NFLは6月、2016年2月7日に第50回の節目を迎えるスーパーボウル(於カリフォルニア州サンタクララ)の公式ロゴマークを発表した。
 優勝杯であるビンス・ロンバルディ・トロフィーを金字の「5」と「0」が挟み込むデザインだ。世界中で8億人がテレビ観戦し、開催地には3億ドル以上もの経済効果をもたらすというスーパーボウルは、単一のプロリーグの優勝決定戦としては破格の規模と人気を誇る。


 間もなく半世紀の歴史を迎えるスーパーボウルには不思議と破られない「ジンクス」がある。それは、開催地をホームとするチームが出場できないというものだ。
 スーパーボウルの開催地は毎年変わる。基本的にNFLのチームが本拠地とするスタジアムを使用し、開催を希望する都市の招致活動を経てオーナーミーティングで決定される。
 通常は4年先の開催地まで決まっており、現在は2018年2月4日(2017年シーズンの優勝決定戦)に開催される第52回大会まで開催地が決定済みだ。


 過去48回行われたスーパーボウルで、ホームチームが出場した大会は一度もない。過去最も開催回数の多いのはサウスフロリダ(フロリダ州マイアミとその近郊)とルイジアナ州ニューオーリンズでともに10回。マイアミを本拠地とするドルフィンズはスーパーボウルに5回出場しているが、いずれもマイアミ以外の開催地だった。
 もっとも、NFLがフランチャイズを置く都市のすべてがスーパーボウル開催の対象となるわけではないから公平性には欠ける。
 例えば最多優勝6回を誇るスティーラーズの本拠地ピッツバーグでは一度も開催されていない。


 スーパーボウルを開催するには、屋根のないスタジアムの場合は当地の2月上旬の平均気温が10度以上、それ以下の場合はドーム球場で試合を行うという内規があった。
 過去に冬季の気温が氷点下になることもある、ミネソタ州ミネアポリスやミシガン州デトロイトで開催された大会はいずれもドームが会場となった。


 その内規が破られたのが今年2月に行われた第48回大会で、寒冷地であるニューヨーク/ニュージャージーであるにもかかわらず、オープンエアのジャイアンツスタジアムで開催された。
 このジャイアンツスタジアムはジェッツとジャイアンツが本拠地とする球場で、ジンクスを破るチャンスは2倍あったのだが、残念ながら両チームともプレーオフにすら進出できなかった。


 ジンクスが破られるのではないかと期待された大会もいくつかあった。インディアナ州インディアナポリスで行われた第46回大会(2011年シーズン)だ。
 会場となったルーカスオイルスタジアムはコルツのホーム球場。当時のコルツはプレーオフの常連で、毎年のようにスーパーボウルの優勝候補に挙げられていた。インディアナポリスで初めて開催される大会でジンクスが破れるという期待が高まった。
 しかし、エースQBのペイトン・マニングが首の故障でシーズンを棒に振るという不運がチームを襲った。結局コルツは2勝しかできず、マニングも翌年には放出され、ブロンコスへと移籍した。


 翌年のニューオーリンズ大会にもチャンスはあった。セインツは2009年にリーグ制覇を果たしており、QBドリュー・ブリーズの率いるパスオフェンスはNFLトップクラスの攻撃力を有していた。
 ところが、過去に対戦相手を痛めつけるプレーをしたディフェンス選手に報奨金を支払っていたという疑惑が持ち上がり、それを指示した当事者であるグレッグ・ウィリアムズ守備コーディネーターと黙認したショーン・ペイトンHCが1年間の出場停止処分を受けるという事態が発生したのだ。この一大スキャンダルが影響したのか、セインツは7勝9敗と前年の13勝3敗から大きく後退した。


 開催地と、そこをホームとするチームの戦力のピークがうまく合致すると予想された上記二つのケースですら破られなかったのだから、このジンクスはよほど頑強であると思わざるを得ない。


 では、今後4年間ではどうだろうか。
 次回の開催地はアリゾナ州グレンデールで、カージナルスの本拠地だ。昨年のカージナルスはプレーオフこそ逃したものの、10勝6敗の好成績を残し、レギュラーシーズン第16週にはのちにリーグ王者となるシーホークスを破ってもいる。
 同地区の強豪ライバルであるシーホークス、49ersを倒すだけの実力があれば夢ではない。ちなみに、カージナルスのスーパーボウル出場は過去に1回だけである。(2008年シーズン)


 最も大きな期待を寄せたいのが50回大会のサンタクララだ。これは今季から49ersの新ホームとなるリーバイススタジアムが舞台だ。
 49ersは過去3年間、いずれもNFC決勝にまで駒を進め(2012年シーズンにはスーパーボウル出場)、黄金時代復活の兆しを見せている。あと2シーズン戦力を維持できれば、ジンクス打破の可能性は高い。


 その後の2大会はテキサス州ヒューストンとミネアポリスだ。それぞれにフランチャイズを置くテキサンズとバイキングズはいずれもチーム再建期に入っている。開催までの3~4年でスーパーボウルに進出する実力をつけるのは正直難しいだろう。
 ただし、テキサンズにはDE、J・Jワット、バイキングズにはRBエイドリアン・ピーターソンというリーグを代表するスーパースターがいるから、急速にチーム力が向上する可能性はある。


 どのチームがこのジンクスを破るかが楽しみな一方で、なぜだか解明されないままにジンクスが続いてほしいという気持ちもある。スポーツとはシナリオのないドラマなのだから。

【写真】近年はプレーオフ出場の常連チームとなっている49ersのQBキャパニック(右)=(AP=共同)