【ソチ】ソチ冬季五輪期間中、全日本スキー連盟(SAJ)のスタッフとして競技会場を飛び回った県出身者がいる。湯沢市山田出身の伊藤穣(おさむ)さん(41)=東京都住。SAJがソチで3大会ぶりのメダルを取るために3年前に設立した「メダル奪回戦略室」のアドバイザーを務める。今大会、スキー競技で7個のメダルを獲得し「一定の成果が出た」と喜び、「次は金メダルを取るために選手をどうサポートしたらいいか、今回の結果を踏まえて提言したい」と話した。

 伊藤さんの本職は、日本オリンピック委員会(JOC)ナショナルトレーニングセンター(NTC、東京)のアシスタントディレクター。NTCに設備のない競技の強化拠点を各地に創設する仕事に取り組む。

 湯沢高、筑波大では陸上競技の中距離選手。同大学院に進む際に物理専攻から運動生理学に転じ、コーチトレーニング学を修めた。2001年から国立スポーツ科学センター(JIS、東京)の研究員を務める間にSAJの仕事に関わり、07年にJOCの専門スタッフに採用された。

 SAJの戦略室は、スポーツ医科学、情報分析の専門家9人で構成し、メダル獲得が有望な選手に強化費を重点的に配分する手法を採用。五輪派遣の基準も厳しくしたが、伊藤さんは「責任者の古川年正本部長がアルペンやノルディックなど各団体を説得し、事業を進めた」と振り返る。

 伊藤さんは、強化策の検討のほか、情報の収集と分析、試合前の調整や当日の移動など選手が力をより出せる方法を提案する立場。「研究を現場で生かすために大事なのは結局、人間関係」と話す。それには組織の連携が必要だとし、地方組織への選手強化のノウハウ提供や指導者紹介などに力を注ぐ。

 「いつか自分のノウハウを生かし、秋田のジュニア世代をサポートしたい」という。20年東京五輪については「日本では、まだスポーツの文化としての位置付けは低い。国民がスポーツの価値を見いだすきっかけになってほしい」と語った。