エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は南アフリカ戦後こう話していた。「日本は一つのスタイルでしかプレーできない。体の小さなチームだから、ボールを動かして問題を起こすしかない」。

日本のプレーは激しく、堀江、立川、サウ、五郎丸は労をいとわず走った。交代で入って53㍍を走ったマフィの貢献も大きく、日本の攻撃は試合終盤に入ってより直接的になった。一方日本のボールの動きは直線的で、ボールが動く幅を15㍍以内に収めることで南アフリカの外からのカウンターを防ぎ、代表60トライ目を目指したハバナの走行距離を16㍍に抑え込んだ。

プレーエリアを限定
 

日本がボールを持って走った回数は南アフリカより少なかった。パスも走行距離も下回っており、きれいに突破した場面もディフェンスを振り切った回数も同様だった。だがいずれにしても、日本は試合中ほとんどの時間帯でプレーエリアを限定できていた。CTBの2人、立川とサウが合わせて88㍍を走った一方で、山田と松島のWTB2人は計43㍍。松島の走りは試合終盤に集中していた。日本の作戦は中央を攻め、南アフリカにサイドからのカウンターを許さないことにあった。キックはスペースやタッチラインを狙って深くまで蹴り込み、リスクのあるオフロードパスはなく、直接的なコンタクトを選択していたことがわかる。セットプレーはFB五郎丸が務め、SO小野の役割は主にCTB2人へのボール供給だった。

南アフリカは、FBカルシュナーに次ぐ47㍍を走ったデヤーヘルをはじめ、FW陣がよくボールを運んだ。モールでは彼らの強さと重さがものを言った。日本のタックル成功率は83%(ミス26回)。デヤーヘルやストラウスがそれぞれ最初のタックルをかわして決めたトライの場面など、南アフリカにゲインライン突破を容易にさせてしまった。しかし多くの場面ではタックルミスを素早い戻りでカバーし、特にラックでは攻撃を遅らせることができた。自陣深くから走ろうとした南アフリカは、開始10分でラックから3度、両サイドとピッチ中央でターンオーバーを許した。4ターンオーバーと6ペナルティーを奪った日本のカウンターラックとボール奪取は常に脅威で、五郎丸の自身最高得点にもつながった。

密集でのボール争奪戦で低い体勢
 

日本選手、特にFWの密集でのボール争奪戦では体のポジションが素晴らしく、低いバランスを保ちながら踏みとどまってボールを奪い合っていた。日本がプレーを可能な限り狭めて中央に集中させたことで、南アフリカは攻撃に幅を持たせることができず、スピーディーに統率された日本守備陣を崩すことができなかった。日本は最大の弱点だった体の小ささをテクニックで補い、密集でのボール争奪戦を最大の強みに変えた。スピード豊かで知的なゲームプランを最大限に生かし、もともとの武器であった局面での素早い規律のあるプレーによって、スプリングボクスのディフェンスを15㍍幅に集中させた時に限りサイドへ展開した。終盤で生まれた日本史上最も意義ある2トライはその典型だった。

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