今年のNFLはチームによって好不調の差が激しく、格差が広がっているのが特徴だ。第5週を終えて無敗はペイトリオッツ、ベンガルズ、ブロンコス、パッカーズ、ファルコンズ、パンサーズの6チーム(バイウィークがあったためペイトリオッツとパンサーズは4勝)もあり、例年より多い。昨季の同時期にはすでに全勝チームがなくなっていた。


 昨季プレーオフ出場のライオンズは、いまだ勝ち星がなく開幕5連敗。第5週のカージナルス戦ではエースQBマシュー・スタッフォードが不振のためにベンチに下げられるという場面もあった。そのほか1勝は8チーム、勝率5割未満は過半数の19チームに上る。


 地区ごとに見るとAFCでは南と西、NFCはすべての地区で首位以外のチームが勝率5割以下と苦戦している。南地区のファルコンズ(5勝0敗)とパンサーズ(4勝0敗)は同率首位となっている。
 特に近年のプレーオフ出場チームであるレーベンズ(1勝4敗)、ライオンズ、セインツ(1勝4敗)、シーホークス(2勝3敗)、49ers(1勝4敗)の不振が顕著だ。


 残念ながら現時点で1勝以下のチームにはプレーオフ進出の望みはほとんどないと言わざるを得ない。開幕から一月以上経過するとチームの戦力はほぼ安定してきており、劇的な変化が起こることが少ないからだ。
 シーホークスのように例年12月の試合に強く、最終的に星勘定を整えてプレーオフ出場権を手に入れるチームがないわけではない。しかし、今季のように上位チームが独走態勢に入りつつある状況では逆転地区優勝は難しく、ワイルドカードでプレーオフに出場したとしても、ホーム開催権のない苦しいポストシーズンとなる。


 もっとも、土つかずのチームも盤石とは言えない。ファルコンズはWRフリオ・ジョーンズがハムストリングの負傷で本来の力が発揮できず、それがQBマット・ライアンのパスに影響を及ぼしている。オフェンスがターンオーバーでボールを失うことが多いのも気がかりだ。
 パンサーズがオフェンスの得点不足に苦しみながらも順調に勝ち進んでいるため、ミス多発による敗戦は許されない。


 ブロンコスはラン多用のバランス型オフェンスに移行を図っており、昨季までの大量得点を奪うオフェンスは鳴りをひそめている。結果的にロースコアでの試合が多くなり、勝敗はディフェンス頼みという要素が大きい。
 対抗馬と目されたチーフスが低迷し、さらにRBジャマール・チャールズが膝の故障で今季絶望となったが、第5週の対戦でも苦戦を強いられたレイダーズとQBフィリップ・リバースのパスが好調なチャージャーズがともに2勝3敗ながらじりじりと迫る。


 好調なチームは得点力の高さが目立つ。現在地区首位の9チーム(繰り返しになるがNFC南のファルコンズとパンサーズは同率首位の扱い)の第5週終了時点での総得点の合計は1238点で1チームの1試合平均は28・8点となる。
 1試合につき4TD(すべてエキストラポイントは1点で計算)以上を挙げている計算だ。ちなみに昨年の同時期でこれ以上の水準(つまり5試合終了時点で総得点144以上)に達しているチームはコルツ(3勝2敗、地区同率1位)、イーグルス(4勝1敗、地区1位タイ)、ファルコンズ(2勝3敗、地区2位)しかない。


 必ずしもオフェンスのみの得点ではないが、ディフェンスやスペシャルチームを含めて得点力の高いチームが有利になるという傾向はますます強くなっている。これも格差が広がっている原因の一つだ。


 さて、第6週は無敗のチームが難敵を迎える。全米で中継されるサンデーナイトゲームで対戦するのがペイトリオッツ@コルツだ(3勝2敗)。昨年のAFC決勝の再戦となる。
 昨年のAFC決勝と言えばペイトリオッツがNFLの規定に反して空気圧を低くしたボールを試合球として提供したとされる、いわゆる「デフレートゲート」の舞台となった試合だ。


 デフレートゲートではペイトリオッツの用具係などチーム関係者二人の関与があったとされた。NFLはQBトム・ブレイディもボール減圧の事実を認識していたと疑い、開幕から4試合の出場停止処分を科したが、異議申し立ての訴訟を起こしたブレイディが地方裁判所で勝訴(NFLは控訴、裁判は継続中)して処分が無効とされた経緯がある。
 出場停止処分が科されていれば、この試合がブレイディの復帰戦となっていた。そうすれば、現在の両チームの状況も変わっていたかもしれない。いずれにせよ、ブレイディはリマッチでもコルツを破って疑惑を払しょくしたい。


 コルツは肩の負傷で2試合に欠場したQBアンドルー・ラックがこの試合から復帰の予定だ。ラックがコルツの正QBとなった2012年から、コルツはペイトリオッツに4連敗中。スーパーボウル出場の目標を達成するためには「ペイトリオッツ越え」を果たさなければならず、この試合はラックとコルツの成長が試されるものとなるはずだった。


 しかし、WRアンドレ・ジョンソン、RBフランク・ゴアを獲得してチーム整備を進めたはずのコルツはターンオーバーの連発でまさかの開幕2連敗。その後3連勝と持ち直してはいるものの、本来の潜在能力を発揮しているとは言い難い。
 ラックが強敵ペイトリオッツに勝てるかどうかが焦点であり、コルツがスーパーボウルに値するチームであるか否かを測るバロメーターともなる試合である。


 第5週はバイウィークで休みだったパンサーズはシアトルでシーホークスと対戦する。NFC3連覇を目指すシーホークスはまさかの黒星先行で、同地区のカージナルスが4勝1敗で好調なだけにこれ以上は負けられない。
 両チームとも機動力があるQBを擁しており、ディフェンスも強い。点の取り合いならQBの出来、ロースコアならターンオーバーが鍵を握る試合となるだろう。

【写真】第6週のコルツ戦に向けて調整するペイトリオッツのQBトム・ブレイディ(AP=共同)