手に汗握る好ゲームだった今年のスーパーボウルは、シーホークスの最後のオフェンスプレーコールの是非が今でも議論されるなどその余韻が続いている。
 一方でテレビ中継が一部の再放送を残して終了し、NFLは静かなオフを迎えた―かに見えるが、実はそうではない。ゲームこそ行われないが、今この時も各チームのオフィスは忙しく稼働している。それは、あとひと月もたたずにフリーエージェント(FA)との契約期間が始まるからだ。


 現在、全32チームはGMを中心に選手の評定を進めている。まず、自チームでFA資格を取得する選手について、契約を延長するか否かを決定する。そして、他のチーム所属でFAとなる可能性がある選手をリストアップし、どの選手が必要か、どの選手が獲得可能かを精査する。


 NFLではチームが選手に支払う年俸総額の上限が決められる「サラリーキャップ」制度を導入しているから、金を積んで欲しい選手をかき集めるというわけにはいかない。
 むしろ、サラリーキャップの限度額内に総年俸を抑えるために、高額年俸を手にする主力選手を放出しなければいけないことも珍しくない。放出された選手はその時点でFAとなるから、他のチームからの獲得対象になる。


 さらに、チームはまだ契約下にある選手の契約延長も検討する。将来FAとなって移籍することを防ぐためだ。
 例えば、スーパーボウル準優勝のシーホークスでは主力RBマーション・リンチが契約の最終年に突入する。シーホークスのオフェンスにとって必要不可欠な人材なので、高額な契約延長で引き留めたい。


 ところが、それが簡単にはいかない。QBラッセル・ウィルソンも今年が新人時の2012年に結んだ4年契約の最終年となる。これも契約延長が必須な選手だ。
 ただし、ドラフト3巡で指名を受けたウィルソンは4年で年俸総額約300万ドルという契約だったが、2年連続でチームをスーパーボウルに導いた実績を考えれば、年俸が20倍近くに膨れ上がっても不思議ではない。


 とすれば、リンチとウィルソンの両方を引き留めたいシーホークスは、金のやり繰りに頭を悩ませることになる。ペイトリオッツとの激戦から1週間がたっても、シーホークスのフロント陣は相変わらず忙しい情報収集に追われていることだろう。


 今年は3月10日にシーズンの年度が切り替わり、2015年シーズンが始まる。この日がFAとの契約の解禁日でもある。


 このオフは有力選手が多くFAとなる可能性がある。リーディングラッシャーとなったRBデマルコ・マレー(カウボーイズ)もその一人だ。パワフルなランプレーはどのチームにも魅力的に映る。
 カウボーイズはマレーの離脱を防ぐために、3月10日よりも前に契約延長する準備を進めているが、エースWRデズ・ブライアントも契約があと1カ月弱で終了するので、こちらの再契約も重要課題だ。


 2014年シーズンに躍進したライオンズからは、守備の主力ダムコング・スーとニック・フェアリーの二人がFAとなるため、チームはFA解禁前に引き留めたい。
 ブロンコスも似た事情にあり、WRデマリアス・トーマスとTEジュリアス・トーマスの契約が終了する予定だ。二人とも慰留するか、もしくはどちらかを断念するかは引退か現役続行かで揺れるQBペイトン・マニングの去就にも大きく影響する。


 そのほか、サック王のDE/OLBジャスティン・ヒューストン(チーフス)、WRランドール・コブ(パッカーズ)、TEジョーダン・キャメロン(ブラウンズ)らも契約終了間際だ。FA解禁日までのチームが引き留めに成功するか、それともFAとなって新天地で2015年シーズンを迎えるかが注目される。

【写真】FAでの動向が注目されるシーホークスのQBウィルソン(右)とRBリンチ(AP=共同)