スーパーボウル出場はすべてのフットボール選手の夢であり、憧れだ。それを実現させた選手の中には、さまざまな逆境を克服してきた者も少なくない。


 シーホークスの控えFBデリック・コールマンは、3歳のときに両耳の聴覚を失った。現在は両耳に補聴器を装着して生活している。ハドルではQBラッセル・ウィルソンの口の動きを見てプレーコールを読み取るのだそうだ。チームメートたちはコールマンへのプレー伝達で不便を感じたことはないと口を揃える。
 しかし、コミュニケーションがスムーズにとれるようになるまでは様々な苦しみと努力があったに違いない。


 それだけにコールマンは講演会などの機会が与えられると積極的に参加し、同じような症状に悩む人々、ことに子どもたちを激励する活動をしている。
 49ersとのNFC決勝が終わったときのことだ。コールマンはツィッター上で9歳の少女が彼に宛てたファンレターを目にした。少女は彼と同じく聴覚を失っていた。少女の父親が手紙を写真に撮り、ツィッターに投稿したのである。コールマンは練習の合間を縫って少女に返信し、交流を深めたという。


 ブロンコスのCBチャンプ・ベイリーはNFL15年目にして、初めてのスーパーボウル出場を果たした。1年目からパス守備の名手として名を馳せ、これまでにプロボウルに選出されること12回。過去にパスカバーのうまさはリーグ随一とまで評されたベイリーも王座決定戦にだけは縁がなかった。


 今季は足の故障のため、レギュラーシーズン中に先発出場したのはわずか3試合。全快して復帰した12月には、後輩のクリス・ハリスにポジションを奪われていた。
 ところが、プレーオフでハリスが膝を故障して戦列離脱となる。チャンプはAFC決勝から先発に復帰し、スーパーボウル出場権を獲得したのだった。


 ベイリーのチームメート、RBノーション・モレノはスーパーボウルの開催地ニュージャージー州の出身だ。彼は経済的に苦しい家庭の出身で、保護施設に入れられたこともあった。高校に入学した後、いまでも師と仰ぐコーチに出会ったことが彼の人生を変えた。


 恵まれない環境で、ともすれば道を外しそうなモレノにコーチはフットボールの面白さを教え、打ち込ませた。彼の負けず嫌いな性格は反社会的な方向に進むことなく、フットボールで花開く。やがてジョージア大学から奨学金をもらい、2009年にドラフト1巡指名を受けてブロンコスに入団した。
 モレノは試合開始前のセレモニーでよく涙を流すことで知られるが、それは少年時代の苦しかった時代を思い出してのことなのだそうだ。

【写真】ツイッターで交流したエリンちゃん(左)とライリーちゃんにサプライズでSボウルのチケットをプレゼントしたシーホークスのRBコールマン=1月28日(AP=共同)