スティーラーズが本拠地を置くペンシルベニア州ピッツバーグが2023年のスーパーボウル候補地に立候補することが明らかになった。


 数年前なら冗談で済まされたかもしれない。しかし、かつては不可能と思われたニューヨーク/ニュージャージーでスーパーボウルが行われた実績がある以上、同じ寒冷地であるピッツバーグにもチャンスがあるということになる。


 NFLは、スーパーボウル開催地の条件を内規でいくつか定めている。その一つが開催時期の平均気温だ。
 屋外スタジアムの場合、2月の現地の平均気温が約10度以上であるべきというのが条件だ。だから、必然的に寒冷地はスーパーボウル開催の機会が過去にはなかった。


 ミネソタ州ミネアポリスやミシガン州デトロイトのような極寒の地で開催されたことはあるが、これらはいずれもドーム型スタジアムであり、これが開催実現の条件となった。
 


 あくまでも内規なので例外がないわけではない。2013年シーズンの王座決定戦となった第48回大会がそれだ。
 冬季のニューヨーク州とニュージャージー州は平均気温が5度を下回り、スーパーボウル招致の内規に合致しない。しかし、ロジャー・グッデルNFL コミッショナーの強い意向で実現したとされる。


 ただし、これも特別なケースとの見方が強かった。ニューヨーク市はNFLの本部が置かれている場所であり、そのお膝元でリーグの優勝決定戦を行う大義名分があったからだ。
 ところが、今回のピッツバーグの立候補決定により、その「特別感」が失われてしまった。ピッツバーグは、「もはや寒冷地はスーパーボウル招致の例外ではない」と宣言したに等しいのだ。この提言は重大だ。


 ピッツバーグはNFLにおいて影響力の大きいフランチャイズだ。スーパーボウルは最多の6回優勝で、地元のみならず全米で広く人気を誇る。
 代表を務めるルーニー一家はNFLのオーナーたちの間でも一目置かれる存在だ。そのピッツバーグがスーパーボウル招致に新たなスタンダードを提示したとすれば、それがリーグ全体に与える波紋は決して小さくない。


 ピッツバーグは冬季でも雪は多くない。降っても積もることは少ない。だから、雪による交通麻痺などはそれほど問題にはならない。
 ただし、気候は過酷だ。1~2月は昼間でも氷点下10度を下回ることすらある。筆者が住んでいた1989~90年には、街の象徴でもあるスリーリバーズが凍ってしまったほどだ。


 そんなピッツバーグがスーパーボウル招致に成功すれば、比較的近隣で似た気候にあるシンシナティやクリーブランド(ともにオハイオ州)はもちろん、シカゴ(イリノイ州)、グリーンベイ(ウィスコンシン州)など極寒で有名なスタジアムまで可能性が広がるかもしれない。


 もちろん、招致の内規は気候だけではなく、十分な宿泊施設と交通機関が整備されていること、スタジアムの観客収容数が一定の標準を満たしていることなども条件としてあるため、一概には言えない。 しかし、寒冷地というだけであきらめていたフランチャイズにも招致の可能性が開かれるとすれば、スーパーボウルがもたらす経済効果を当てにした立候補が増えることも考えられる。


 筆者は基本的には寒冷地でのスーパーボウル開催には反対の立場だ。天候だけでも不確定要素が多く、あれだけのビッグイベントを滞りなく行うのは難しいからだ。
 万が一支障をきたすようなトラブルでもあればそのダメージの大きさは計り知れない。


 それでも、ランボーフィールド(グリーンベイ)やソルジャー・フィールド(シカゴ)など伝統のあるスタジアムで行われるスーパーボウルにも魅力を感じるのも事実だ。そして、懐かしきピッツバーグでの開催が実現したら、万難を排して取材に行くのは言うまでもない。

【写真】ピッツバーグ・スティーラーズのダン・ルーニー・チェアマン(AP=共同)