試合後の記者会見に登場したハイネケ・マイヤー監督は「(呼吸をするために)まだ酸素が必要な気分だ」と冗談交じりに切り出した。「安堵している。どちらが勝っても不思議でない試合だった。ウェールズは非常に質の高いチーム。きょうのプレーも素晴らしかったが、幸いにも勝つことができた」と感無量の表情で振り返った。

スプリンボクスを敗退の危機から救ったのは、主将フーリー・デュプレアと冷静さを失わない姿勢だった。

南アフリカは序盤にリードを奪ったが、ウェールズのSHガレス・デービスにトライを許すなどして、12−13で前半を折り返した。マイヤー監督はハーフタイム中に「最後まで信じ続けること。冷静さを失わないように」と指示。南アフリカは後半、強力なFW陣中心に執拗な攻撃を続けた。しかし、ウェールズの懸命な防御を崩すことができず、敗色が濃厚になってきた。苦境を一変させたのはデュプレアだった。

18−19で迎えた後半35分、南アフリカは敵陣のゴールライン近くでスクラムを獲得した。ナンバー8のドゥエイン・フェルミューレンがボールを持って突進すると、逆サイドから走り込んできたデュプレアへ鮮やかなオフロードパス。33歳のベテランSHがゴール左隅に飛び込み、南アフリカは決勝点を挙げた。

マイヤー監督は「デュプレアにキスしたい。天才的なトライだった」と絶賛。「私が指導した中でも、最も状況判断が鋭敏な選手。戦術の天才だ。常にチームをまとめてくれる。(決勝点のトライにつながった)あの動きを考え出したのも彼だ」と話した。

デュプレアも「今週の練習で試していた」と見事に的中したサインプレーを会心の笑みで振り返った。「非常に厳しい試合だった。相手を崩すのが難しいと感じた時間帯もあったが、とにかく攻め続けるしかないと考えていた。幸運にも逆転できて良かった」

接戦を制したチームは2大会ぶりの4強入りを決めた。準決勝の対戦相手はニュージーランド−フランスの勝者になるが、マイヤー監督は「W杯で優勝するには全てのチームに勝たなければならない。気にしていない」と力強く話した。


提供:RNS fs/hh