波乱の幕開けと言っていいだろう。NFL2015年シーズンのオープニングウィークは、優勝候補の一角であるコルツと前人未到のNFC3連覇を狙うシーホークスがまさかの黒星スタートとなった。


 昨季オールプロに選出されたWRデズモンド・ブライアント(カウボーイズ)が足を骨折して6週間の戦列離脱が濃厚となり、レーベンズではチームリーダーで精神的支柱でもあるLBテレル・サッグスがアキレス腱を断裂して今季絶望となった。


 注目されたドラフト全体1、2番目指名の新人QB対決はタイタンズのマーカス・マリオタが4TDパスを成功させて快勝した。これも意外な結果だった。
 マリオタはオレゴン大学時代にオプションQBとしてプレーしており、NFLで主流のポケットパサースタイルは苦手とされていた。
 むしろ、フロリダ州立大学でプロスタイルになじみ、それがバッカニアーズからトップ指名を受けた大きな理由となったジェーミス・ウィンストンの方がNFLに早く順応すると考えられていた。わずか1試合の結果で判断するのは早計だが、タイタンズファンには待ち望んだフランチャイズQBの登場との期待が高まる。


 スーパーボウル王者のペイトリオッツはQBトム・ブレイディからTEロブ・グロンカウスキーへ3TDパスが決まり、スティーラーズを一蹴した。
 ブレイディは、昨年のAFC決勝でペイトリオッツが意図的に減圧されたボールを使用していたとされる、いわゆる「デフレートゲート」に関与した疑いがあるとしてNFLから4試合の出場停止処分を科せられたが、地方裁判所の判断でこの処分が無効となって開幕戦からの出場が可能となった。地元ファンから大歓迎を受ける中での快勝だった。
 そのほか、パッカーズ、ブロンコス、カウボーイズ、パンサーズ、ベンガルズなどは順調に開幕戦で白星を挙げた。


 開幕週で目を引いたのはビルズだ。4年目でNFLを代表するパサーに一人に成長したQBアンドルー・ラックに対し、執拗なブリッツ攻勢を仕掛けてプレッシャーを与えた。
 その結果ラックは二つのインターセプトを食らい、パサーレイティングは63と不本意な成績に終わった。オフにRBフランク・ゴア、WRアンドレ・ジョンソンといったビッグネームを獲得して、今年こそスーパーボウル出場との機運が高まっているコルツは痛い敗戦となった。


 今のビルズはディフェンスを武器とするチームだ。DEマリオ・ウィリアムズを中心としたパスラッシュは昨年も好調だった。それが、レックス・ライアンというアグレッシブなディフェンスを身上とするHCを得て、さらに威力を増した印象だ。
 第2週からは出場停止処分で開幕戦を欠場したDTマーセル・ダレウスがチームに再合流し、同地区ライバルのペイトリオッツを迎え撃つ。
 ラックに対して成功したようにブレイディのリズムを狂わせて勝利をつかむことができれば、1999年シーズン以来のプレーオフ出場への期待が高まる。注目カードの一つだ。


 さて、第2週にはシーホークス@パッカーズという好カードも組まれている。開催地こそ違うが昨年のNFC決勝のリターンマッチである。
 この時は第4Q途中まで7―19とリードされたシーホークスがオーバータイムの末に競り勝った。第4Qに猛追を始めたシーホークスがTD後に決行したオンサイドキックでパッカーズがキャッチミスをし、連続攻撃権を得たシーホークスが土壇場で逆転に成功する(のちにパッカーズが再び同点にしてオーバータイムへ)場面もあった因縁の対決だ。


 シーホークスは開幕戦で同地区のラムズに敗れており、連敗は避けたい。逆にパッカーズがこの試合に勝てば、プレーオフでシード順位を争うことになる可能性のあるシーホークスに対して優位に立つことができる。わずか2週目で今季のNFCの優勝争いを大きく左右する試合だ。


 QBフィリップ・リバースとWRキーナン・アレンの活躍で開幕戦勝利を飾ったチャージャーズはベンガルズ(1勝0敗)と対戦。ベンガルズもQBアンディ・ダルトンとWR のA・Jグリーンのコンビがオフェンスの中心で、華やかなパス合戦が見られるだろう。


 プロデビュー戦を最高の形で飾ったマリオタはハイズマントロフィー(大学最優秀選手賞)受賞の先輩であるジョニー・マンゼル率いるブラウンズとの対戦だ。
 ブラウンズではベテランのジョシュ・マッカウンが開幕先発QBを務めたが、脳しんとうで退場。第2週も出場が危ぶまれており、ブラウンズはマンゼル先発に備えた準備をしている。カレッジではともにオプション型QBとして一世を風靡した二人がプロの舞台でしのぎを削る。


 ジャイアンツに劇的な逆転勝ちをしたカウボーイズは、地区ライバルのイーグルスと敵地フィラデルフィアで対戦する。エースWRブライアントを欠いたオフェンスがどのような攻撃を見せるか。
 一方、ファルコンズに敗れたもののイーグルスのアップテンポなオフェンスは健在だ。3―20という劣勢から24―23と一時的とは言え逆転に成功した。ただし、カウボーイズからフリーエージェントで獲得したRBデマルコ・マレーは8キャリーで9ヤードゲインと不発。マレーが古巣相手にどのような走りを見せるか。


 NFLはまだ序盤に過ぎない。しかし、ビルズやドルフィンズのようにプレーオフから遠ざかっているチームが開幕2連勝を飾れば、今後の展開が楽しみになるし、逆にシーホークスやスティーラーズが連敗をするようなら特定チームの常連化が進むプレーオフ戦線に変動があるかもしれない。第2週も目が離せない試合が続く。

【写真】開幕戦で4TDパスを決めたタイタンズの新人QBマリオタ(AP=共同)