NFLは早くも折り返し地点を迎えた。第8週はカウボーイズとイーグルスが敗れてともに今季2敗目を喫した。
 全勝チームはすでになく、ブロンコスとカージナルスが6勝1敗でリードし、それをペイトリオッツ、カウボーイズ、ライオンズが6勝2敗で追いかける。後半はプレーオフ出場に向けて一つひとつの試合がより重要となる。また、地区内対戦も増えてくるためライバル心むき出しの熾烈な地区優勝争いが展開される。


 前半を振り返るとペイトリオッツや、コルツ、パッカーズ、49ersなど出足でつまずいたプレーオフ常連組が、気がつけば勝ち星先行となり、しっかりとプレーオフ争いに参加している。
 序盤の敗戦で浮き彫りになった反省点をきちんと修正し、ルーキーや移籍選手などの新戦力を着実に育てるチームの手腕はさすがというべきだ。競争の激しいNFLで、毎年のようにプレーオフで戦っている実力は、だてではないのだ。


 一方でビルズ(5勝3敗)やブラウンズ(4勝3敗)のように長く低迷期にあえいでいたチームの奮起が目立つ。
 NFCでは勝ち越しているチームが七つしかないのに対し、AFCでは11ものチームが勝率5割を超えている。これはこの2チームやドルフィンズ(4勝3敗)の健闘によるものだ。


 AFCでは、開幕前の予想通りブロンコスの力が突出している。オフェンスは昨年同様に得点力が高い。新加入のWRエマニュエル・サンダースがペイトン・マニングの重要なターゲットとして台頭した。
 シーホークスには敗れたが、49ers、カージナルス、コルツといった難敵を退け、地区内対戦ではすでにチーフスとチャージャーズに1勝している。第9週にペイトリオッツとの大一番が控えているが、その後のスケジュールは楽だ。第15週にチャージャーズとの再戦があり、この頃には地区優勝を決めているかもしれない。


 ペイトリオッツは、第4週終了時点で2勝2敗と例年に比べてスローなスタートとなった。しかし、TEロブ・グロンカウスキーの膝が復調するとともにQBトム・ブレイディとのホットラインもさえ、いつもの強さを取り戻した。ただ、同地区のビルズ、ドルフィンズが好調なだけに、これまでよりは地区優勝への道のりが険しい。
 ドルフィンズにはすでに1敗しているだけに、第15週の2度目の対戦でも敗れるようなことがあれば、6年ぶりに地区優勝を逃す恐れもある。


 AFC北地区は相変わらず混とんとしている。第8週にはベンガルズが、猛追するレーベンズを破って首位の座を守ったが、スティーラーズが今季初の連勝で勢いに乗る。
 ベンガルズは後半に地区内対戦を四つも残しており、この中でいくつ勝てるかが鍵だ。この地区は最終週まで目が離せない。


 コルツは南地区のトップを走るがOLに故障者が多く、安定感に欠ける。後半は実戦をこなしながらOLを育てていくことが重要だ。テキサンズも連敗を止めて勝率を5割に戻し、首位の座を狙っている。 


 AFCは既述の勝ち越し11チームにテキサンズを加えた12チームが、六つのプレーオフ枠を争うことになる。例年にない高い競争率で、厳しい戦いが続く。


 NFCではスーパーボウルチャンピオンのシーホークスに昨年の勢いがない。これは、各チームがディフェンスの攻略法を研究してきた成果だ。
 チャージャーズが徹底したボールコントロールオフェンスで破ったことがヒントとなり、シーホークスのアグレッシブなディフェンスの威力を削ぐことに成功している。ただし、シーホークスは後半からプレーオフにかけて本領を発揮するチームなので、前半の姿だけではこのチームを判断できない。


 カージナルスは開幕QBのカーソン・パーマーが故障で戦列を離れたが、その間にドルー・スタントンがしっかりと穴を埋めてチーム力を維持した。ただし、これからスケジュールが厳しくなる。カウボーイズ、ライオンズ、チーフスとの対戦が組まれているほか、シーホークスとの対戦を2回残し、最終週には49ersと戦う。


 49ersは間もなく、LBアルドン・スミス(9試合の出場停止処分)、ナバーロ・ボウマン(膝の故障)の戦列復帰を期待できる。QBコリン・キャパニックのパスの不調は懸念材料だが、ようやくディフェンスが本来の姿を取り戻すことができる。


 イーグルスとカウボーイズの熾烈なNFC東地区の優勝争いはいよいよ第13、15週に直接対決を迎える。ともにオフェンスが好調で、ハイスコアリングな試合が展開されそうだ。ただ、カウボーイズのQBトニー・ロモが古傷の背中を再び痛めており、その影響が心配される。


