦績は15勝10敗と意外によくない。
 NFCは21勝4敗と安定している。ところが、これがカンファレンス決勝となるとNFCは12勝9敗と、とたんに分が悪くなる。
 ちなみにAFC第1シードのカンファレンス決勝成績は12勝3敗だ。


 AFCのトップ2シード、ブロンコスとペイトリオッツは昨年も1回戦バイでディビジョナルラウンドからの参戦だった。
 ブロンコスはコルツに敗れたが、ペイトリオッツは勝ち進んでスーパーボウルを制した。NFCのパンサーズ(15勝)とカージナルス(13勝)はともに勝利数で球団新記録を樹立してのプレーオフ入りだ。


 この2チームは昨年のワイルドカードで対戦し、パンサーズが勝利したが、ディビジョナルラウンドでシーホークスに敗れた。パンサーズにとって今回はそのリベンジのチャンスでもある。
 試合順に見どころを書いてみた。


 ▽チーフス(11勝5敗)@ペイトリオッツ(12勝4敗)
 両チームがポストシーズンで顔を合わせるのは初めてだ。チーフスは現在11連勝中でペイトリオッツは2連敗でシーズンを終えた。
 ペイトリオッツの連敗はOLやWR陣に故障者が多く出たのが理由だ。QBトム・ブレイディも最終週のドルフィンズ戦で足首を痛めた。1週間のオフでそれがどこまで回復しているか。
 チーフスはQBスミスのショートパスと時折見せるスクランブルがオフェンスを支える。ミスの少ないクオーターバッキングでドライブを続け、ボールと時間をコントロールするのが勝利の方程式だ。
 一方のペイトリオッツはやはりブレイディのパスが鍵だ。チーフスOLBジャスティン・ヒューストン、タンバ・ハリのパスラッシュをOLのプロテクションで防ぐことができれば得点力のあるペイトリオッツが有利だ。


 ▽パッカーズ(10勝6敗)@カージナルス(13勝3敗)
 プレーオフでの過去の対戦は1勝1敗。2009年にはカージナルスがオーバータイムの末に51―45という乱戦を制した。これほどにはならないまでも、高得点の試合は期待できる。
 両チームともにパスが好調で、すべてのドライブで得点する可能性を秘めている。こうした試合は相手の得点機会をあっという間に奪ってしまうターンオーバーが勝敗を左右する。
 ターンオーバー率はカージナルスの+9に対しパッカーズは+5でホームのカージナルスがやや有利。
 懸念材料があるとすれば、6年ぶりのポストシーズンゲームとなるカージナルスのQBカーソン・パーマーが平常心で試合に臨めるかだ。まだ勝利の経験はなく、プレーオフという独特の雰囲気の中でいかに普段通りのパスを見せられるかは大きな要因だ。
 その点では常連のパッカーズQBロジャースは経験豊富だ。パッカーズが先に畳み掛ける展開だとカージナルスは苦しくなる。


 ▽シーホークス(10勝6敗)@パンサーズ(15勝1敗)
 両チームはオフェンス、ディフェンスともに好調なので20得点前後の接戦になるのではないか。キャム・ニュートン(パンサーズ)とラッセル・ウィルソン(シーホークス)のQB対決も見どころだ。
 どちらも、ここぞという時のプレーメークに優れている。ニュートンはランで、ウィルソンはロールアウトからのパスでそれぞれビッグプレーを生む。
 シーホークスのディフェンスの堅さは今さら説明するまでもないが、パンサーズもLBルーク・キークリーら名手がそろう。
 ただし、もともとパスのうまいチームを苦手にしていて、さらにCBチャールズ・ティルマンも故障で今季絶望となり、万全ではない。今季リーグ最多勝利を挙げたパンサーズだが、アキレス腱があるとすればパス守備だ。


 ▽スティーラーズ(10勝6敗)@ブロンコス(12勝4敗)
 第11週の途中退場を最後の戦列を離れていたブロンコスのQBペイトン・マニングが最終週にブロック・オスワイラーをリリーフする形で出場を果たし、いよいよこの試合から先発復帰する。
 ブランクが長いため、試合勘を取り戻すまでに時間を要することは考えられるが、マニングに頼らないランオフェンスやリーグ1位のディフェンスなどほかにも試合を組み立てる方法があり、心配はいらないだろう。
 スティーラーズはQBベン・ロスリスバーガー(肩)とWRアントニオ・ブラウン(脳震盪)が故障しているのが痛い。ロスリスバーガーが繰り出すロングパスが現在のスティーラーズの最大の武器だ。それが機能しなければ苦戦は必至だ。

【写真】久しぶりに先発として復帰するブロンコスのQBマニング(AP=共同)