NFLの第6週は興味深い同地区対決や強豪同士の対戦があり、シーズンの前半にもかかわらずプレーオフ戦線を占う上で重要な週だった。


 なかでも、パンサーズ(5勝0敗)が2年連続NFC優勝中のシーホークス(2勝4敗)に逆転勝ちして無敗を守った試合は見応えがあった。
 お互いにフィジカルなプレーを売りにするだけあって、激しい当たりとスピード、ロングパスをめぐるWRとDBの際どい攻防など、「これぞアメリカンフットボール」と思えるプレーが随所にあった。筆者が現時点で推すことのできる今季最高の試合だ。


 試合の主導権を握ったのはシーホークスだった。10―7とリードして迎えた第3Qで、パンサーズのオフェンスを3&アウトに抑えて攻撃権を獲得。相手陣内40ヤードからの第1ダウン10で、QBラッセル・ウィルソンからハンドオフを受けたRBマーション・リンチが再びウィルソンへバックワード(後方への)パスでボールを返す。
 パンサーズディフェンスの裏をかくことに成功したウィルソンはエンドゾーンへ駆け込むリカルド・ロケットへロングパスを放った。ロケットをカバーしていたのはパンサーズFSカート・コールマンだ。


 エンドゾーンに走り込むロケットの前にコールマンが張り付く位置関係。パスがややショートしたためにコールマンのインターセプトかと思われた瞬間、ロケットがコールマンの背後で大きく跳躍して後ろからボールを奪いとってTD。ロケットのジャンプは腰がコールマンの頭の位置に来るほどの高さだった。
 「フリーフリッカー」による40ヤードTDパスというビッグプレーだ。これはぜひハイライト映像を見ていただきたい。


 続くパンサーズの攻撃は、第2ダウンでQBキャム・ニュートンのパスがシーホークスSSキャム・チャンセラーにインターセプトされて終了。シーホークスはこれをFGにつなげて、第3Q残り8分49秒で20―7とリードした。
 劇的なTDパスとその直後に起きた看板ディフェンスによるビッグプレーからの加点。開催地がクラウドノイズで有名な地元センチュリーフィールドということもあって、モメンタムは完全にシーホークスのものだった。


 しかし、ニュートンがここぞという時に発揮するプレーメーキング能力はこのモメンタムさえも凌駕するものだった。
 シーホークスのFGドライブの後のオフェンスでは10プレーで80ヤードのTDドライブを成功させた。シーホークス陣内46ヤードでの第3ダウン2ヤードでニュートンがTEグレグ・オルセンに成功させた22ヤードのパスがこのドライブを継続させるキープレーだった。


 第4Q序盤にシーホークスがFGで加点してリードを23―14と広げるが、中盤にパンサーズRBジョナサン・スチュワートが1ヤードランでTD。エキストラポイントのキックは失敗したが、パンサーズは3点差にまで詰め寄る。
 このドライブでキャメロンは6回のパス試投で5回の成功という効率のいいパッシングを見せた。


 得点が動かないまま迎えた第4Q残り2分20秒、パンサーズは自陣20ヤードからオフェンスを始めた。ニュートンは8、、18、14ヤードのパスを連続して成功させて自陣46ヤードに進んだところでツーミニッツブレーク。
 その後ニュートンが1サックを浴びたものの、パンサーズは5プレーで敵陣26ヤードまでボールを進め、残り試合時間36秒でオルセンへ決勝のTDパスが成功。両チームがお互いの持ち味を存分に発揮したゲームにピリオドを打った。


 ニュートンは身体能力の高いQBだが、パスでは好不調の波が大きく、それが勝敗に影響することが多い。しかし、この試合ではむしろパスが不調であり、相手がディフェンスの強いシーホークスであるにもかかわらず試合終了間際に逆転劇を演出したことで、パンサーズの存在感を示すことに成功した。この試合が意味するところは大きい。


 前週までパンサーズとNFC南地区の首位を並走していたファルコンズは、同地区のセインツ(2勝4敗)に敗れて今季初黒星(5勝1敗)を喫した。
 相手にリードされながらも第4Qに逆転することで順調に勝ち星を伸ばしてきたファルコンズだが、この試合ではQBマット・ライアンがパスのコントロールが定まらず、自ら3回もファンブルを犯す(ロストは1回)などオフェンスのリズムを作れなかった。


 パンサーズが先にバイウィーク(1週間の休養)を迎えたために勝利数では五つで並んでいるファルコンズだが、試合の内容や地区内対戦で敗れたことを勘案するとパンサーズに差をつけられた感は否めない。


 昨年のAFC決勝の再戦となったペイトリオッツ対コルツはペイトリオッツが逆転で無敗(5勝)を守った。コルツ(3勝3敗)はQBアンドルー・ラックが先発復帰したものの、またもペイトリオッツの壁を打ち破ることができなかった。


 この結果は二つの意味で大きい。まず、ラックとコルツはまたも「ペイトリオッツ越え」を果たせなかったことだ。2012年にラックが入団してから、コルツはペイトリオッツには一度も勝っていない。
 昨季まで着実に進歩しているラックとコルツだが、スーパーボウル出場の目標の前にはいつもペイトリオッツ立ちはだかり、それをいまだに克服できていない。


 もう一つはプレーオフでのホーム主催権だ。今後コルツが持ち直してプレーオフに進出し、ペイトリオッツと同勝率でシーズンを終えたとする。その際にはこの試合の勝敗がシード順位を決める鍵となり、両者の対決はペイトリオッツに本拠地での開催権がある。コルツは、ただでさえ苦手のペイトリオッツと敵地で戦いたくはない。


 そのほかNFC東地区ではイーグルスがジャイアンツに勝ってともに3勝3敗で地区首位に並んだ。有力候補だったカウボーイズがQBトニー・ロモ、WRデズ・ブライアント不在で苦戦する間隙をついて首位争いを演じている。


 第7週の注目カードはジェッツ(4勝1敗)@ペイトリオッツだ。今季トッド・ボウルズを新ヘッドコーチに迎えたジェッツは、彼の専門分野でもあるディフェンスを中心にチーム再建を図り、それが功を奏している。
 第6週終了現在でジェッツのディフェンスはリーグ1位。オフェンス2位のペイトリオッツとは楽しみなマッチアップだ。


 両チームの実力や有するタレントからみると、ペイトリオッツの有利は動かない。過去9回の対戦で8勝しているのもうなずける。
 しかし、ジェッツがペイトリオッツの連勝のストップをかけることができれば、ペイトリオッツの独り勝ちが続いてきたAFC東地区に大きな足跡を残すこととなるだろう。常勝ペイトリオッツという風潮にジェッツが一石を投じることができるか。楽しみな一戦だ。

【写真】パンサーズの攻撃をリードしたQBニュートンのランプレー(AP=共同)