NFLドラフトがいよいよ今週開催される。昨年まではニューヨークで行われていたが、今年はシカゴで、4月30日から3日間にわたって実施される。


 現在のドラフトは7巡までで、初日は1巡のみの指名。2日目に2~3巡が行われ、最終日ですべてのラウンドが終了する。指名の順番は昨季の成績の低いチームが優先される「ウエーバー制」が採用されている。

 今年の1位指名権を持つのは2勝14敗だったバッカニアーズで、その後はタイタンズ(2勝14敗)、ジャガーズ(3勝13敗)、レイダーズ(3勝13敗)、レッドスキンズ(4勝12敗)と続く。
 過去のトレードの影響で、ブラウンズとセインツは1巡で二つの指名権を持つが、スーパーボウル出場のシーホークスはとビルズは2巡まで指名権がない。


 注目されるのは過去にハイズマントロフィーを獲得した二人のQBだ。フロリダ州立大学のジェーミス・ウィンストンはバッカニアーズの指名が確実だ。以前にこのコラムでも紹介したが、ポケットパサータイプでNFLへの順応は早いだろうと予測されている。
 2002年のスーパーボウル優勝後、安定したQBが存在しないバッカニアーズは早くから指名の可能性を公言している。


 タイタンズがどう動くかは注目だ。タイタンズもQBに人材が欲しい。だからと言ってすぐに、もう一人のハイズマンQBマーカス・マリオッタ(オレゴン大学)指名に傾くかといえばそうでもなさそうだ。
 スプレッドオフェンスでプレーしてきたマリオッタを起用するには、タイタンズのオフェンスのプレーブックを大幅に書き換えなければいけない。


 ケン・ウィーゼンハントはオフェンス畑出身のHCでQBのランを効果的に使うことを好む。しかし、あくまでも基本はポケットパサーを駆使するオフェンスであり、マリオッタをそのようなタイプに改造する時間的余裕があるかは不明だ。
 ウィーゼンハントは就任2年目だが、今年も勝ち星が五つ以下だと早くもクビになりかねない。そのような状況で時間をかけてQBを育成する余裕はない。


 タイタンズは前スティーラーズ守備コーディネーターのディック・ルボウをアシスタントHCに招聘したこともあり、ディフェンス選手獲得に動くのが賢明だろう。
 OLBダンテ・ファウラーJr.(フロリダ大学)やレオナード・ウィリアムズ(南カリフォルニア大学)らパスラッシュのうまい人材が指名可能だ。


 ところが、タイタンズには気になる噂がある。チャージャーズのQBフィリップ・リバースと2番目指名権のトレードだ。チャージャーズのGMトム・テレスコはこれを完全否定しているが、「状況証拠」はそろっている。QBの欲しいタイタンズと新体制を築きたいチャージャーズの双方の思惑は一致する。
 そして、ウィーゼンハントがチャージャーズの攻撃コーディネーターと務めた2013年シーズンにリバースは長年のスランプから復活してチームをプレーオフに導いた。さて、実際はどうなるのか。


 ジャガーズはファウラーJr.指名の可能性が高いとされているが、もしタイタンズに先にとられてしまったならウィリアムズやビック・ビーズリー(クレムソン大学)を代わりに指名してもいい。
 だが、ここでトレードダウンするという選択肢もある。トレードダウンとは、この指名権を順番の遅いチームに譲ることで、別のラウンドの指名権をもらうことだ。指名権を増やすことで多くの新人を指名することが可能だ。逆に、ほかのラウンドの指名権を譲渡することで指名順位を上げることをトレードアップという。


 ジャガーズは現在再建途中にあるチームで、指名できる選手は多い方がいい。希望するファウラーJr.が指名できなければトレードダウンをするのも得策だ。
 順番が飛ぶが、二つの指名権を持つブラウンズは不気味な存在だ。最近のブラウンズは積極的にトレードを使って指名順位を上げてくる。条件さえ整えば、一気にトップ10内に上がってくる可能性すら否定できない。


 ブラウンズはエースWRジョシュ・ゴードンが出場停止処分中で、今年も戦力として計算できるかわからない。そうした状況ではエース格のレシーバーが欲しく、ウエストバージニア大学のケビン・ホワイトやアラバマ大学のアマリ・クーパーあたりが指名候補になる。
 これらのレシーバーは4番目指名権を持つレイダーズも狙っており、横取りするなら3番目のジャガーズ、どちらか残っている方を指名するなら5位のレッドスキンズとのトレードアップも考えられる。
このオフに人材を多く失った49ersやセインツはこのドラフトが重要だ。49ersはパトリック・ウィリスの引退したLBの補強は急務だが、15番目の指名権では即戦力級の人材は残っていないかもしれない。トレードアップしようにも補強が必要なポジションの多い状況ではその余裕はない。厳しいドラフトとなるだろう。


 SSトロイ・ポラマル、CBアイク・テイラー、DEブレット・キーゼルらディフェンスで多くの引退選手を出したスティーラーズはやはり守備部門に偏ったドラフト戦略となるだろう。セカンダリーの人材確保は重要課題だ。


 スーパーボウル王者のペイトリオッツは基本的にはすべてのラウンドで最下位指名なので、いい人材は集めにくい。しかし、無名の選手を育て上げることに定評のあるチームなので、思わぬスター選手を発掘するかもしれない。


 指名のたびに一喜一憂するのがドラフトだ。公式サイトNFL.comやNFL JAPAN.comではライブで速報も流すようなので、これを見ながら自分の予想と照らし合わせるのも面白い。
 突然のトレードアップやダウンで自分の予想があっという間に覆されるのは悔しいが、そういう急展開な側面もドラフトの楽しさだ。

【写真】バッカニアーズの1巡指名が確実視されるフロリダ州立大QBウィンストン(AP=共同)