トゥイッケナム競技場で行われた25日の準決勝、対アルゼンチン戦で戦列復帰したオーストラリアのデービッド・ポーコックがキーマンとなって活躍し、チーム4度目のラグビー・ワールドカップ(W杯)決勝進出に大きく貢献した。

1次リーグA組の対ウェールズ戦で故障して準々決勝の対スコットランド戦を欠場。半月ぶりの実戦復帰だったが、オーストラリアが密集でのボールの奪い合いを支配してアルゼンチンに攻勢を掛ける中、その中心のナンバー8のポジションでこの試合最多となる4度のターンオーバーに成功した。

ワラビーズでは3年間も代表に呼ばれなかったが、ことし初めに復帰してからは輝かしいプレーを続け、チームとって大きな戦力になってきた。「デーブ(ポーコックの愛称)とは、ブランビーズ(首都キャンベラのスーパーリーグチーム)でもしょっちゅうプレーを一緒にしてきたよ。彼はクラブで副主将を務めている良い選手。フィールド外でも素晴らしい人間だ」とワラビーズ主将のスティーブン・ムーアはポーコックについて語る。「さまざまな選手がいて、試合後にセグウェイを乗り回して楽しむ選手もいるが、彼(ポーコック)は自室で(英国の動物学者)デービッド・アッテンボローのドキュメンタリー映画を見ているタイプだ」と付け加えた。

国内での人道支援や政治に関するロビー活動を行うことでも知られる。ジンバブエで生まれ育ったポーコックは、当時のムガベ政権が白人農場の強制収容や強制退去などの圧政を敷いたため、12歳の時に家族とともに国外退去。こうした経験が活動への道を開いたようで、ムーア主将に加えてフランカーのマイケル・フーパー、SHウィル・ゲニア、CTBマット・ギタウも参加しているという。

活動についてムーア主将は「こういった選手たちに声掛けしてやってきたが、全員が素晴らしい活動を続けている。活動グループ内でもリーダーシップを大いに発揮しており、それがラグビーの試合でも見られてきた。31日の決勝でもそのリーダーシップが再び重要になってくる」とフィールド外での活動がチームの結束にも貢献していると分析した。

「毎日やるべきことをきちんとこなすことに懸かってくる。まだ1試合残っており、これが今週最も重要なこと。鍵となるのは向上していくことで、みんなが向上し続けなければならない。今週また壁が一段階上がるので、さらに向上しなければならない」

決勝の相手はタスマン海を挟んだ隣国ニュージーランド。長年のライバル国同士だが、不思議なことにW杯決勝で激突するのは初めてのことだ。ともに過去優勝2回。勝った方が初のW杯3度制覇となる。このところの顔合わせではニュージーランドが圧倒しているが、トゥイッケナム競技場で最後に行われたW杯の決勝、91年大会はオーストラリアが制している歴史的事実も忘れてはならない。

さまざまな過去の経緯の中で、チェイカ監督は決勝で敗れることがいかに苦い経験になるか思い知らされているようだ。「ラグビー関係者であれば、誰だって負けて試合後のロッカールームでチームメートとこみ上げる気持ちを味わうのを嫌うはずだ。ただ、そんな気持ちにならないのであれば、ラグビーなんてやっていないだろう。それこそがゲームの面白さだ。土曜日(31日)は46人の頑固なやつら(両チーム)が、勝つために必死になっているはずだ」

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