 ライオンズは強力なディフェンスが復活した。DTダムコング・スーを中心としたDLはNFLトップクラスだ。オフェンスはWRゴールデン・テイトがスピードを活かしてランアフターキャッチで貢献する。
 「メガトロン」ことWRカルビン・ジョンソン(足首)も第9週から復帰の見込みで、3年ぶりのプレーオフ出場にはずみをつける。


 ライオンズと首位争いを展開するパッカーズはOLのアーロン・ロジャースに対するプロテクションが弱く、サックが多い。この点をいかに修正するかが後半の課題だ。ディフェンスは時折見せるアグレッシブなスタイルを定着させたい。


 残念ながら南地区は不調だ。すべてのチームが負け越しているという異例の事態で、パンサーズ、ファルコンズの失速が目立つ。パンサーズはオフェンスに得点力がなく、ディフェンスに負担がかかっている状態だ。
 ファルコンズは2年連続で続出する故障者の影響を受けている。セインツはQBドリュー・ブリーズのパスが不発で苦しんだ。ただ、第8週にパッカーズを破った試合では久しぶりにセインツらしい試合運びができたので、これがきっかけになるかもしれない。


 第9週は、なんといってもカージナルス(6勝1敗)@カウボーイズ(6勝2敗)に注目だ。パーマーは今季先発した試合は4戦全勝で、いずれも二つ以上のTDパスを成功させている。
 カウボーイズもロモが出場できれば、RBデマルコ・マレー、WRデズ・ブライアントを中心にパワフルなオフェンスを展開する。ともにオフェンスがいいだけに、ディフェンスのでき、ターンオーバーの数が勝敗を左右する。シーズンが終了した時点で両チームが同勝率でプレーオフに出場した場合、シード順位の高さを決めるのはこの試合の勝敗の結果である。その意味でも負けられない試合だ。


 ▽ブロンコス(6勝1敗)@ペイトリオッツ(6勝2敗)
 過去に何度もAFCの覇権を争ってきたペイトン・マニングとトム・ブレイディのライバル対決だ。ともにレギュラーシーズンでの通算勝利数が150を超えており、こうしたQBが対戦するのはNFL史上初めてのことだ。数々の名勝負を繰り広げてきた名パサーがどんな戦いを見せるか。
 オフェンスはWRデメリアス・トーマス、エマニュエル・サンダース、TEジュリアス・トーマスと駒のそろうブロンコスに利がある。
 ディフェンスもデマーカス・ウェア、ボン・ミラーのパスラッシュが好調な分だけブロンコスが優ると予想できる。ただし、緻密な試合運びでは定評のあるブレイディとビル・ベリチックHCはちょっとしたミスでもつけいって活路を見出すことができる。油断は禁物だ。


 ▽イーグルス(5勝2敗)@テキサンズ(4勝4敗)
 カウボーイズと地区優勝争いを展開するイーグルスは、敵地でテキサンズと対戦する。イーグルスのアップテンポなオフェンスとJ・Jワット率いるアグレッシブなディフェンスというマッチアップだ。
ワットはラインアップする位置をさまざまに変えながら、QBにプレッシャーをかける。イーグルスのQBニック・フォールズは脚力でラッシュをかわせるタイプではないので、素早くボールをリリースすることでサックを避けたい。
 イーグルスはターンオーバーがマイナス7(とった数よりもとられた数のほうが7回多い)であるのに対し、テキサンズはプラス4。これも鍵となるかもしれない。


 ▽レーベンズ(5勝3敗)@スティーラーズ(5勝3敗)
 今季2度目の対戦。前回はレーベンズが26―6と快勝した。スティーラーズのQBベン・ロリスバーガーは第8週のコルツ戦で自己最多、チーム新記録の522ヤードパッシング、6TDをマークした。
その「ビッグ・ベン」に対し、今季7サックのエルビス・デューマービルが襲いかかる。レーベンズQBジョー・フラッコもパスが好調で、ロングパスの応酬となればセカンダリーに不安のあるスティーラーズに危機感が漂う。


 第9週はジャガーズ(1勝7敗)@ベンガルズ(4勝2敗1分)、バッカニアーズ(1勝6敗)@ブラウンズ(4勝3敗)、ジェッツ(1勝7敗)@チーフス(4勝3敗)、レイダーズ(0勝7敗)@シーホークス(4勝3敗)など現在の勝率の差のあるチーム同士の対戦も多い。
 しかし、こうした顔合わせこそアップセットが起こりやすい。そして、ここでの取りこぼしはシーズン終盤に大きく影響してくることが多いので要注意だ。

【写真】ライオンズ―ファルコンズの一戦は英国のロンドンで開催された(AP=共同)