NFLは第2週を終了し、昨年地区優勝した8チームのうちペイトリオッツ、ブロンコス、カウボーイズ、パッカーズ、パンサーズの5チームが順調に開幕2連勝を飾った。


 「順調に」という言葉を使ったものの、それがそのまま当てはまるのはペイトリオッツとパッカーズぐらいで、その他の3チームはいずれも問題を抱えながらの序盤戦となった。


 カウボーイズは地区ライバルのイーグルス戦で20―10と快勝したが、QBトニー・ロモが鎖骨を骨折して長期の戦列離脱を余儀なくされた。短期の故障者リストに登録されたため、復帰は第11週以降となる。
 開幕戦ではWRデズモンド・ブライアントも足を骨折しており、オフェンスの中心を欠いたままの戦いが続く。


 ブロンコスとパンサーズはそれぞれにオフェンスが不調だ。ブロンコスは新HCゲイリー・キュービアックの方針でランの使用率を高くした。昨年までのパス主体とは違ってQBペイトン・マニングの負担を減らすことができるとの予想だったが、その目算は少なくともここまでは外れている。


 ランが思ったほどに出ないことが想定外だった。1回のランに対する獲得距離はわずか2・77ヤード。NFL平均の4・04を大きく下回る。
 原因は顔触れが変わったOLにある。LTに新人タイ・サンブレイロを起用し、Cは2年目のマット・パラディス。この二人の経験不足が響いているのは明らかだ。
 昨年からただ一人残るルイス・バスケスもRTからRGにポジションを変えている。開幕直前に元オールプロのエバン・マシスを獲得したが、OLの呼吸が合い、全員の連携がとれるまでには時間がかかりそうだ。


 マニングのパスも従来の威力を発揮していない。OLのプロテクションが弱く、十分な時間が与えられないのも理由の一つだが、ドロップバックの多用も影響している。
 昨年までのオフェンススタイルでは、マニングはほとんどすべてのプレーでショットガン隊形を使用した。スクリメージラインからあらかじめ5、6ヤード下がっているため、スナップを受けてからその場でディフェンスの動きを読むことが可能だ。パスラッシャーから距離があるのも利点だ。


 しかし、キュービアックのオフェンスでは、マニングがCのすぐ後ろにセットし、ドロップバックしてパスの体勢に入るのが通常だ。これだとドロップバックしながらディフェンスの動きを見ることになる。マニングの機動力はこの数年で落ちており、ドロップバックの動作が窮屈に見える。
 パッシングダウンでショットガン隊形を使わなければいけないシチュエーションの方が伸び伸びとパスを投げられている印象だ。


 パンサーズはQBキャム・ニュートン一人に頼るオフェンスに不安が残る。プレシーズンで膝の靱帯を断裂して今季絶望となったエースWRケルビン・ベンジャミンに代わる存在がまだ現れない。
 テッド・ギンJr.やグレッグ・オルセンとのホットラインを早く形成しないとディビジョンライバルのファルコンズ(2勝0敗)が好調なだけに3年連続の地区優勝が難しくなる。


 AFC優勝候補の一角であるコルツはジェッツにも敗れて連敗スタート。ここもOLが最大の課題で、QBアンドルー・ラックがパスターゲットを探す時間がなくインターセプトを喫してしまう。さらにディフェンスも相手にビッグプレーを許してしまうという悪循環だ。


 新加入のRBフランク・ゴア、WRアンドレ・ジョンソンの働きも目立たない。早急な修正が必要だ。もっとも、AFC南地区ではコルツに並ぶ実力を持つチームは見当たらず、序盤に苦しんでいるが地区優勝でのプレーオフ出場は十分に可能だ。
 ただし、勝ち星が伸びずにプレーオフでのシード順位が下がればホームでの勝率が高いペイトリオッツやブロンコスの地元に乗り込んで戦わなければならず、スーパーボウルへの道のりは険しくなる。


 ちなみに、現行の12チームによるプレーオフ制度が導入された1990年以降、0勝2敗のスタートからプレーオフに出場した例は24あり、そのうち3チーム(93年のカウボーイズ、2001年ペイトリオッツ、07年ジャイアンツ)がスーパーボウルを制覇するほどのチーム立て直しに成功している。


 そのコルツは第3週に同地区のタイタンズ(1勝1敗)と対戦する。タイタンズの新人QBマーカス・マリオタはこれまですでに6TDパスを成功させており、被インターセプトは0。開幕戦ではパサーレーティングの最高点である158・3を記録した。
 オレゴン大学時代に培ったリードオプションも駆使し、ランとパスでディフェンスを翻弄する。コルツディフェンスがどのようにマリオタ対策を練ってくるかは注目だ。スタイルの違うラックとのQB比較も面白い。


 このコルツ対タイタンズのように第3週に組まれている同地区対決は、シーズン序盤ながら地区優勝の行方を左右するものが多い。
 AFC北地区ではベンガルズ(2勝0敗)がレーベンズ(0勝2敗)と敵地で戦う。連敗スタートとなったレーベンズはここで勝利しておかないと、早くもプレーオフ戦線から脱落する可能性がある。QBアンディ・ダルトンとWRのA・Jグリーンによるベンガルズのパスオフェンスとレーベンズディフェンスというのが注目のマッチアップだ。


 NFC南のセインツ(0勝2敗)@パンサーズ(2勝0敗)はセインツのQBドルー・ブリーズの出場の可否で見どころが大きく変わる。
 ブリーズは右肩の腱を損傷していることが判明した。パスの勢いに影響を与える箇所で、彼の武器であるピンポイントのパスが今季はなかなか見られない。すぐに手術が必要なほどの重症ではないとみられるが、欠場して治療するのか出場しながら様子を見るのかの選択をセインツは迫られている。
 ブリーズが出場できるならセインツの巻き返しのチャンスとなる試合だが、欠場となればセインツの地区優勝の可能性は低くなる。


 ビルズ@ドルフィンズはともに1勝1敗同士の星のつぶし合いだ。ペイトリオッツが例年通り好調なだけにどちらも踏みとどまりたい。
 ドルフィンズは今年のオフの最大の目玉であるDTダムコング・スーの獲得が、いまひとつ結果に結びついていない。まだ2試合だが、残念ながらライオンズ時代のような目立った働きがないと言わざるを得ない。その点、上り調子のQBタイロッド・テイラー率いるビルズオフェンスにつけいる隙はある。


 同地区対決ではないが、マンデーナイトゲームのチーフス(1勝1敗)@パッカーズ(2勝0敗)も楽しみなカードだ。
 チーフスはQBアレックス・スミスとTEトラビス・ケルシーのコンビが好調で、RBジャマール・チャールズのランも威力を発揮している。
 第2週のブロンコス戦はチャールズのファンブルロストなどミスで自滅したが、プレーオフを狙うだけの実力はある。昨年のリーグMVPアーロン・ロジャースに対して、ジャスティン・ヒューストンとタンバ・ハリの両OLBがパスラッシュでどれだけプレッシャーをかけられるかが鍵を握る。


 第4週の木曜日ゲームはレーベンズ@スティーラーズ(第2週終了時点で1勝1敗)のライバル対決だ。第3週の結果次第だが、これもAFC北の優勝争いに絡む重要な試合だ。
 スティーラーズは第3週からRBレベオン・ベルが出場停止処分明けで復帰。WRダリアス・ヘイワードベイもアントニオ・ブラウンに次ぐ第2レシーバーとして育っており、現時点ではスティーラーズ有利とみる。

【写真】イーグルス戦で左の鎖骨を骨折したカウボーイズのQBトニー・ロモ(9)(AP=共同)