二〇二〇年東京五輪でボートとカヌースプリントの競技会場として新設される「海(うみ)の森(もり)水上競技場」について、国際カヌー連盟の幹部が、東京都が十六日に発表した基本設計に「風や波の対策が不十分」と不満を示していることが、関係者への取材で分かった。都は詳細設計と施工を一括で入札業者の公募を始めており、競技団体の理解を得られないまま整備事業が本格化する。 (中沢誠)  日本カヌー連盟によると、国際カヌー連盟の幹部は十六~十八日に来日。水上競技場の予定地となる東京湾の埋め立て地を視察し都から基本設計の説明を受けた。五輪では各競技とも国際団体の助言を受けながら会場を整備している。  都は、シミュレーションなどを基に風上となる南岸に防風林を植えるほか、コース両側を水門で仕切り、護岸で跳ね返る波は消波装置で抑える方針を説明。だが、国際カヌー連盟の幹部は「どの程度効果があるのか分からず不安だ」と述べ、実証試験の実施や対策の見直しを求めたという。  二百、五百、千メートル走のあるカヌースプリントでは選手が右こぎか左こぎかを選ぶ種目があり、強い横風は公平性に影響を与える。だが、東西にコースが延びる水上競技場は近くで風車が稼働していて風は強く、夏は南風が多いので横風になる。水路は垂直護岸なので波が跳ね返り、護岸に近いコースが不利になりかねないとの懸念もある。  本紙の情報公開請求で一部開示された都の資料によると、都の整備計画に賛同している国際ボート連盟も五輪開催決定前の一二年、都に風対策の必要性を指摘していた。「IF(国際競技団体)とのこれまでの調整状況等」という資料には「風の影響を最小限とし、コース間の公平性を保つため、(墨塗り)」とある。  水上競技場の課題は都も早くから認識。開催決定後の昨年一月、日本ボート協会との初会合で「建設費、技術的な面から今の計画ではできず、相当厳しい会場」と計画見直しを示唆した。四カ月後、来日した国際ボート連盟にも「すごく厳しい工事だと思っているので、早く工事に着手したい」と説明していた。  日本カヌー連盟の幹部は「今の風や波の対策では全然足りない。会場にすると決めた以上、都は開催までに確実に風と波が防げるよう責任を持って整備してほしい」と話す。  都は十六日に基本設計を発表し、詳細な実施設計と施工を一括で公募を始めた。都オリンピック・パラリンピック準備局の花井徹夫担当部長は「実施設計に反映できれば対応は可能。競技団体とは今後も協議を続け、より効果的な対策を検討したい」としている。