NFLは、サンクスギビングデーの3試合を含んだ第12週で、開幕から10連勝中だったペイトリオッツがブロンコスに敗れて今季初黒星を喫する波乱があった。
 例年ならトム・ブレイディとの好パサー対決が期待されるペイトン・マニングは足の故障のために欠場。しかし、代わって先発出場した4年目のブロック・オスワイラーが要所で安定したゲームマネジメントを見せ、オーバータイムの末に大きな勝利を獲得した。


 ペイトリオッツはWRジュリアン・エデルマン、ダニー・アメンドラを欠き、試合途中でTEロブ・グロンカウスキーも負傷退場するアクシデントに見舞われ、パスラッシュの激しいブロンコスディフェンスの前に本来のハイスコアリングオフェンスが展開できずに敗退した。


 これにより全勝チームはパンサーズ(11勝)だけとなった。パンサーズは今季のMVP候補にも挙げられているQBキャム・ニュートンが好調だ。抜群の運動能力を存分に発揮してランとパスで相手ディフェンスをかく乱する。
 オフェンスのみならずディフェンスもカウボーイズ戦で二つのインターセプトを記録したLBルーク・キークリーを中心に失点の少ない堅固な守りを見せる。NBAで開幕から負けなしの連勝を続けるウォリアーズの主力選手スティーブン・カリーに「自分たちの方が先に負けるだろう」と言わしめるほどの充実ぶりだ。


 主力選手の故障が相次ぎ、カウボーイズは2週間前に鎖骨骨折から復帰したばかりのQBトニー・ロモが再び同じ場所を痛めて今季絶望となった。
 カージナルスで活躍するRBクリス・ジョンソンも脚を骨折し、ブラウンズではQBジョシュ・マカウンがやはり鎖骨骨折で故障者リスト入りした。
 すでに長期欠場中のアンドルー・ラック(コルツQB)やマニング、マーション・リンチ(シーホークスRB)もまだ復帰の見込みが立っていない。


 必然的にバックアップ選手の活躍が不可欠となるのだが、その点コルツのマット・ハッセルベックの存在が光る。
 40歳でありながら、今季先発出場した4試合ですべて勝利。ラックの留守を預かるどころか、負け越し中だったチームを6勝5敗にまで導き、AFC南地区でテキサンズと並ぶ首位にまで持ち上げた。かつてシーホークスでスーパーボウル出場も経験したベテランQBはまだまだ健在である。


 そろそろプレーオフ展望が気になる時期となった。AFCでは土がついたとはいえペイトリオッツが頭一つ抜け出ており、今週にも7年連続の地区優勝が決まる。
 それに続くのがブロンコスとベンガルズ(ともに9勝2敗)で、それぞれ2位のスティーラーズ、チーフス(ともに6勝5敗)3ゲーム差をつけており、ディビジョン制覇に向けて着実に歩みを進めている。


 南地区はコルツとテキサンズがそれぞれ3連勝、4連勝中と勢いがあり、12月の戦いが楽しみだ。今季の直接対決ではコルツが1勝。第15週に予定されている第2戦が地区優勝を占う重要なゲームとなる。
 地区優勝を除いた上位2チームに与えられるワイルドカード枠はジェッツ(6勝5敗)、スティーラーズ、チーフスの競争に、南地区の優勝争いに敗れたチームが加わるといった混戦模様になりそうだ。


 NFCはパンサーズが3年連続の地区制覇はほぼ確実で、プレーオフでの第1シードとなる可能性が高い。
 5連勝中のカージナルス(9勝2敗)はシーホークス(6勝5敗)との3ゲーム差を維持したまま終盤を迎える。ホームのみならずアウェーでも5勝1敗と安定しているのが強みだ。


 興味深いのは北地区だ。バイキングズ(8勝3敗)が不振のパッカーズ(7勝4敗)を抑えて単独首位に立つ。
 RBエイドリアン・ピーターソンが絶好調な上にディフェンスも堅く、この地区におけるパッカーズの一強時代に終止符を打つ勢いだ。パッカーズは開幕6連勝のあと1勝4敗と元気がない。


 東地区がともに5勝6敗のレッドスキンズとジャイアンツが争うが、4勝7敗のイーグルス、3勝8敗のカウボーイズにもまだ可能性が残されるという低調ぶりだ。
 ワイルドカードは北地区の優勝争いで脱落したチームが一つを手にする可能性が高く、実質は残り1枠と言っていい。それをファルコンズ(6勝5敗)、シーホークスが争う展開だ。


 NFLでは、12月が最も重要と位置付ける選手やHCが多い。レギュラーシーズンの終盤で地区優勝やプレーオフ出場が決まる時期であるだけでなく、この間のチーム状況がトーナメント制であるポストシーズンの戦い方につながるからだ。
 過去2年間NFCで優勝しているシーホークスは12月に強いチームの一つだ。最近4シーズンの合計では16勝3敗。特に昨年は4戦全勝でカージナルスから地区首位の座を奪った。


 逆にこの時期を苦手としているのがカウボーイズだ。地区優勝した昨年こそ4勝0敗だったが、その前の3年は5勝9敗でいずれも最終戦に敗れてプレーオフ出場を逃している。


 第13週はシーホークス@バイキングズの対戦が注目だ。現在1164ヤードラッシュでリーグトップにランクされるピーターソンとシーホークス守備の対戦は、どちらに軍配が上がるか。バイキングズは地区優勝、シーホークスはワイルドカード枠を獲得するために負けられない試合だ。


 コルツ@スティーラーズも同様でコルツはテキサンズとの競り合いに勝つため、スティーラーズはこれ以上ベンガルズに離されないために是が非でも勝ちたい。
 ハッセルベックはシーホークス時代の2005年シーズンにスーパーボウルでスティーラーズに敗れている。そのリベンジのゲームでもある。


 鍵を握るのはQBベン・ロスリスバーガーのパスだ。第12週のシーホークス戦で脳しんとうを患ったが、練習には復帰。試合に出場できれば、得意のパスでゲームを組み立てる。
 3試合連続で300ヤード超のパスを投げているロスリスバーガーが存分にプレーできればスティーラーズ、止めることができればコルツが有利だ。

【写真】エースQBマニングに代わりブロンコスの攻撃を指揮して、ペイトリオッツに土をつけたオスワイラー(AP=共同)