現在ニューヨークで秋恒例のNFLミーティングが行われている。NFLミーティングとは、各オーナーが議決権を持つ最高決定会議だ。春と秋に行われ、ルール変更やリーグ運営方針など重要な議題が取り上げられる。


 今回は2025年までに米国外でのレギュラーシーズンの試合数を増やし、現在毎シーズン行われているイギリス以外でも開催するという新機軸が発表された。


 アメリカンボウルが毎年のように開催されていた2000年代初めごろまでなら「いよいよ日本でも公式戦が行われるか」と喜んだかもしれないが、残念ながら今はそれほどの興奮はない。「あっ、そう」と冷めた反応になってしまうのが正直なところだ。


 理由は簡単だ。日本開催の可能性が感じられないからだ。
 夢も希望もない話になって申し訳ないが、それが実感である。NFLにとって日本はあまりにも遠い存在だ。地理的な距離はもちろんだが、マーケット拡大という最大の目的において日本はNFLにとって魅力的な存在ではない。


 アメリカンフットボールという競技そのものの認知度が低く、Tシャツやジャージーなどのグッズは一部のマニアにしか売れない。
 アメリカンボウルではガラガラのスタンドとウェーブすることでしか盛り上がれない観客がスポーツ専門局を通じて全米で放映された。高額なチケットは売れずに関係者にタダで出回る。そんな市場にNFLが貴重なレギュラーシーズンを持ってくるはずがないのだ。


 レギュラーシーズンを米国外で行えば、どちらか一方のチームが年間8試合しかないホーム開催試合を犠牲にする。それは、ホーム開催による莫大な収益を放棄することにほかならない。
 マーケットが拡大されて将来に見返りがあればいいが、過去のアメリカンボウルの経験からはそれが期待できないとNFLは考えるだろう。
 イギリスでのマーケット拡大は成功した。2007年から毎年レギュラーシーズンを行い、今季は3試合が組まれた。第4週にウェンブリースタジアムで開催されたジェッツ対ドルフィンズの試合はチケットが早くに完売し、約8万4000人が観戦したという。


 イギリスにはかつて、ワールドリーグ(NFLヨーロッパの前身)のチーム「ロンドン・モナークス」があり、アメリカンボウルも行われていた。それがマーケット拡大の基盤になったことは十分に考えられる。
 レギュラーシーズンの開催が潜在的なファンの意識を掘り起こし、根付かせたのだ。


 イギリス開催は少なくとも2028年までは毎年2試合以上が行われることが決定的だ。それはサッカー、プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーとNFLの間で、2018年に完成する新スタジアム(ステート・オブ・ジ・アートスタジアム)で向こう10年間、毎年最低2試合を開催する契約が交わされたからだ。

 これ以外に従来通りウェンブリースタジアムでもNFLの試合が行われる可能性が高い。
 イギリス以外にもレギュラーシーズンゲームを国外で行おうというのが今回のNFLミーティングの決定だ。次なるターゲットとして予測できるのはオーストラリアだ。


 かねてからオーストラリア出身のキッカーやパンターはNFLで活躍してきた。今年はラグビーの元オーストラリア代表であるジャリド・ヘインがRBに転身し、49ersでデビューした。
 オーストラリアの英雄的存在であるヘインのNFL挑戦は当地で大きな話題となっているようで、オーストラリアからのNFL取材申請も増えていると聞く。
 マーケット拡大には飛びつきやすい端緒だ。NFLの開催時期は春から夏に向かう時期で、気候もいいだろう。現実的な線だとみていい。


 日本がNFLにとって魅力的なマーケットとなるためには認知度と人気拡大が不可欠だ。そのためにはもちろん筆者も力を惜しまない所存だ。


 さて、NFLは第5週を迎える。カウボーイズ(トニー・ロモ)やスティーラーズ(ベン・ロスリスバーガー)がフランチャイズQBの故障による長期離脱で苦しむ中、コルツでも若きエースQBアンドルー・ラックが右肩の故障でついに戦列を離れた。
 ラックが欠場するのは2012年のNFLデビュー後初めてのことだ。第5週のテキサンズ戦は重要な同地区対決だが、木曜日開催のために2試合連続の欠場が濃厚だ。


 今季は先発QBの故障欠場が目立ち、第4週終了現在でバックアップをスターター起用せざるを得なかったケースは6チームで7試合ある。
 そのうち勝利できたのは第2週のブラウンズと第4週のコルツだけだ。先発QBがいかに重要かを示す結果だ。


 開幕から負けなしのチームは六つあるが、第5週はバイウィークのパンサーズを除く五つがすべて2勝2敗のチームと対戦する珍しい組み合わせとなった。


 AFC北首位のベンガルズは2年連続NFCチャンピオンのシーホークスを迎え撃つ。パスオフェンスでここまで勝ち進んできたアンディ・ダルトン率いるベンガルズオフェンスにとっては、シーホークスのディフェンスは実力を測る上で格好の相手と言っていい。
 鉄壁ディフェンスのシーホークスを破ることができれば、強豪相手の試合を苦手とするベンガルズの自信ともなるし、1991年シーズンを最後に経験していないプレーオフ初戦突破への勢いをつけることにもなるだろう。


 ファルコンズはレッドスキンズと対戦。QBマット・ライアン、WRフリオ・ジョーンズ、ロディ・ホワイトによるパスオフェンスが注目されるファルコンズだが、RBデボンテ・フリーマンもすでに7TDラッシュと好調。過去2年負け越したチームとは思えない安定した戦いぶりだ。
 そのほか、パッカーズはラムズ、ブロンコスはレイダーズ、ペイトリオッツ(先週はバイウィークだったため3勝)はカウボーイズと対戦する。


 シーズン序盤の4分の1を地区別に振り返ると、AFC東はペイトリオッツとジェッツ(3勝1敗)で首位争いを演じる中、ビルズ(2勝2敗)が第3勢力として控える。ドルフィンズ(1勝3敗)はジョー・フィルビンが成績不振を理由に早々と解任された。


 北はベンガルズが独走態勢に入る。2勝2敗で追うスティーラーズはQBマイケル・ビックでどこまで戦えるか。開幕3連敗で出遅れたレーベンズはスティーラーズ戦に勝ったことで勢いを付けたい。
 南は低調だ。2勝2敗のコルツが首位でそのほかはすべて1勝止まり。不調ながらコルツの地区優勝の可能性は高い。
 西は予想通りブロンコスが強いが、レイダーズが若手の活躍で健闘。第5週の直接対決は注目だ。


 NFCでは東が例年通り混戦模様。カウボーイズとジャイアンツ、レッドスキンズが2勝2敗で並ぶが、ロモとWRデズ・ブライアントを欠くカウボーイズは不利か。北はパッカーズの独壇場だ。RBエイドリアン・ピーターソンが復帰したバイキングズがそれを追う。


 南はパンサーズとファルコンズが無敗で並ぶ。残念ながら第14週と16週まで直接対決がない。そのまま好調を維持して劇的な優勝争いを期待したい。
 西はカージナルス(3勝1敗)が首位に立つが、QBカーソン・パーマーの連勝が8でストップ。そのカージナルスに土を付けたラムズ(2勝2敗)は開幕週にシーホークス(2勝2敗)を破っており、すでにディビジョン内対で2勝0敗。不気味な存在になりつつある。

【写真】49ersのRBとしてNFLデビューしたラグビーの元オーストラリア代表ジャリド・ヘイン(AP=共同)