NFLは3月23日から26日にかけて、フロリダ州オーランドで恒例の「オーナー会議」が開かれた。ルール変更など重要事項を議論する会議で、32人のオーナーが議決権を持ち、賛否の投票によって決議される。


 今年は開催中にビルズのオーナーであるラルフ・ウィルソンJr氏の死去が伝えられるなどあわただしい場面もあったが、「インスタントリプレー」の今後の在り方などが協議された。その中で注目を集めた議題がプレーオフの拡張問題だ。


 現在の制度ではプレーオフに出場できるのは八つの地区の優勝チームおよび、それぞれのカンファレンスで地区優勝チームを除いた中で勝率の高い2チーム(ワイルドカード)の計12チームである。これにワイルドカードを1チームずつ加えて14チーム制にしようというのが拡張案だ。


 この拡張案はロジャー・グッデルNFLコミッショナーが強く推薦し、オーナーたちにも賛同する意見が多いことから、早ければ2015年シーズンから導入される可能性がある。14チーム制のプレーオフは現行のものとどう変わるのか。
 まず、ワイルドカードラウンドと呼ばれるプレーオフ1回戦が現在の4試合から6試合に変更される。
 現在は土曜日と日曜日に各2試合ずつ行われているが、14チーム制では土曜日に2試合、日曜日に3試合、月曜日に1試合を行うという案が有力だとされる。


 現行システムではカンファレンスの第1、2シードチームは1回戦の出場を免除される「バイウィーク」の特権を持つが、14チーム制では第1シードチームにのみその権利が与えられ、第2シードも1回戦からプレーオフに出場しなければならない。
 メリットとしては出場チームが増えることでチームのモチベーションが上がり、ファンの楽しみも増える。


 2013年を例にとればAFCからはスティーラーズ(8勝8敗)、NFCからはカージナルス(10勝6敗)が「当選」していたこととなる。カージナルスは王者シーホークスを第16週に破った好調チームだから、プレーオフに出場していればまた別のドラマが生まれていたかもしれない。


 リーグにとっても放送権や試合増による増収が見込める。選手にとっては負担が増えることになるが、スーパーボウルにつながるプレーオフならば不満の声はないだろう。
 しかし、拡張案にはメリットばかりではない。出場チームが増えれば、今年のカージナルスや2008年のペイトリオッツ(11勝5敗)のように好成績を残していながらプレーオフに出場できないチームは減る。
 その反面で、昨年のスティーラーズのように最終戦でようやく勝率5割に達したようなチームや負け越しのままシーズンを終えたチームが出場権を得る可能性も出てくるのだ。こうしたチームが果たしてスーパーボウルを争う資格を与えられるべきなのか。


 プレーオフでは最上位シードチームが最下位シードと対戦する仕組みになっている。新設される第7シードチームは1回戦で第2シードと戦う。勝てば次に対戦するのは第1シードだ。
 昨年のAFCを例にとれば、第2シードのペイトリオッツ(12勝4敗)と第7シードのスティーラーズとの間には4勝もの差がある。スティーラーズが勝てばアップセットとなって盛り上がるが、順当にペイトリオッツが大差で勝つような展開になればプレーオフの面白さは半減する。


 バイウィークが第1シードにしか与えられないのも第2シードにあまりにアドバンテージがなさすぎる。第1、2シードはその勝率にほとんど差がないのが普通だ。それにしては待遇に差がありすぎる。
 増収が期待できる以上、プレーオフ拡張案は遅かれ早かれ採用されることになるだろう。しかし、そのデメリットにも目を向けてその対策も用意しておく必要がある。一度拡張してしまえば、縮小することは限りなく難しくなるからだ。

【写真】NFLのオーナー会議で意見を交わすオーナー、ヘッドコーチら=3月24日(AP=共同)