2007年大会以来の準決勝に進出したアルゼンチンだったが、結果は8年前と同様に苦く、悔しい舞台となった。

敗戦が決まると、ダニエル・ウルカデ監督はスタンドで涙を流した。「選手のことを思うと、こみあげてくるものがあった。最後まで決してあきらめなかった。チームを誇りに思う」と指揮官は80分間戦い続けた選手をねぎらった。主将のアグスティン・クレビは「とても残念だ。しかし、控え室では誰かを咎めるといったことはなかった。胸を張りたい」と話した。

最後は14点差をつけられたが、終盤まで世界ランキング2位のオーストラリアを追い詰めた。致命的だったのは序盤の失点だった。約8万人の大観客を集めたトゥイッケナム競技場での一戦。オーストラリアを上回る声援を送ったアルゼンチン・ファンは前半2分で沈黙した。SOニコラス・サンチェスのパスがオーストラリアのロック、ロブ・シモンズにインターセプトされ、今大会で最速の68秒でのトライを許した。同10分すぎにはSHマルティン・ランダホが自陣でノックオンの反則。相手に絶好の位置でボールを与え、最終的にはトライを奪われた。15分もたたないうちに3−14。ここでの劣勢は最後まで重くのしかかった。

序盤から持ち味のオープン・ラグビーを展開しようとした。結果的には失点につながったが、ウルカデ監督は後悔していなかった。「プレー内容には完全に満足している。もう一度対戦しても同じ戦術を使うだろう。うまくいくときもあれば、そうでないときもある。それがラグビーだ」

懸命に挽回した後半の戦いは見事だった。5本のPGを決め、通算89点で大会の得点王争いの首位に立ったサンチェスのプレースキックで7点差まで追い上げると、何度も相手陣内へ攻め込んだ。後半32分にWTBアダム・アシュリークーパーのトライを許すまでは常に射程圏内にとらえていた。ウルカデ監督は「オーストラリアは素晴らしいプレーをした。密集戦で圧倒した」と勝者をたたえた上で続けた。「後半は私たちが有利だったが、トライを奪うことができなかった。決まっていれば、勝てたと思う」と一度もゴールラインを越えられなかったことを悔やんだ。

とはいえ、今大会のアルゼンチンはまさに台風の目だった。準々決勝では北半球6カ国対抗2連覇中のアイルランドに43−20で快勝するなど、目を見張るラグビーを展開した。この大会での戦いは、今後のアルゼンチン・ラグビー界に好影響を与えると、クルビは確信に満ちた口ぶりで話した。「素晴らしい出発点になったと思う。全ての選手が何年も経験のある選手と同じレベルでプレーしている。ラグビーがアルゼンチンで進歩していることは素晴らしい。今のチームはこれからもウルカデ監督の攻撃ラグビーを続けるだろう」

残るは南アフリカとの3位決定戦だけとなったが、アルゼンチンのW杯での最高成績は07年大会での3位。初の決勝進出の夢は消え去ったものの、過去最高位タイを目指して中4日で30日の3位決定戦に挑む。南アフリカのハイネケ・マイヤー監督は3位決定戦について否定的な見方を示したが、ウルカデ監督は「私たちにとっては非常に重要な試合。南アフリカのようなチームに勝つのは素晴らしいことだ」と力を込めた。

提供:RNS fs/kf