NFLは1月10、11日(現地時間)の週末にディビジョナルプレーオフ(準決勝)を行い、AFCではペイトリオッツとコルツが、NFCはパッカーズと前年王者シーホークスがそれぞれ勝ってカンファレンス決勝に駒を進めた。
 18日に行われる決勝戦で勝ち抜いた2チームが2月1日にアリゾナ州グレンデールのフェニックス大学スタジアムで行われる第49回スーパーボウルへの出場権を手にする。


 ディビジョナルプレーオフは4試合のうち三つでホームチーム、すなわちシード順位が上のチームが順当に勝ち上がった。ペイトリオッツはプレーオフで過去1勝2敗と分の悪いレーベンズに最大14点差を付けられる展開から逆転しての勝利。パッカーズは脚を負傷しているQBアーロン・ロジャースが後半に効率の良いパスオフェンスを率いてこちらもカウボーイズに逆転勝ちした。


 シーホークスは自慢のディフェンスでパンサーズをねじ伏せた。スーパーボウル王者が翌年のカンファレンス決勝まで残るのは2004年シーズンのペイトリオッツ以来だ。この時のペイトリオッツはスーパーボウルでパンサーズを破って史上8例目の連覇を達成している。それ以降、スーパーボウル連覇を果たしたチームは現れていない。


 唯一の波乱となったブロンコス対コルツは世代交代を象徴する結果となった。コルツのQBアンドルー・ラックは2012年のドラフト全体1位指名の逸材。ヒューストン・オイラーズでQBとして活躍したオリバー・ラックを父に持つ「サラブレッド」で、パスの能力やリーダーシップといった司令塔の資質は十分に備わっている。将来スーパーボウルで勝つことが運命づけられた選手と言っていいだろう。


 そのラックの前にコルツのエースQBとして君臨していたのが現ブロンコスのペイトン・マニングだった。マニングは1998年に、やはりドラフト全体1位指名で入団。父アーチーが元NFL選手だった(セインツQB)こともラックと共通している。
 新人ながら開幕QBとなり、早くからパサーとして頭角を現した。数年後にはNFL屈指のQBと呼ばれるようになって、ペイトリオッツのトム・ブレイディとAFCの覇権を争ってきた。2006年にはスーパーボウルで優勝、2009年に再度の出場を果たすも、セインツに敗れた。
 


 マニングのコルツでのキャリアは突如として終焉する。2011年に首の故障で全休となり、限界と判断したチームから翌年には解雇されてしまったからだ。FAとなったマニングはブロンコスに移籍。同じ年に入れ替わる形でラックがコルツに入団した。


 NFL入り後3年連続でプレーオフにチームを導いたラックは今やNFLを代表するQBの一人に成長した。今季パスで獲得した4761ヤードは、マニングが2010年に樹立したコルツの球団レコードを更新するものだった。
 数字上は匹敵する実力を備えたラックが、偉大な先輩であるマニングを超えるにはスーパーボウルでの勝利が必要だ。その過程としてプレーオフでマニングのブロンコスを倒したことは大きな意味があった。


 敗れたブロンコスはジョン・フォックスHCが退団することになった。マニングも来季への姿勢を明らかにしていない。今季終盤に不振に陥る時期が続いたため、引退を予測する情報も飛び交っている。
 マニングの入団後、スーパーボウル制覇を至上命題として有名選手を次々と獲得し、急速に戦力を整えてきたブロンコスだが、3年間で目標を達成することはできなかった。来季は大きな節目を迎えることになる。


 そして、ラックの前にはAFCのもう一人の雄ブレイディが立ちはだかる。また一つ世代交代を進めることができるか、注目だ。


 ◎1月18日午後3時5分(日本時間19日午前5時5分)試合開始
 ▽NFC決勝
パッカーズ(北地区優勝)@シーホークス(西地区優勝)
 NFL1位の得点力を誇るパッカーズのオフェンスと、やはりリーグトップのディフェンスを持つシーホークスの戦いだ。
 パッカーズのQBアーロン・ロジャースは、レギュラーシーズン第14週に負った左ふくらはぎのけがを最終第17週のライオンズ戦で悪化させた。1週の間隔が空いたディビジョナルラウンドのカウボーイズ戦でも脚を引きずりながらのプレーで、体調は万全ではない。踏み込む左脚が不安定なためにパスのコントロールが定まらず、自慢のパスオフェンスは100%の力を発揮できるかは疑問だ。RBエディ・レイシーのランでどこまでその局面を打開できるか。


 シーホークスは大型セカンダリーが武器だ。リチャード・シャーマンはNFLを代表するカバーCBで、SSキャム・チャンセラーはパンサーズ戦でインターセプトリターンTDをマークするなどプレーメーカーだ。オフェンスではマーション・リンチのパワフルなランが威力を発揮する。
 この2チームは今季開幕戦で対戦しており、その時はシーホークスが36―16で完勝している。


 ◎1月18日午後6時40分(同19日午前8時40分)試合開始
 ▽AFC決勝
コルツ(南地区優勝)@ペイトリオッツ(東地区優勝)
 昨年はディビジョナルラウンドでこの顔合わせがあり、複雑なペイトリオッツディフェンスの前にQBラックがインターセプトを連発して敗退した。今季も被インターセプトの多いラックがどこまでディフェンスを読み切って、百戦錬磨のペイトリオッツに対抗できるかが鍵を握る。


 ラックはエースWRに成長したT・YヒルトンとRBダニエル・ヘロンをうまく使い分けたい。ヒルトンはキャッチ力に優れ、ロングパスのターゲットとなる。一方のヘロンはランだけではなく、ショートパスのキャッチでゲインを重ねる。この二人を使い分けることでフィールドを広く使って攻めることが可能だ。ディフェンスは新人LBジョナサン・ニューサムのパスラッシュに注目だ。


 ペイトリオッツは、TEロブ・グロンカウスキーが活躍できる環境を作ることができれば試合を有利に進めることが可能だ。レーベンズ戦では執拗なパスカバーに遭い、前半はほとんど活躍できなかった。カバレッジへの対策を講じた後半に力を発揮して逆転勝利に貢献したが、現在のオフェンスはグロンカウスキー次第というところがあるので、彼の活躍は必要不可欠だ。


 ラックが入団してからのコルツは過去にペイトリオッツと3回対戦して全敗。分の悪い相手に大舞台でどのような戦いを見せるのか。QBの世代闘争はどちらに軍配が上がるのか。見どころの多い一戦だ。

【写真】ペイトリオッツ戦に向けて調整するコルツのQBラック(AP=共同)