4大会ぶり3度目の優勝を狙い、初めてニュージーランド(オールブラックス)との決勝対決に臨んだオーストラリア(ワラビーズ)だったが、タスマン海を挟んだ宿敵の隣国チームに力の差を見せ付けられた。

前半は史上初の2連覇を狙うオールブラックスの勢いに押され、敵陣に切り込めない苦しい展開。後半早々には3−21とリードを広げられたが、そこから諦めずに反撃した。13分と24分にトライ(ゴール)を奪い、1トライで逆転できる4点差にまで詰め寄った。しかし、ここからは世界王者との地力の差を見せ付けられることになる。世界屈指のSOダニエル・カーターの絶妙のキックにやられた上に、終了間際にはボーデン・バレットにトライを奪われ、夢は打ち砕かれた。

ワラビーズのスティーブン・ムーア主将は「すべてニュージーランドという試合だった。オールブラックスは完全に勝利に値すると思う。トーナメントを通して最高のチームだった。素晴らしい試合をした」と永遠のライバルに賛辞を贈った。

下馬評では「史上最強のオールブラックス」の呼び声高いニュージーランド代表が優位と見られていたが、やはりそれを覆すことはできなかった。それでも、あとひと息まで追い詰めたワラビーズたちの戦いぶりを、オーストラリア国民の多くは誇りに感じたことだろう。

1年前の今頃、ワラビーズはどん底に落ちていた。昨年の南半球4カ国対抗戦ではニュージーランド,、南アフリカに敗れて3位に沈み、ユエン・マッケンジー監督が辞任。W杯まであと1年という際どい時期に白羽の矢を立てられたのがマイケル・チェイカ監督だった。14年のスーパーラグビーでニューサウスウェールズ・ワラタスを初めてリーグ優勝に導いた手腕を評価。ワラタスの監督と兼任という異例の形をとって、世界ランク4位まで沈んでいた代表チームの再建を託したのだった。

この苦境を乗り越えるため、4月には国外を拠点とする選手は代表チームの対象外とする方針を変更。海外クラブに所属している選手でも、条件付きで代表入りできるようにした。これにより、フランスのトゥーロンへ移っていたマット・ギタウとドルー・ミッチェルのベテランらが復帰して戦力がグンと厚みを増した。

大会では1戦ごとに調子を上げた。強豪のイングランドとウェールズと同じ「死の組」1次グループA組では全勝で首位通過を果たし、準々決勝では接戦ながらスコットランドを振り切り、準決勝では勢いに乗るアルゼンチンを倒してしぶとく決勝まで勝ち上がってきた。

オーストラリアが最後にW杯優勝を飾った99年大会。その再現こそならなかったが、この1年間に大きく成長したワラビーズたちにとっては、さらなる飛躍の礎となったはずだ。

躍進を続けた大会を振り返ったチェイカ監督は「過去12カ月で良い土台を築いてきたが、今後も進み続けなければならない。これは始まりに過ぎない。われわれはオーストラリアのラグビーのために、大きな価値をもたらしたいと思っている」と胸を張ってコメントした。

提供:RNS hi/kf