背番号15番が高々とボールをサイドラインへ蹴り出すと、ノーサイドの笛が鳴り響いた。大会前には想像もできなかった初の3勝目が決まるのと同時に、大躍進した日本代表の2015年W杯が幕を閉じた。

大歓声の中、ピッチ上で大きく深いため息を吐いた五郎丸。テレビインタビューに誘われてマイクを向けられると「複雑だった。われわれの目標はあくまでベスト8だったので、満足はできない」。喜びと悔しさがないまぜになった胸の内を語った。

国内のファンだけでなく、世界のラグビーファンをとりこにした南アフリカ戦の劇的な逆転勝利。スコットランド戦ではラグビーの魅力溢れる強烈なタックルで観客を沸かせた。ベスト8入りへの希望をつなげたサモア戦では26得点のうち16点をキックで生み出した。最終戦でも13得点挙げ、代表での通算得点は節目の700点を超える711に。さらに20−8とした場面では、PGで今大会通算2000得点目もマークした。最後まで確実なキックで得点を重ね、快進撃したチームに毎試合、大きく貢献した。

チームのポイントゲッターはキック前の独特のポーズが注目され、一気に人気が沸騰している。大会中に何のために戦うのか?と問われると「シンプルです。日本のために戦います」とさらりと語ったエースは「与えられたチャンスを得点にするのが私の使命。その使命を果たせるよう努力したい」と気負いもなく話す。


この夜はサモア戦に続く2度目のマン・オブ・ザ・マッチを獲得したが、自身に注目が集まることは好まない。「ラグビーにはヒーローはいないと思う。チームみんながヒーロー」。試合後のインタビューでは声を詰まらせた五郎丸。「今回だけでなくW杯期間中も皆さんの支えがあってここまで来られた。(2019年に向けて)みんなが一つになって盛り上げられたらと思う」。気持ちはすでに4年後の舞台、日本開催の次回W杯へ向かっていた。


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