NFLの優勝決定戦、第49回スーパーボウルが2月1日午後6時30分(日本時間2日午前8時30分)に開催される。
 舞台はアリゾナ州グレンデールのフェニックス大学スタジアム。NFC代表のシーホークスが勝てば史上9例目の連覇達成となる。一方、AFC優勝のペイトリオッツは2004年シーズン以来のリーグ制覇を目指す。


 シーホークスはその鉄壁守備が武器だ。1試合平均の喪失距離は267・1ヤードで、失点はわずか15・9点。ともにNFLベストの成績だ。
 オフェンスは現在のNFLでは少数派となったラン重視型を採用している。RBマーション・リンチは強靭な下半身でスクリメージラインを突破し、確実にゲインを重ねる。QBラッセル・ウィルソンとのコンビで繰り出すリードオプションも効果がある。


 対するペイトリオッツは多彩なパスオフェンスが特長で、高い得点力(1試合平均29・3点=NFL4位)を誇る。
 なかでもTEロブ・グロンカウスキーの能力は突出している。198センチ、120キロの体格を生かしたランアフターキャッチは相手守備にとって脅威だ。かつてはチームの弱点だったディフェンスだが、セカンダリーにCBダレル・リービスと元シーホークスのブランドン・ブラウナーをFAで獲得して補強に成功している。


 ともにカンファレンスの1位シードを獲得し、プレーオフでもそれぞれに大逆転を演じて勝ち進んできただけに、シーホークスにもペイトリオッツにも大きな弱点は見当たらない。この頂上決戦はどんな展開が予想されるだろうか。


 ▽ペイトリオッツオフェンス対シーホークスディフェンス
 この試合の見どころとしてオーソドックスに語られるのがこのマッチアップだ。ペイトリオッツはQBトム・ブレイディを中心にグロンカウスキー、WRジュリアン・エデルマン、ブランドン・ラフェルなどに多彩なパスを投げる。
 グロンカウスキーは典型的なTEの位置だけでなく、WRとしてアウトサイドからスタートすることも多く、それによってディフェンダーとのミスマッチを誘う。エデルマンはフィールドを横切るパスコースも得意で、密集地でも確実なパスキャッチをする。足も速いので、エンドアラウンドやジェットスィープといったランプレーでも貢献できる。


 シーホークスのディフェンスはスターぞろいだ。セカンダリーはCBリチャード・シャーマン、FSアール・トーマス、SSキャム・チャンセラーが今年のプロボウルに選出された。LBボビー・ワグナーは守備範囲が広く、DEマイケル・ベネット、LBブルース・アービンらがパスラッシュでサックを量産する。


 このマッチアップの鍵を握るのはパスラッシュだ。ブレイディはリーグ屈指の好パサーだが、パスラッシュによってリズムを崩されると意外にもろい。ブレイディが過去に苦戦したレーベンズやジャイアンツはいずれも執拗なパスラッシュで攻めてきた。
 プレッシャーを感じて不用意に投げ急ぐと、強力セカンダリーによるインターセプトの餌食となる。対抗するにはクィックリリースのパスを多用するか、ランプレーを織り交ぜてパスラッシュの足を止めることだ。


 ▽シーホークスオフェンス対ペイトリオッツディフェンス
 実はこちらのマッチアップの方が試合を左右すると予想する。上記のようにシーホークスは強力なランオフェンスを持っているが、WRの人材が乏しいという大きな弱点も抱える。
 昨年のスーパーボウルで活躍したパーシー・ハービンとゴールデン・テイトはすでに退団し、ダグ・ボールドウィン、ジャーメイン・カースらがレシーバー陣を支える。1000ヤードレシーバーが一人もおらず、ペイトリオッツのセカンダリーと比べると見劣りする感は否めない。


 ペイトリオッツはシーホークスのランを止めて、パス中心のオフェンスを使わざるを得ない状況に追い込めば有利に試合を展開できる。もっとも、リンチのランは簡単には止まらないし、ウィルソンの脚も要注意だ。
 リンチは「ビーストモード」にギアを入れてしまうと、一発のタックルで仕留めるのはほぼ不可能だ。ウィルソンはスクランブルランでパスラッシュを回避し、崩れかけたプレーをビッグプレーにしてしまう能力を持つ。
 DTビンス・ウィルフォークのランストップ、DEロブ・ニンコビッチのボールキャリアを外側から囲い込むコンテイン、LBドンテ・ハイタワーのタックルが重要だ。


 智将ビル・ベリチックはあえてリンチのランを「止めない」という作戦を使うことも考えられる。ベリチックは「できないことはやらない」と割り切ることのできるヘッドコーチだ。
 リンチのランが止まらないのであれば、それによる距離の喪失や失点はある程度覚悟しておく。その代わり、他の部分(ウィルソンのランやパス)は確実につぶすという戦略を立てることもあり得る。
また、オフェンスで大量リードを奪って早い段階からシーホークスにキャッチアップを強いることができれば必然的にリンチのランの使用頻度が減る。これもランを止めるためにペイトリオッツがよく使う常套手段の一つだ。


 ▽スペシャルチーム
 フェニックス大学スタジアムは室内球場なので天候の影響はない。スティーブン・ハーシュカ(シーホークス)とスティーブン・ゴスコウスキー(ペイトリッツ)はともにレギュラーシーズンでFGの失敗がない。
 フィールドポジションを左右するパントは重要なファクターとなりそうだ。ラン中心に攻めるシーホークスはできるだけいいフィールドポジションからオフェンスを展開したい。そのためにはパントリターンの成否は大きな意味を持つ。


 あえて勝敗を予想するなら、総合力でペイトリオッツ有利とみる。どのマッチアップをとっても興味深く、見どころは多い。それぞれの強い部分を存分に発揮した好ゲームを期待したい。

【写真】スーパーボウルに向けて調整するシーホークスのRBリンチ(AP=共同)