NFLはプレーオフの1回戦を終え、AFCではコルツとレーベンズ、NFCではパンサーズとカウボーイズがワイルドカードラウンドを勝ち抜いた。
 AFC第6シードのレーベンズ以外は上位シードが勝つ順当な結果に見えるが、レギュラーシーズンで7勝8敗1分けだったパンサーズが11勝5敗のカージナルスを破るアップセットもあった。


 負けたら終わりというプレッシャーの下で行われるプレーオフは出場経験が勝敗を左右することがある。第3シードでありながら初戦で敗れたスティーラーズは経験不足が敗因の一つとなった。
 今季はRBレベオン・ベルをはじめ、OLデビッド・デキャストロ、DEキャメロン・ヘイワードら若手の成長がスティーラーズの躍進を支えた。しかし、3年ぶりのプレーオフ出場は場数を踏んでいない若手には荷が重かったようで、ガチガチに緊張して普段通りのプレーができていなかった。


 最近7シーズンで6回プレーオフを経験している百戦錬磨のレーベンズは、そこを巧みに突いてきた。ベルを負傷で欠いた穴も大きく、地区ライバルで不倶戴天の敵でもある相手に苦杯をなめさせられた。
 逆に4年連続でポストシーズンに駒を進めながら、またも初戦敗退となったベンガルズは経験が生かせていない。1990年シーズンを最後にプレーオフで勝利しておらず、これで6連敗。88年シーズン以来のスーパーボウル出場を待ち望むファンには大きな失望感が広がる。


 プレーオフは準決勝のディビジョナルラウンドに突入する。あと2勝すれば2月1日(日本時間2日)にフェニックス大学スタジアム(アリゾナ)で行われる第49回スーパーボウルの出場権を手にする。


 ディビジョナルラウンドからはいよいよカンファレンス第1、2シードの登場だ。レギュラーシーズンで高い勝率を挙げ、1週間の休養を経てさらにホームで試合を開催するというアドバンテージを持つトップ2シードだが、意外にも2回戦突破には苦戦するケースが多い。
 その証拠に、過去5年はいずれも4強のうちの一つは敗退している。08年にはAFC第2シードのスティーラーズを除き、上位シードがすべて敗退するという大波乱が起きた。


 勝ち上がりチームの勢いが、バイウィークを挟んで試合勘の鈍っている上位シードの実力を上回るのがその理由と考えられる。ただし、今年のトップ4チームはいずれもプレーオフの経験が豊富だ。ディビジョナルラウンド突破の難しさも熟知している。
 経験が優るか勢いが凌駕するか。注目の第2ラウンドは1月10日(日本時間11日)から始まる。


 ◎1月10日午後4時35分(日本時間11日午前6時25分)試合開始
 ▽レーベンズ(AFC北地区3位)@ペイトリオッツ(AFCC東地区優勝)
 11、12年に2季連続でAFC決勝で対戦して1勝1敗の両チーム。今回もペイトリオッツオフェンス対レーベンズディフェンスの戦いとなりそうだ。
 ペイトリオッツはQBトム・ブレイディを中心にTEロブ・グロンカウスキー、WRジュリアン・エデルマンを駆使したパスオフェンスが強力。特にグロンカウスキーはパスキャッチがうまいだけではなく、キャッチ後のランでも大きくゲインする。サイズがあるので単独のタックルで仕留めるのは至難の業だ。グロンカウスキーにボールが渡らないようにレーベンズはマークを厳しくするだろう。


 レーベンズの武器はディフェンスのフロント7人だ。OLBエルビス・デューマビルとテレス・サッグスは外側からの「エッジラッシュ」の名手で、ほとんどすべてのプレーでQBにプレッシャーをかける。過去の対戦でもブレイディを悩ませるなど効果は期待できる。終盤までもつれ込み、一つのミスが致命傷となる接戦が予想される。


 ◎1月10日午後8時15分(同11日午前10時15分)試合開始
 ▽パンサーズ(NFC南地区優勝)@シーホークス(NFC西地区優勝)
 5連勝中のパンサーズと6連勝でレギュラーシーズンを締めくくったシーホークスの戦い。安定感ではシーホークスに分がある。昨年のリーグ制覇の原動力となったディフェンスは今季も強く、オフェンスではRBマショーン・リンチのランが止まらない。昨季に比べてQBラッセル・ウィルソンのパスの精度が落ちている印象はあるが、ここぞという場面できっちりとパスを決めてドライブを継続させる能力はさすがだ。


 対するパンサーズはQBキャム・ニュートンの出来次第だ。機動力を生かしたランプレーを解禁することで水を得た魚のように活躍するニュートンだが、ロングパスは苦手としている。ラン守備も堅いシーホークス相手にはラン一辺倒では太刀打ちできないだろう。RBジョナサン・スチュワートとのコンビネーションによるリードオプションと、一気に距離を稼ぐロングパスを織り交ぜることで鉄壁守備に風穴を開けたい。


 ◎1月11日午後1時5分(同12日午前3時5分)試合開始
 ▽カウボーイズ(NFC東地区優勝)@パッカーズ(NFC北地区優勝)
 QBトニー・ロモの好調とRBデマルコ・マレーの大活躍の陰に隠れてしまっているが、カウボーイズの躍進にはディフェンスの改善も大きく貢献している。昨年はランもパスもリーグ下位に低迷、喪失距離では球団ワーストを更新してしまった。
 今季はDEジェレミー・ミンシー、DTヘンリー・メルトン、SSバリー・チャーチらキャリア4~6年の中堅の成長が目立った。このディフェンスがパッカーズのハイスコアリングオフェンスを止められるかが鍵を握る。


 パッカーズはQBアーロン・ロジャーズのパスが中心となるが、RBエディ・レイシーの成長でランオフェンスも向上し、全体のバランスがとれるようになった。極寒の地ランボーフィールドは最大の地の利だ。勝ち上がりのカウボーイズの勢いを封じ込むことができるか。


 ◎1月11日午後4時40分(同12日午前6時40分)試合開始
 ▽コルツ(AFC南地区優勝)@ブロンコス(AFC西地区優勝)
 昨年のスーパーボウルで大敗したブロンコスが満を持して登場。雪辱のための戦いを開始する。QBペイトン・マニング率いるパスオフェンスは折り紙つきで、得点力が高い。シーズン後半からはボールコントロールを意識したオフェンスの展開も試みており、リードして第4Qに入れば、そのまま「逃げ切り」も可能だ。


 コルツは故障者の多いOLがいかにQBアンドルー・ラックを守れるか。ブロンコスのOLBボン・ミラーはパスラッシュの名手で、彼を攻略しないとラックは思うように得意のパスを投げられない。また、レギュラーシーズン中に多発したファンブル癖もブロンコス相手には致命傷となりかねない。「ボールセキュリティー」はコルツの重要課題だ。

【写真】パンサーズ戦を前に記者会見に臨むシーホークスのQBウィルソン(AP=共同)