いよいよ今年のNFLの大学ドラフトが現地時間の5月8日から3日間にわたってニューヨークのラジオシティー・ミュージックホールで開催される。
 今年は攻守ライン、WRの人材が豊富でこうしたポジションに人材を求めるチームには格好のドラフトと言えそうだ。


 ドラフト候補生の中で、最も運動能力が高いと評価されているのがサウスカロライナ大学のDEジェデビオン・クラウニーだ。素早いスタートでQBにプレッシャーをかけるパスラッシュがうまく、どのチームでも即戦力として通用する人材だ。全体1位の指名権を持つテキサンズが彼を指名するのではないかと予想される。


 テキサンズは先発クラスのQBを必要としているが、今年の候補生の中にはクラウニー獲得を見送ってまで指名するべき人材が見当たらないというのが首脳陣の判断のようだ。
 昨年の中盤から先発を務めたケース・キーナム、またはFAで獲得したライアン・フィッツパトリックをスターターとして起用することで今季を乗り切ることになる。クラウニーが入団すれば、すでにリーグ屈指のパスラッシャーであるJ・Jワットとのコンビで強力なユニットが誕生する。


 最近になってクラウニーに迫る勢いで評価を集めているのがLBカリル・マック(バファロー大)だ。昨年だけで10・5サック、3インターセプト、5回のファンブルフォースを記録したプレーメーカーだ。
 ディフェンススキームの中心になれる存在で、パンサーズのルーク・キークリー、ビルズのアロンソ・キコのように若くしてディフェンスの核となるだろう。4番目指名権を持つジャガーズが獲得を狙っているとの情報がある。


 いつのドラフトでも注目されるQBは、元ハイズマントロフィー受賞者のジョニー・マンゼル(テキサス農工大)、ブレイク・ボートルズ(セントラルフロリダ大)、テディ・ブリッジウオーター(ルイビル大)、デレク・カー(フレズノ州立大)が上位指名の候補だ。


 ラッセル・ウィルソン(シーホークス)、アンドルー・ラック(コルツ)、ロバート・グリフィンIII世(レッドスキンズ)、ライアン・タネヒル(ドルフィンズ)らを輩出した2012年のドラフトに比べるとやや小粒な印象だ。
 テキサンズがQB指名を見送ると予測されているのもこれが理由である。また、1巡でのQB指名が確実視されたレイダーズ(5番目指名)はFAでショーブを獲得したため、他のポジションの補強を優先することになるだろう。


 4番目指名権を持つブラウンズ、現在の先発QBに満足のいかないバッカニアーズ(7番目)、バイキングズ(8番目)、タイタンズ(11番目)あたりが1巡をQBに使うかもしれない。


 WRではサミー・ワトキンス(クレムゾン大)、マイク・エバンス(テキサス農工大)の人気が高い。この二人はいずれもスピードがあり、ロングパスのターゲットになるタイプのレシーバーだ。
 パス主流の現在のNFLでは需要の高いタレントである。それだけに、本当に補強の必要なポジションを先送りにして指名しておいて損のない人材だ。


 OLではオーバーン大学のグレッグ・ロビンソンとテキサス農工大のジェイク・マシューズが上位指名を受けそうだ。マシューズは元オイラーズ、タイタンズで活躍したブルース・マシューズの息子の一人で、パッカーズのLBクレイ・マシューズとは従弟の関係だ。父、祖父、叔父、兄、従弟がNFLを経験しているフットボール一家のサラブレッドだ。


 さて、今年のドラフト指名順位は次のようになっている。
1. ヒューストン・テキサンズ
2. セントルイス・ラムズ (レッドスキンズから譲渡)
3. ジャクソンビル・ジャガーズ
4. クリーブランド・ブラウンズ
5. オークランド・レイダーズ
6. アトランタ・ファルコンズ
7. タンパベイ・バッカニアーズ
8. ミネソタ・バイキングズ
9. バッファロー・ビルズ
10. デトロイト・ライオンズ
11. テネシー・タイタンズ
12. ニューヨーク・ジャイアンツ
13. セントルイス・ラムズ
14. シカゴ・ベアーズ
15. ピッツバーグ・スティーラーズ
16. ダラス・カウボーイズ
17. ボルティモア・レイブンズ
18. ニューヨーク・ジェッツ
19. マイアミ・ドルフィンズ
20. アリゾナ・カーディナルス
21. グリーンベイ・パッカーズ
22. フィラデルフィア・イーグルス
23. カンザスシティ・チーフス
24. シンシナティ・ベンガルズ
25. サンディエゴ・チャージャーズ
26. クリーブランド・ブラウンズ (コルツから譲渡)
27. ニューオリンズ・セインツ
28. カロライナ・パンサーズ
29. ニューイングランド・ペイトリオッツ
30. サンフランシスコ・49ers
31. デンバー・ブロンコス
32. シアトル・シーホークス


 前年度の成績が悪いチームほど上位指名権を与えられる完全ウエーバー制になっており、この順番はどのラウンド(NFLでは7ラウンドまで)でも基本的に変わらない。
 1巡ではラムズとブラウンズが二つずつ指名権を持っているが、これは過去のトレードで他のチームから譲渡されたものだ。ラムズは2年前のドラフトで1巡2番目の指名権をレッドスキンズに譲った。
 レッドスキンズはその年の1、2巡指名権、昨年と今年の1巡指名権をラムズに与えるという対価を払う代わりに、希望通りグリフィンIII世の指名に成功した。


 ブラウンズは昨季途中にRBトレント・リチャードソンをコルツにトレードした見返りに今年の1巡指名権を得た。レッドスキンズとコルツは今年の1巡指名権は持たないが、2巡以降では原則としてそれぞれ2番目と26番目で指名権を持つ。


 ドラフトでは他チームと交渉することで順番を交換することができる。保有している指名権や選手を交換条件として順番をトレードするのだ。
 昨年の実例を挙げると、1巡31番目指名権を持っていた49ersはカウボーイズの1巡18番目と交換する見返りとして、3巡指名権を譲渡した。こうしてトレードによって順番を繰り上げることをトレードアップという。


 逆に順番を下げることをトレードダウンというが、これには指名権を増やすというメリットがある。昨年のペイトリオッツは1巡29番目の指名権をバイキングズに譲渡し、見返りとして2、4、7巡指名権を譲り受けた。補強するべきポジションが多いときにはこうした方策がとられる。
 ドラフトではGMをトップとしたフロント陣の人材発掘力や交渉力、情報収集力、HCを中心とした現場の戦力分析能力とニーズの明確化が不可欠だ。そして、双方の緊密な連携がとれて初めて成功する。ドラフトはチームの結束力を測るバロメーターでもある。

【写真】今季のドラフトで最も注目されているサウスカロライナ大のDLジェデビオン・クラウニー=7日(AP=共同)