17週にわたって戦われるNFLのレギュラーシーズンは、先週末に行われた第9週がいわば後半戦の開幕にあたる。今季のセカンドハーフは終盤の混戦を予兆するかのような幕開けとなった。


 6勝2敗と好調のイーグルスだが、先発QBニック・フォールズがテキサンズ戦で左鎖骨を骨折して6~8週間の戦列離脱が濃厚となった。すなわち、レギュラーシーズン中にフォールズが復帰できる見込みは厳しいということだ。
 その間のQBは移籍1年目のマーク・サンチェスが務める。サンチェスはプレーに安定感を欠き、ジェッツから解雇された選手である。NFC東地区連覇とプレーオフでのシード上位を狙うイーグルスは正念場を迎える。


 AFCトップの座を争ったペイトリオッツ対ブロンコスの大一番は、トム・ブレイディが4TDパスを決めるなどしてペイトリオッツに軍配が上がった。ペイトリオッツは5連勝でリーグ最多タイの7勝目(2敗)。ブロンコスは今季2敗目(6勝)を喫した。
 これは今世紀最大のライバルとされるブレイディとペイトン・マニングの通算16回目の顔合わせだった。戦績はブレイディの11勝5敗。歴代でも屈指の実力を持つこの二人のQB対決はまだまだ終わらず、これからも名勝負を生んでくれるに違いない。


 NFL史上唯一5回のMVPを受賞し、数々のリーグ記録を保持しているマニングだが、ペイトリオッツだけは苦手としている。この試合は変幻自在な守備隊形でマニングを混乱させたペイトリオッツディフェンスの勝利だった。
 守備選手のアサインメントを巧みに入れ替える作戦で、マニングにカバレッジの仕組みやタイミングを読ませなかった。この、いわゆる「ディスガイス(偽装)」と呼ばれる手法に何度もマニングは煮え湯を飲まされている。


 今季ブロンコスに土を付けたのは他にシーホークスだけだった。シーホークスはサイズのあるセカンダリー陣がレシーバー陣とのフィジカル勝負を仕掛け、それに打ち勝つことでパスオフェンスを粉砕した。
 ペイトリオッツはマニングを攻略することで爆発的な得点力を持つオフェンスを止めたところが興味深い。


 49ersは苦手な同地区ライバルのラムズに敗れて勝率5割に逆戻り。QBコリン・キャパニックがファンブルで勝機を逸するなど足を引っ張った。また、チャージャーズはドルフィンズに0―37で完封負けし、3連敗で5勝4敗となった。
 第2週にシーホークスを破った勢いは感じられず、ブロンコス、チーフスに続くAFC西地区3位に後退した。
 AFCでペイトリオッツに続くのがスティーラーズ(6勝3敗)、コルツ(6勝3敗)、ブロンコスだ。なかでも、序盤に勝ちと負けを繰り返したスティーラーズが3連勝と勢いに乗ってきた。


 新人WRマータビス・ブライアントを投入したことをきっかけにオフェンスが急速に得点力を増した。QBベン・ロスリスバーガーは2試合連続の6TDパス成功という快挙を達成した。
 ディフェンスは相変わらずビッグプレーを許す場面はあるものの、2005年から6シーズンの間に3回スーパーボウルに出場したころのアグレッシブさが戻ってきた。後半注目のチームの一つだ。


 そのスティーラーズが所属するAFC北地区はベンガルズ(5勝2敗1分)、ブラウンズ(5勝3敗)、レーベンズ(5勝4敗)も好調で、依然として全チームが勝ち越しという高いレベルの競争が続く。
 他に5勝を挙げているチームはビルズ、ドルフィンズ、チーフス、チャージャーズでこれらのチームが六つのプレーオフ出場枠を争うことになる。


 NFCはカージナルスが7勝1敗で相変わらず好調だ。第9週には先発QBトニー・ロモが故障欠場したカウボーイズ(6勝3敗)を退け、カンファレンス内対戦を5勝0敗とした。
 NFCのシード1位に向けて着々と足固めをしているが、後半にはシーホークスとの2度の対戦、49ersとの2回目の直接対決があり、予断は許さない。


 それに続くのがライオンズ(6勝2敗)だ。エースWRカルビン・ジョンソン欠場の間も3戦全勝でチーム力は安定している。ディフェンスが強いのが大きな武器だ。
 イーグルスとカウボーイズはQB欠場の穴をいかに埋めるかが後半の課題だ。背中を故障しているロモは第10週がバイウィークのため、遅くともその翌週には復帰するだろう。


 シーズン中盤に来てセインツ(4勝4敗)の調子が上がってきた。ザルと酷評されたディフェンスが改善され、QBドルー・ブリーズのパスも本来の威力を発揮してきている。シーホークス(5勝3敗)やパッカーズ(5勝3敗)は昨年までの勢いが感じられず、今後の奮起が望まれる。


 来週はAFC勢に注目のカードが集まる。まずはブラウンズ@ベンガルズだ。例年ならばベンガルズが順当に勝ち星を獲得するカードなのだが、今季はブラウンズが好調で侮れない。特にベン・テイト、テランス・ウェスト、イザイアー・クローウェルのそろうRB陣は強力だ。
 ベンガルズはエースWRのA・Jグリーンが戦列復帰したことでオフェンスに活気が戻った。1950年代の名将ポール・ブラウンに由来する名将を持つブラウンズと、その息子マイクがオーナーを務めるベンガルズとの因縁の対決だ。


 チーフス(5勝3敗)@ビルズ(5勝3敗)も今季ならではの好カードだ。この時期にビルズが勝ち越しているのは何年振りだろうか。ともにディフェンスが強いのが特徴だ。チーフスはリーグトップの12サックのLBジャスティン・ヒューストンが鍵を握る。
 一方のビルズはターンオーバー率(ターンオーバーの得失差)がプラス7とチャンスに強い。ディフェンスの活躍でロースコアの展開に持ち込めればチーフス、ターンオーバーからオフェンスが得点を量産できればビルズが有利だ。


 異色の対戦はドルフィンズ(5勝3敗)@ライオンズ(6勝2敗)だ。カンファレンスが異なるため4年に1度しか対戦がないが、それぞれの強いシーズンが一致してこなかったのでこの好成績で対戦するのは珍しい。
 これもディフェンスの強いチーム同士の対戦で、ドルフィンズはAFCトップ、ライオンズはリーグ1位の堅さを誇る。ディフェンスが互角だと仮定すれば、QBマシュー・スタッフォードとWRジョンソン、ゴールデン・テイトのホットラインによるパスオフェンスが武器となるライオンズに有利か。ただし、ドルフィンズもターンオーバー率がプラス6だ。インターセプトでチャンスを作れば勝機はある。

【写真】マニング(左)との対決を制したペイトリオッツのQBブレイディ(AP=共同)