唯一1敗を守っていたカージナルスが地区ライバルのシーホークスに敗れ、9勝2敗となった。
 NFCでは依然として単独トップの成績だが、イーグルス、カウボーイズ、パッカーズがそれぞれ8勝3敗で続き、現カージナルスが暫定的に手にしているプレーオフのシード1位の座を狙う。


 AFCではペイトリオッツがライオンズ(7勝3敗)を下して7連勝で9勝目(2敗)。ついにカージナルスと並んだ。それに続くのがブロンコスの8勝3敗で、さらにコルツ、チーフス、チャージャーズ、そして、AFC北地区の4チームが7勝をあげている。


 全チームが11試合を消化した時点で、7勝以上のチームがリーグ全体の半分にあたる16(AFC9、NFC7)もあるのは史上初めてのことだ。各カンファレンスに六つしかないプレーオフ出場に向けて厳しい競争が続く。


開幕からずっとリーグ1位の勝率を維持してきたカージナルスは今季最も苦しい時期を迎えている。シーホークス戦ではエースWRラリー・フィッツジェラルドが膝の故障で欠場したことも災いし、わずか3得点しか挙げられなかった。
 今後のスケジュールはファルコンズ(4勝7敗)、チーフス(7勝4敗)、ラムズ(4勝7敗),シーホークス(7勝4敗)、49ers(7勝4敗)と楽ではない。


 チーフスは最近4勝1敗と好調だ。シーホークスと49ersにはまだ逆転の地区優勝の可能性が残されており、必死でカージナルスを倒しに来るだろう。
 負け越しているとはいえ、ファルコンズもNFC南地区の優勝争いを演じている最中で、これ以上は一つも星を落とせない。ラムズは49ers、ブロンコスを破った大物喰いのクセモノだ。


 ブルース・アリアンズHCは「今後全敗する可能性だってある」と述べているが、その危惧が現実となる可能性は決して低くない。シーホークスとの戦いでは、実戦経験の少ないQBドルー・スタントンが複雑なディフェンス隊形を使ってくるチームに対する弱さを露呈した。
 今後対戦するチームは当然その弱点を攻撃してくる。対策を早急に立てないと、プレーオフ出場すら逃しかねない。


 このように、長期にわたってトップの成績を維持してきたチームでも短期間で苦しい立場に転落してしまうのが、レギュラーシーズンが16試合しかないNFLの怖さだ。そう考えると第3週以降、一つも負けていないペイトリオッツの安定感は群を抜いている。


 他のプロリーグに比べてシーズンの短いNFLでは、地区優勝やプレーオフの決まる12月以降にピークを持ってくることが重要だと言われる。
 序盤はビルズ、ドルフィンズ、パンサーズの好調な滑り出しが話題となった今シーズンだったが、ここに来るとやはりプレーオフの常連組であるペイトリオッツ、コルツ、レーベンズ、スティーラーズ、ブロンコス、パッカーズらが上位に進出してきている。


 こうしたチームはシーズン終盤に戦力が最も充実するようにチームを構築するノウハウを持っている。開幕2連敗のあと7勝2敗で波に乗るチーフスは、アンディ・リードHCがイーグルス時代に何度もプレーオフを経験し、やはりチーム作りのコツを心得ている。
 裏を返せば、中盤以降に失速気味のビルズ、ドルフィンズ、このところ2連敗のライオンズなどはチームの勢いを呼び戻すHCの手腕が問われることになる。


 第13週からはバイウィークのチームがなくなり、12月28日に予定されている最終週までノンストップで毎週16試合が開催される。
 地区内対決が多くなり優勝、プレーオフ枠を争うチーム同士の直接対決も増えてくる。NFLはいよいよレギュラーシーズンの終盤を迎えるのである。


 第13週は感謝祭(サンクスギビングデー)にあたる11月第4木曜日に恒例の3試合が開催される。例年のようにライオンズ(対ベアーズ)とカウボーイズ(対イーグルス)のホームで2試合が行われ、今年は49ersがシーホークスを迎える。いずれも注目の同地区対決だ。


 ▽イーグルス(8勝3敗)@カウボーイズ(8勝3敗)
 NFC東地区の優勝を争う直接対決第1ラウンドだ。昨季はシーズン最終戦で顔を合わせた両チーム。この時はイーグルスが勝って地区優勝を手にした。カウボーイズはそのリベンジを果たしたい。
ともにオフェンスにタレントがそろう。イーグルスはRBルショーン・マッコイ、WRジェレミー・マクリンが好調で、負傷欠場中のニック・フォールズに代わって先発出場中のQBマーク・サンチェスも無難な試合運びで勝利に貢献している。
 一方のカウボーイズはQBトニー・ロモとWRデズ・ブライアントのホットラインに加えて、今季1試合を除いて全てで100ヤードラッシュを達成しているRBデマルコ・マレーの存在も心強い。
 第15週にはイーグルスのホームで2回戦がある。どちらかが2勝すればその時点で事実上の地区優勝が決まる。1勝1敗のイーブンであれば最終週までもつれ込む可能性が高い。


 ▽シーホークス(7勝4敗)@49ers(7勝4敗)
 ともに2ゲーム差でカージナルスを追う立場で、負けは地区優勝争いからの大きな後退を意味する。こちらも直接対決の初戦で、第15週に再戦がある。
 シーホークスの描くシナリオは、残り4試合に全て勝って、最多の勝ち星を獲得するか、少なくともカージナルスと並ぶ勝率でシーズンを終え、直接対決(第12週にホームで勝利。第16週に敵地で2戦目)に勝つアドバンテージで優勝したい。
 49ersはすでにカージナルスに1敗しているので、最終週の再戦で勝たないと不利だ。また、シーホークスと最終的な成績で並んだ時には直接対決の結果で順位が決定する。それだけに是が非でも勝っておきたい試合だ。


 サンクスギビングデーゲーム以外からも注目の試合をあげておこう。
 ▽ペイトリオッツ(9勝2敗)@パッカーズ(8勝3敗)
 カンファレンスが違うので4年に1度しかない好カードだ。スーパーボウルの前哨戦となる可能性もある。トム・ブレイディ(ペイトリオッツ)とアーロン・ロジャース(パッカーズ)といったリーグを代表し、スーパーボウルでMVP受賞の経験もあるQBの対決に注目だ。


 ▽ブロンコス(8勝3敗)@チーフス(7勝4敗)
 AFC西地区の優勝を占う大一番。序盤のような安定感のないブロンコスに好調のチーフスが挑む。昨年も地区優勝を争った両チームだが、現在ブロンコスが5連勝中。今季の第2週にも顔を合わせている。
 チーフスにとってはこの直接対決に勝っておかないと、逆転地区優勝の可能性は限りなくゼロに近づいてしまう。勝機を見出すにはRBジャマール・チャールズのランを中心にオフェンスを組み立て、ボールコントロールオフェンスでロースコアに持ち込むことだ。
 OLBジャスティン・ヒューストンとタンバ・ハリのパスラッシュコンビでブロンコスQBペイトン・マニングにプレッシャーをかけたい。

【写真】カージナルスのCBクロマティに突進するシーホークスのRBリンチ(AP=共同)