NFLの第13週は、プレーオフを占う上で大きな動きがあった。
 注目されたAFC西地区首位争いのブロンコスとチーフスの対戦はブロンコスが29―16で勝利。これでブロンコス(9勝3敗)は今季の直接対決を2勝として地区優勝にまた一歩近づいた。


 チーフス(7勝5敗)に対して2ゲーム差をつけただけではなく、タイブレークで有利な条件を手に入れたからだ。つまり、ブロンコスとチーフスが同じ勝率で地区首位に並んだ場合、直接対決で2勝していることがアドバンテージとなってブロンコスが地区優勝となる。チーフスが逆転優勝するためにはブロンコスより最低でも1勝は上回らなければならない。残り4試合でそれを達成するのは困難だ。


 ただし、そう単純にはいかない可能性もある。鍵を握るのは8勝4敗でブロンコスに続くチャージャーズだ。地区内対戦ではブロンコスとチーフスに敗れているが、第15週にブロンコス、最終週にチーフスとの再戦がそれぞれ控えており、この勝敗いかんでは三つ巴の争いになることも想定される。
この場合には同地区内勝率がタイブレークの条件となる。現在ブロンコスがAFC西地区の対戦では4勝0敗と優位に立ち、チャージャーズが2勝2敗、チーフスは1勝3敗だ。


 所属チームがすべて勝ち越しという高レベルのAFC北地区は、ベンガルズを除く3チームがすべて敗れて7勝5敗となった。ベンガルズはバッカニアーズに14―13で辛勝して8勝3敗1分けとなり、単独首位の座を守った。
 しかし、今後はスティーラーズとの直接対決を2戦、ブラウンズとの試合を一つ残しており、その座も安泰ではない。残る1試合はブロンコス戦で、予断を許さない。


 ブラウンズでは不振の先発QBブライアン・ホイヤーに代わって、ドラフト1巡指名の新人ジョニー・マンゼルが登場してTDランを決めた。いよいよ先発交代かの議論も巻き起こったが、次週のコルツ戦にはホイヤーの先発出場が公式に発表された。
 プレーオフ出場権をかけて戦っている最中にQB交代は好ましくないとの判断だ。マイク・ペティンHCはブラウンズの先発QBとして10勝5敗のホイヤーの実績に賭けたのだが、最近3試合で1TDパスに対して六つの被インターセプトとスランプのホイヤーがその期待に応えることができるか。


 NFCでは、イーグルスがカウボーイズを破って9勝目を挙げ、地区優勝争いでリードした。ただし、この直接対決は第15週にも予定されているから、カウボーイズにも逆転のチャンスは十分に残されている。


 好パサー対決が注目されたパッカーズとペイトリオッツの対戦はアーロン・ロジャース率いるパッカーズに軍配が上がった。この勝利はパッカーズ(9勝3敗)にとって大きい。ライオンズとの1勝差をキープしただけでなく、7連勝中だった強豪のペイトリオッツを破ったことで大きな自信になるからだ。
ロジャースの実力とチームの実績を考えれば、現在NFCで最もスーパーボウルに近いチームと言っていいだろう。


 敗れたペイトリオッツ(9勝3敗)だが、この敗戦はそれほどダメージがない。勝率でブロンコスに並ばれてしまったが、直接対決で勝っているのでアドバンテージを有するからだ。ペイトリオッツにとっての正念場はチャージャーズ、ドルフィンズ(7勝5敗)と対戦する第14、15週だ。
 チャージャーズとは1差しかなく、ここで負けるとタイブレークで不利になる。ドルフィンズには2ゲーム差をつけているが、直接対決第1戦(開幕週)で敗れているので、再戦でも負けてしまうと逆転地区優勝を許してしまう恐れがある。
 この2週を乗り切れば、AFC第1シード権を獲得して、プレーオフでは勝ち続ける限り地元で試合を開催する「ホームフィールドアドバンテージ」を獲得することができる。


 これまでずっとNFCトップの成績を保ってきたカージナルスは、残念ながら下降気味だ。シーホークスとの試合では相手の強力なディフェンスになすすべがなく完敗。QBカーソン・パーマーが膝の靱帯断裂で戦列を離れてからはオフェンスが精彩を欠く。このままでは地区優勝はおろか、プレーオフを逃す事態も危惧される。


 さて、NFLはレギュラーシーズンの最後の1カ月に突入する。早くも今週末の第14週にはコルツ(8勝4敗)とブロンコス(9勝3敗)が条件次第ではプレーオフ出場権を獲得する。これからは一つひとつの試合がプレーオフ戦線に大きな影響を及ぼす重要な時期となる。


 第14週の注目カードは以下の通り。
 ▽スティーラーズ(7勝5敗)@ベンガルズ(8勝3敗1分け)
 AFC北地区の優勝を争う重大な一戦だ。WRのA・Jグリーンが故障から復帰したのをきっかけにベンガルズは好調で3連勝中。好不調の波が大きいスティーラーズを退けて首位の座を固めたい。
スティーラーズはオフェンスこそ好調だが、サードダウンコンバージョンで相手に簡単にファーストダウンを許してしまうディフェンスは最大の弱点。オフェンス好調のベンガルズにいかに対抗できるか。


 ▽コルツ(8勝4敗)@ブラウンズ(7勝5敗)
 コルツはこの試合に勝って、地区2位のテキサンズ(6勝6敗)がジャガーズ(2勝10敗)に負ければ3年連続のプレーオフ出場が決まる。ブラウンズは再びホイヤーを先発QBに指名したが、その決断の是非が問われる試合だ。
 この試合に負けてしまうと、2002年以来となるプレーオフ進出が厳しくなるばかりか、ホイヤーは先発の座を失うことになる。


 ▽レーベンズ(7勝5敗)@ドルフィンズ(7勝5敗)
 ともに地区2位で逆転優勝を狙う立場だ。地区優勝への挑戦権をかけたゲームと言っても過言ではない。レーベンズは看板のディフェンスが安定感を増しており、ブリッツ多用のスキームが功を奏している。そのアグレッシブなディフェンスに対して、ドルフィンズQBライアン・タネヒルがいかに効率よくパスでオフェンスをリードできるか。


 ▽チーフス(7勝5敗)@カージナルス(9勝3敗)
 インターカンファレンスの試合だが、それぞれに地区優勝に望みをつなぐ大事なゲームとなる。チーフスは負ければ事実上、プレーオフ戦線から脱落となる。カージナルスはオフェンスの復活が必須だ。


 ▽シーホークス(8勝4敗)@イーグルス(9勝3敗)
 チップ・ケリーHC率いるアップテンポのオフェンス対ピート・キャロルHCが構築したフィジカルなディフェンスのマッチアップ。そして、この試合の勝敗はそれぞれの地区優勝だけでなく、NFCのプレーオフにおけるシード順位にも大きく影響を及ぼす。
 シーホークスは逆転地区優勝への足掛かりとして、イーグルスは首位固めのために負けられない試合だ。


 ▽ペイトリオッツ(9勝3敗)@チャージャーズ(8勝4敗)
 AFCで圧倒的優位に立つペイトリオッツの牙城を崩すとすればこの試合だ。チャージャーズがこの試合に勝てば、ブロンコス、コルツ、AFC北地区優勝チームを含めたプレーオフでのトップシード争いが混とんとする。逆にペイトリオッツは、勝てば第1シード獲得に限りなく近づくことになる。

【写真】QBブレイディ(右)率いるペイトリオッツに勝利したパッカーズのQBロジャース(AP=共同)